BACKSTAGE TALK #9 Fuma no KTR

AbemaMix出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!

Fuma no KTR「初対面の人と悪口の言い合いしてるのって "頭おかしいな" と思って。」 沈着MCバトル論
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ー大阪出身で、今は北海道を拠点にしてるんですよね?

Fuma no KTR:はい。東京と北海道を月に3往復くらいしてるんで、めちゃくちゃ大変ですね。

ー最初は、藤KooS名義でバトルMCとして活動を始めてそこから一気に名を上げてきたと思うんですが、最初にバトルからスタートしたきっかけはどんな感じだったんですか?

Fuma no KTR:最初はネットラップをずっと聴いていて。その話ができるのが、地元のADECKってラッパーだけだったんです。「高校生RAP選手権」(以下、高ラ)や「フリースタイルダンジョン」は、そいつから話を聞いて観始めました。だんだん、そのADECKがラップをするようになって、バトルを始めて。「あいつが出来るなら俺も出来るやろ」と思ってスタートしたら、めっちゃ出来たんですよ。それが高校2年生の最初の頃でした。

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ー実際にバトルをやってみて、最初の手応えはどうだった?

Fuma no KTR:バトルって、なんだか見下されがちですけど、実際にやってみたらすごく楽しいし、奥が深い。バトルの難しさを分かり出して、それをADECKと話せるようになったのが嬉しくて。

ー最初はどうやって自分のスキルを鍛えていったの?

Fuma no KTR:ネットラッパーたちのボキャブラリーとフロウを完全にマスターしていくようにしましたね。らっぷびとさんとか、ytr(ユトリ)さんのラップがめちゃくちゃ好きで、今でもたまに、バトル中にその人たちのフロウが自然と出てきちゃうことがあります。

ー最初に立ったバトルの舞台はいつ、どんな場所だったんですか?

Fuma no KTR:一番最初は、練習もせずマイクも持ったことがないまま、第12回の高ラのオーディションでした。そこで最終選考まで残って。それがなかったら、今ラップしていないですね。何もしたことないヤツがいきなり最終まで残って審査員たちにベタ褒めされたんで、「これ、イケるわ!」みたいに思って。

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ーそこからわずか3年くらいの間に、凄まじくいろんなことが変わったんじゃない?「やっぱり、このままラップでイケる!」と思った瞬間はありますか?

Fuma no KTR:正直、藤KooSの時は、ただバトルが大好きでやっていただけだったんです。ラッパーと言うよりも、「とにかくバトル!」って。でも、2019年に子供が生まれたりして諸々環境が変わったときに、ラップしているのがしんどくなったんですよね。だからラップを辞めて、同じ年の第16回の高ラにもう一回バーンと出て。

でも、その頃はまだバイトもしていましたし、育児とかもあって超大変で。その後、2019年の10月に「American Baby」出した頃くらいからラップでお金も入ってくるようになったので、ラップだけでイケる、と思ったのはそのくらいですかね。

ー「バトルが好き!」っていうスイッチは、その頃からずっと入りっぱなし?

Fuma no KTR:今はちょっと(バトルに出るのが)辛いなって思う時もあります。冷静に考えると、初対面の人と悪口の言い合いしてるのって「頭おかしいな」と思って。純粋に音楽同士のバトルができる人は音楽としてのラップで闘うことができるのでめっちゃ好きなんです。

でも、言葉だけでバッコーンて来るタイプの人とやると、終わった後にホテルとかで「なんで俺、あんなに悪口言われてんねやろな」って思う時もある。特に、今の方が強くそう思うようになりました。

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ー今、百足さんや韻マンさんなど、<00世代>とも呼ばれる2000年生まれのMCたちがすごく注目されていると思うんです。Fuma no KTRさんも同じ年だと思うのですが、「俺たちの世代が次世代を担っていくぜ」みたいな気概はありますか?

Fuma no KTR:藤KooS名義の時は、<00世代>っていうことをすごく気にしていたんです。でもこれって、自分たちが言い出したわけではなく、気が付いたら周りからそう言われるようになっていて、俺たちが後からそれに乗っかった感じなんです。

ー<お笑い第7世代>的な。

Fuma no KTR:本当、そんな感じで。でも今は、百足とか空音とか、みんなバトルも辞めて、みんな売れた。みんながちゃんと自分たちが進むべきところに行ってるんですよね。しかも、全員、それぞれ得意なジャンルが違う。

ー皆さん、バトルから巣立って、音源制作もかなり力が入っていますよね。KTRさん的には、バトルと音源制作のバランスについてどう考えてる?

