学生時代にフェンシング日本代表を経験し、2019年のミスター慶應では栄えあるグランプリにも輝いた。現役大学生ながらも昨年12月に長澤まさみ、浜辺美波らが名を連ねる芸能事務所・東宝芸能に所属し、早くもドラマデビュー。加えてSEKAI NO OWARIとMusic Story produced by ABEMAがコラボしたショートドラマ企画「Music Story」の第1弾「YOKOHAMA blues」にも大抜擢されるという大型ぶり。デビュー早々に大快進撃を見せる現役慶大生・西垣匠(21)は、令和発のニューカマーとなるか!?ブレイクして忙しくなりすぎる前に、そんな期待の新人を直撃してみた。
聞くところによると、直撃したこの日は朝10時から夜6時まで取材が殺到しているという。注目度の高さに驚いているのは、西垣自身だったりする。「自分の人生に起こったことを話しているだけなので、そんな記事を皆さんが読んでくれるのだろうか?そして面白いと思ってもらえるのだろうか?と不安です。明日はきっと表情筋が筋肉痛になっていると思います(笑)」と慣れないインタビュー取材に初々しい反応を示す。
とはいえ俳優業への憧れは小学校低学年の頃からあり、現在の地点は長年の夢への第一歩を踏み出した形だ。しかし大学に入学するまではその夢を密かに胸にしまい、小学校3年の頃から指導者の父のもとフェンシングに打ち込む日々を送っていた。学生時代はフェンシング日本代表に選ばれるなど、キャリアも実力もあったが「高校生活最後のインターハイの結果は6位。その時に感じたのは『悔しい!』ではなく『これでいい』という満足でした。その瞬間にフェンシングは続けられないと思ったんです」と剣を置き、伏せていた夢である芸能の道を目指すことに決めた。
当然両親からは「もったいない!」と引き止められた。しかし西垣の決意は固く、フェンシングでも成し遂げられなかった“1位”という称号を「ミスター慶應」で実現。表彰の瞬間を客席で見守っていた両親からも「自分のやりたいことがあるならば、それを目指すのもいい」と理解を得ることができた。
奇遇にも同郷のスター・浜辺美波と同じ事務所に所属。その浜辺とは所属時に挨拶をしたというが「僕が『同郷なんです』と伝えたら『あら、そうなんですね~』と言って下さって。その時は時間がなくてそれくらいしか言葉は交わせませんでしたが、いつかちゃんとお仕事の場で改めてご挨拶したいです」と俳優としての再会を期待している。
その再会も時間の問題かもしれない。西垣は今月2月にMBSの連続ドラマ『夢中さ、きみに。』、『西荻窪 三ツ星洋酒堂』に出演したほか、ショートドラマ企画「YOKOHAMA blues」ではKaito、古川琴音と共演。切なくも複雑な三角関係を展開した。
SEKAI NO OWARIファンというだけに西垣は「嬉しい一方で、本当に僕で大丈夫だろうか?という不安がありました。しかもKaitoさんや古川さんら第一線で活躍されている方々との共演だったので…」と抜擢に戸惑いもあった。だがそれもKaitoの優しさに包まれて杞憂に終わった。「ギターを弾くシーンではKaitoさんがギター初心者の僕に『この指とこの指で弦を押さえればいい音が出ますよ』と丁寧にコードを教えてくださって。とても嬉しかったです」と紳士的対応に感謝しきりだ。
(「YOKOHAMA blues」より)
デビューしてたった2ヶ月しか経っていないが、すでに撮影現場では「緊張しない」という。それは長いフェンシング歴の賜物だ。「数多くの試合で緊張を経験してきたので、本番には強い方だと思います。一つのことに集中する精神力も鍛えられました」と経験に無駄はない。それどころか活きることばかり。「フェンシングで得意だった技は、防御しつつも相手の動きを読んで攻撃する“リポスト”。相手を観察し間合いを見ながら仕掛けることが得意だったので、お芝居にも活かしていきたいと思います。フェンシングは剣技ですから、時代劇の殺陣にも応用できるはず」と実用の機会を待ち望んでいる。
本格始動となる2021年。西垣は「とにかく色々な作品に携わり、様々な人と出会って吸収する1年にしたいです。まずは“リポスト”のように受けて、攻撃である“トゥシュ”が上手くできるよう、勉強と準備をしていきたいです」と早くも先々を見つめている。
ヘアメイク:高村 三花子
衣装提供:COTORICA.
テキスト・写真:石井隼人