BACKSTAGE TALK #13 MULBE

AbemaMix出演の合間に、HIPHOPライター 渡辺志保氏がアーティストにインタビューを実施!
ココでしか聞けないBACKSTAGE TALKをお届けします!

MULBE「1st ALBUMはクラシックと呼べるものにしたい」ソロ・デビュー作への強い想い
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ーMULBEさんも私も広島市出身ということで。勝手に親近感を覚えています。でも、割と早い時期から東京在住なんですよね?

MULBE:もともと広島市西区に住んでいて、親の事情で16歳の時に東京に来たんです。広島にいる時からサッカーをずっとやってたので、サッカー推薦でこっちの高校に入って。そこの高校の先輩にMSCのPRIMALさん達がいて、先生がCDをくれて繋げてくれたんです。
たまたまだったのかもしれないけど、こうした縁も、今思えば必然的だったのかなって。環境にはずっと恵まれていると思いますね。

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ーそこからラップを続けてらして、D.D.Sさんとのユニット、N.E.Nとしての活動もあった。今回、体感的には「やっとソロ・デビューしたんだ」と思って。ソロ・アルバムの発売までに、だいぶ時間が掛かったのでは?

MULBE:そこはあまり意識してなかったんです。N.E.Nをやって、去年は自分の作品をまとめたMIX CD『MOVE mixed MACKA-CHIN』も出していたので。

この『MOVE』は、MACKAさんと一緒に作ったものなんですけど、新曲も入っていたから「MIX CDではなくてALBUMみたいになっちゃいませんか?」ってMACKA-CHINさんに聞いたら「こっちの気持ちでしょ」って。

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ーじゃあ、今回の『FAST&SLOW』が正真正銘のソロ・デビューということで。「いよいよ作るぞ!」とスイッチが入ったのはいつ頃でしたか?

MULBE:『MOVE』を出した後に、次は自分でVINYLを出そうと決めていたんです。その時はレーベルとかそういう細かい事情は気にせずに、とりあえず作ってみようと。音源を作り始めた時に、WDsoundsのLIL MERCYさんと一緒に遊ばせてもらっていて、仙人掌くんと作った「DO ORIGINOO」を聴いてもらったり、ああだこうだと色々と相談に乗ってもらっていたら「これ、アルバムにしてもいいんじゃない?」と言ってくれて。

「1st ALBUMはクラシックと呼べるものにしたい」という思いが前からあったので、自分のハードルも高く設定した。そこら辺が、完全にスイッチが入った時期でした。2020年の4月くらいでしたね。

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ーコロナの影響はありましたか?

MULBE:変わりました。でも時間の使い方が変わったくらいで、逆に音楽と向き合える時間は増えてポジティブ・マインドにもっていけました。アルバムを作るには、ベストのタイミングだったと思います。

ーアルバムに集まったゲストの面々は仙人掌さんやMEGA-Gさん、そしてD.D.Sさんら、旧知の仲のラッパーたちばかりで。

MULBE:そうですね。今回は大体、各曲のビートを先にもらっていたので、曲に当てはめていきながらゲストを決めました。どの曲も、バッチリハマったと思います。仙人掌くんとの曲は、SEEDA氏の映画「花と雨」もあって。

ー仙人掌さん、「花と雨」ではラップの演技指導をやってらっしゃいましたもんね。ヴァースの1行目にも「今じゃ映画のエンドロール」というリリックがあって、生身の体験をラップしてるんだなと感じました。

MULBE:この曲、『MOVE』の時に制作したので、1年半くらい前にできた曲なんです。実はSEEDA氏の「不定職者REMIX」にこのヴァースが使われるかもしれなかったんですけど、仙人掌くんが「やっぱりこのヴァースは「DO ORIGINOO」の為に書いたものだから」と言ってくれて、それで晴れて収録することができました。映像とかでもヴァースを蹴ってくれいるのを見れるので嬉しいです。

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ーT2Kさんとの「RERESENT ME」はノスタルジックな描写もあってグッと来ました。T2Kと渋谷・宇田川町といえば”BOOT STREET“を連想できるじゃないですか(2004年にオープンしたCD&DVDストア。D.Oが店舗のプロデュースを行っており、T2Kはそこに勤務していた)。

MULBE:今じゃ世代も街もどんどん変わってきちゃって、どうしてもそれが過去のものになってしまう。でも当時の経験があったから、今もあると思うんです。おこがましいけど、そこを言いたいと思って。

あと、広島から出てきて、最初に出来たストリートの友達がT2Kなんですよ。だから昔から知ってるT2Kとやっと二人で曲ができたのは嬉しかったですね。

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ーD.D.Sさんとの曲は少し時事的なこともラップしていて。

MULBE:これが一番最後にできた曲なんです。バチっとハマった感じがありますね。というかハメてくれました。今回D.D.S君とやる曲は本当に悩んで。これまでのN.E.Nっぽくしようか、それかトラップみたいに期待を裏切るようなビートでやってもおもろいかなと思ったんで。

でも、ここまでALBUMをオーセンティックにまとめているし、ライブを想定したら絶対にバンギンなビートでしょ、って事で。

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ーCDを見るとクレジットが書いてあるわけですけど、”Spiritual Advisor“としてMACKA-CHINさんの名前が。これは一体?

MULBE:このアルバムの制作中、MACKAさんには真面目な話からくだらない相談もしていて。この作品はCDより先にVINYLが出ているんですけど、そういうことに関しても俺が迷ったりブレそうになったりしたら、MACKAさんが的確なアドバイスをくれて、ガッと舵を切ってくれたんです。本当に、唯一無二の存在ですね。

『MOVE』の時も、恐れ多くもこちらから連絡して、色々と相談に乗ってもらっていたんです。なのでMIX CDからVINYL、CDとリリースするにあたって支えて頂いた大切な”Spiritual Advisor“です。

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ーアルバムに収録されている「SCAR」には「HIPHOP 何でもあり」いうリリックがあるじゃないですか。今、ヒップホップってすごく拡がっていて、プレイヤーもリスナーもより多種多様になってきたと思うんです。「何でもあり」と言いつつも、人によって何がヒップホップなのか、そのこだわりはそれぞれ異なると思っていて。MULBEさんにとって「これだけは外せない」と思うヒップホップの条件みたいなものはありますか?

MULBE:昔からラップを書いていて、このスタイルを続けていく上で絶対譲れないものは「首を振れるか振れないか」という点ですね。トラップだろうとブーンバップだろうとドリルだろうとかっこいいものは首を振って反応しちゃう。そこが一つの判断基準ですね。だからアルバムのビートを選ぶ時も、まずはイントロから首が振れるかどうかを意識しました。

皆さんも、聴いている時に、小刻みで激しく首を振ってもらえれば最高ですね。

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MULBE 『AbemaMix』SP LIVE SET
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