BACKSTAGE TALK #12 Kazuo
AbemaMix出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!
ー今、普段はニューヨークに住んでいるんですよね?
Kazuo:はい。12月の初旬に日本に来て、二週間の検疫隔離を経たあと、今は横浜にある実家で過ごしています。とりあえず、半年は日本で過ごそうかなと思って。今回は約2年ぶりに日本に戻ってきました。
ーニューヨークはどのあたりにお住まいなんですか?
Kazuo:ブルックリンのカリブ系の人が多いエリアで、危険なところもあるけど、風景は綺麗です。ラッパーだと、ジョーイ・バッドアスとかもフラットブッシュ出身ですね。
ー「URUSAI」のリリックの中に「I still live where you can hear them blicky shots loud」(今も銃声が鳴り響く街に住んでいる)という描写があって、「マジか」と思ったんです。
Kazuo:銃声は聞こえますよ。危ないから行っちゃいけないところもたくさんあるけど、それはニューヨークでは当たり前のことなんで。
−生まれたのもアメリカですか?
Kazuo:アメリカで生まれて、5才の時に日本の横浜に引っ越したんです。
ー最初、日本に引っ越してきた時、周りの環境の違いに戸惑うことなどはありませんでしたか?
Kazuo:もう全然覚えてないんですけど、そんなに難しくはなかったと思います。というのも、初めて通った学校は横須賀の基地にあった小学校で、みんなハーフの子だったし英語も喋っていたので。
ーラップを始めたのは、いつどんなきっかけで?
Kazuo:もともと、フリースタイルとかはしていたけど、曲作りとかは高校三年生頃から初めたんです。その後、大学に入ってから本格的に音楽活動を始めました。
ーちなみに、最初に好きになったラッパーは誰でしたか?
Kazuo:多分、リュダクリスかな?アルバム『Chicken-n-Beer』を聴いて。彼の声、めっちゃ好きだったんですよ。でも、一番最初にラップの教科書にしたアーティストはエミネムです。フェイヴァリットは『The Marshall Mathers LP』ですね。
ー名盤ですよね。「Stan」が入ってる。
Kazuo:あと、「Kill You」とか「The Real Slim Shady」とかも。横須賀のベースにあった高校に通っていたときに初めて聴いたんです。
ーラップを始めた頃から、すでにビートも自分で作っていたんですか?
Kazuo:いや、最初はYouTubeでビートを落としてレコーディングしていました。でも、Spotifyに自分の曲をアップしたいと思うようになって、それがきっかけでビートも自分で作り始めたんです。
ー「URUSAI」のMVもKazuoさんが制作したんですよね?
Kazuo:はい、自分で編集しました。
ーすごくクリエイティヴですよね。なんでも器用に出来て、とにかくびっくりしました。
Kazuo:ありがとうございます。最初、音楽活動を始めた時、周りの誰もやってくれなくて、他の人には頼れないから自分でやるしかない、と思って。
ー「URUSAI」はDJ RYOWさんとのコラボ楽曲ですけど、これはどんなきっかけで作られた曲ですか?
Kazuo:RYOWさんから直接連絡が来て、ビートを送ってきてくれたんです。それで、二日後には僕がヴァースを乗せてRYOWさんに返したら「いい感じです」って返事をもらって。しばらく連絡が来なくて「この曲、ダメだったのかな」って思ってたら、「MV撮れる?」って聞かれたんですよ。
その次の週にカリフォルニアに行く予定があって、MVまで撮れるか分からなかったんですけど、結局、連絡をもらった次の日に一日中撮影したんです。映像のエディットは日本に来る飛行機の中でやりました(笑)。
ーすごいスピード感!Kazuoさんといえば、昨年、フル・アルバム『AKUMA』をリリースされて。アルバム全体を聴いてすごくユニークだと思ったのは、曲と曲の間がすごく短いこと。アルバム全体がシームレスに聴こえて、一つの大きいストーリーのように感じたんです。
Kazuo:周りからも同じことを言われましたね。僕にとって、それぞれの楽曲のペーシングがめっちゃ大切だったんです。それで、「曲がいつ終わって始まるか」って部分で、聴いている人をトリックしたいなと思って。
ーそれがすごく効果的に表れている感じがします。あと、どの曲もベース音の響きがすごくて。クラブのスピーカーで聴いたら超気持ち良さそうですよね。
Kazuo:はい、ベースが好きで(笑)。僕以外のビートメイカーが作った曲を選ぶときは、いつもベースが激しいもの選んでいます。自分でビートを作っているときは、とにかくベースを激しくしていて。
ーめちゃくちゃ納得できます。曲だけを聴いたら、とてもアグレッシブで凶暴なヴァイブスもあるから、正直、今日は一体どんなラッパーの方がいらっしゃるのかと思っていたんです。そしたらすごく落ち着いているから、逆にびっくりしちゃって。
Kazuo:ラッパーとしてのKazuoは、別の人格のようなものなので。
ーそれは、オルターエゴ的な、ってこと?
Kazuo:はい。ラッパーのKazuoは、法律も関係ない、何でもやれるぜ、みたいなマインドセットでラップしてるんです。普段のKazuoは、むしろずっと家にいるタイプ。
ーそういうことだったんだ。ちなみに、日本語のラップは聴きますか?
Kazuo:普段は主にアメリカのラップを聴いてるんですけど、日本の友達の作品は聴きます。例えばLeon Fanourakisとか毎日聴いてます。
ー今の日本のヒップホップ・シーンって、Kazuoさんの目にはどんな風に映っていますか?
Kazuo:めっちゃいいですね。MCバトルの盛り上がり方とかを見てると、90年代くらいのアメリカのシーンに似たアツさを感じます。フリースタイルのバトル、アメリカではもうあまりやってないですから。
ー昨年はアルバムのリリースがありましたが、2021年はどんな年になりそうですか?
Kazuo:検疫していた時にたくさん曲を作ったんで、リリースも色々と準備しています。あと、日本に帰ってきてから、すでに僕の好きなラッパーと色々話しているので、コラボの作品も進めていて。
ー日本でやってみたいことは?
Kazuo:ツアーをやってみたいですね。あと、できればフェスにも出てみたいと思っています。
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