Fuma no KTR:正直、音源だけでイケてるアーティストになるのがベストなやり方だと思うんです。バトルは、いつか辞められる時が来たら辞めたい。今も、ブッキングを断ることもあるんですけど、結局バトルをやってると稼げるんです。

ーそうか。10、15年前はバトルで稼げる、と断言できるラッパーの人はほとんどいなかったと思う。

Fuma no KTR:今はそれが出来ちゃってるっすね。だから、辞められないです。僕の嫁はバトルに出ている僕が好きなんで、ブッキング断ったら「何で出えへんの?」って言われるんです。理想は、バトルも出て、曲もかっこいいラッパーになることですね。

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ー音源の方では、2020年12月に理貴さんとのコラボEP『GRADATION』も発表して。理貴さんとは直接会って制作を進めた?

Fuma no KTR:まず、この制作の話を頂いてから「一回会おう」と言うことになって。そこで、連絡先を交換したんです。デモは理貴さんの家で録らせてもらって、結構一緒にやってましたね。

ー理貴さんといえば、KOHHさんやBAD HOPの楽曲も数多く手掛けてきたプロデューサーだけど、今回、新しく学ぶことなどもありましたか?

Fuma no KTR:めちゃくちゃあったっすね。ちゃんと悪いところを言ってくれるし、いいところは褒めてくれる。色々アドバイスももらって、すっげえやりやすかったです。プロデューサーさんと一緒にスタジオに入るのも初めてだったんですよ。これまではトラックメイカーに頼んだトラックを用意して、一人でスタジオに録りにいくのが普通だったので。

ーバトルに出るときとレコーディングする時のテンションは全然違う感じですか?

Fuma no KTR:全く違いますね。バトルの時は「また何か悪口言われるわ」みたいな感じで、気が進まない時もあるんです。僕はメンタル弱い方なんで、相手に言われたことも引きずるし、動画のコメント欄で言われたエグい悪口もずっと覚えているタイプ。

バトルは気持ちで負けへんように、覚悟して挑むっていうマインドで行くんです。でも、レコーディングの時はリラックスしてますね。レコーディングの日はそれ以外の予定は絶対に入れないようにして、息抜きしまくりながらやっています。

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ー今、まだ20歳だと思うんですが、どんどん下の世代の子たちも頭角を表してきていますよね。

Fuma no KTR:龍鬼って分かります?『ハイスクールダンジョン』に出てるんですけど、その子は最初、めっちゃ俺のことを見てくれてたみたいで。前に「初めてバトルに出てみました!」って動画をDM送ってきてくれて、それを見たらめっちゃ上手かった。気がついたら一緒に番組に出ていたので、感激したっすね。

ー『ハイスクールダンジョン』ではラスボスという大役も務めていましたが、どうでしたか?

Fuma no KTR:バトルに出てる同世代のMCの間で『ハイスクールダンジョン』って番組をやるらしいぞ、ってザワザワしていたんですよ。でも、その頃は違うMCの名前がラスボスとして挙がっていて、正直、俺は全然興味がなかった。でも、Zeebraさんから直接「ラスボスをやってほしい」と連絡が来て、最初は「ちょっと考えさせてください」と返事をしたんですけど、何回か連絡をもらって、受けることにしました。結局、モンスターのS-kaineが強すぎて僕の出る幕はなかったんですけど。

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ー次にチャレンジしたいことはありますか?

Fuma no KTR:ゴリゴリEDMみたいなビートで曲を作りたくて。week dudusとの「Heart」って曲も、初めてガッツリ四つ打ち系のビートでやってみたんです。GAL Dってトラックメイカーに聞いたら、PULP_Kくんっていうトラックメイカーがいて、その二人でトラックを作ってくれたんです。HIYADAMくんの曲がめっちゃ好きで、ああいうトラックでやりたいですね。トラップの乗り方も好きなんですけど。

ーちなみに、トラップ系で最高峰だろって思うラッパーは誰ですか?

Fuma no KTR:ACE COOLさんと、最近俺がめっちゃ気になってるのがOGF Candeeですね。完全にオリジナルでエグいと思いました。あと、Carzっていう横浜の同期がヤバいです。プロデューサーのillrainが紹介してくれたんですけど、スキルが化け物なのでぜひチェックしておいてください。

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Fuma no KTR『AbemaMix』SP LIVE SET
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