「親の資産で人生が決まる国になってしまった。東京の実家から通う学生と、地方出身の学生とでは生活レベルが全く違う」夏野剛氏が指摘
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 ABEMANewsBAR橋下』にゲスト出演した慶應義塾大学特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏が、“ストック課税”について橋下氏と話し合った。

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■オリンピック組織委員会の報酬はゼロ

 数多くの企業の社外取締役として活躍する傍ら政府の審議会委員、さらには東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の参与も務め、マスコットキャラクター選定やチケット販売方法にも関与した夏野氏。

 「政府系の仕事は批判も受けるのに、委員のギャラはゼロ。規制改革推進会議の委員の仕事も、去年の4月頃は毎日にようにオンラインミーティングが入っていて、本業よりも頑張ったのに月8万円。」と冗談交じりに愚痴をこぼし、「政府系の組織はトップになっても各省庁の事務次官の俸給を超えられない」と明かした。

 橋下氏は「やっぱり公の仕事には報酬をきちんと出すべきだ。実際、無償でやっている人たちも多い。だから夏野さんみたいにちょっと変わってる人じゃないと(笑)、民間の人たちもなかなか入ってこない。僕もいろいろ声をかけられるが、中途半端な金額ではやらないと言っている」と応じ、「竹中平蔵さんだって、批判を喰らいながら改革のために十年以上やってるけど、報酬は低額だ。官僚も一生懸命にやってるんだから、それなりの報酬をもらっていい。腹が立つのは国会議員だ。何百人が同じように議員報酬と文書通信交通滞在費、そして政党交付金のキャッシュもある」と苦言を呈した。

■“フロー課税”から、“ストック課税”の流れを目指すべき

「親の資産で人生が決まる国になってしまった。東京の実家から通う学生と、地方出身の学生とでは生活レベルが全く違う」夏野剛氏が指摘
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 一方、夏野氏は「今までの話は全てフローの話だが、政策や経済モデルについて、本当はもっとストックの議論がされなければいけない」と指摘する。

 「他の国には終身雇用がないせいもあるけれど、日本では大企業の社長さんでも名前が出ちゃうのを気にして、年収1億円を超えないようにする。ソフトバンクがいい例で、外国人の役員は30億円以上の報酬をもらっているのに、なぜか日本人は3億円とかだ。事務次官でも年収が約2200万円だし、年収1200万円以上をもらっているサラリーマンは全体の2%しかいない。つまり、この国は給料の格差、つまりフローの格差は大したことない。フローで1000万円もらっても、500万円は税金で取られちゃうから、家ひとつ建たない。お金持ちになろうとすれば、自分の会社を上場させるしかない。だからもっと注目されないといけないのは、ストックの格差だ。

 大学で教えている立場からすると、東京に家を持っている親の元から慶應大学に通ってくる学生と、地方から出てきて仕送りでやっている学生とでは、生活のレベルが全く違う。会社に入ったばかりの20代も、親元から通っているやつと、一人で全部やっているやつでは全然違う。つまりこの日本は、親がどこに土地などストックの資産があるかどうかで人生が決まってしまう国になりつつある。しかし、自民党の30%以上の議員が世襲、つまりストックで食っているやつらだから、その問題に目が行かない」。

「親の資産で人生が決まる国になってしまった。東京の実家から通う学生と、地方出身の学生とでは生活レベルが全く違う」夏野剛氏が指摘
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 橋下氏も「僕も“資産課税派”で、政治家をやっている時はストックの方を公平化していくというのを大きな方向性として目指していた。それではキャピタル・フライトが起きて海外に出ていってしまうとか、どうやって資産を見つけるのか、といった議論も出てくるけれど、そこは専門家、官僚に任せ、流れているお金、経済の熱を沸き立たせる源に対するフロー課税ではなく、ストック課税の方向性に向かうべきだ」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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