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 来週にもファイザー製の新型コロナウイルスワクチンが承認される見通しとなり、いよいよ日本でも接種がスタートする。10日の『ABEMA Prime』では、接種が進む米国ニューヨーク州で内科医として勤務する傍ら、日本に向けた情報発信を行っている山田悠史医師に話を聞いた。

・【映像】ワクチン接種した日本人医師に聞く"効果とギモン"

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 「アメリカでは今週をもって医療従事者への接種がほぼ完了するので、一般の人への接種も始まっていて、州やかかりつけのドラッグストアからも“対象になっていますよ”という連絡が来るようになっている。接種対象になっていないが、“余ったものを打てないか”と接種会場に並ぶ人もいて、中には若い方もいると聞いている。一部の州では、そういった方たちへの接種を行っているようだ。私の住むニューヨーク市内では現在ウェブ上で予約をすることができ、65歳以上の高齢者、そして交通機関やレストランなど感染者に接触する可能性が高い職業の人が接種対象になっている。そのせいもあって、多くの人が接種を“自分事”としてとらえ、前向きだ」と山田医師。

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 自身も2度の接種を終えているといい「注射自体はほとんど何も感じずに終わったが、注射後の痛みはインフルエンザよりも少し報告が多いかもしれない。私も翌日から肩こりのような違和感を感じた」と明かした。

 また、その効果、リスクについては「1回目の接種をしてから10日~2週間くらいで効果が出始め、最大化するのが2回目の接種から1週間後くらいからと考えてもらえばよい。アメリカの感染流行のカーブや重症者数・死亡者数の推移を見てもらうと、1月以降、急激に減少傾向が見られる。もちろんソーシャルディスタンス、ニューヨークではインドアのダイニングも全て閉めていることでの効果もあると思うので、ワクチンの効果かどうかを議論するのは、まだ少し早いと思う。そしてリスクがゼロではなく、重大な副反応もこれまで報告されている。しかし我々が想像していたよりも頻度が高かったり、想像外の副反応が起こったりということは、今のところ見られていない。もちろん、どの国にとっても初めての経験と言わざるを得ないような大規模なワクチン接種になるので、すべてがうまくいっているわけではないが、順調に進んでいると言っていいのではないか」との見方を示した。

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 ただ、ワクチンを過度に怖れたり、中にはデマを拡散したりする人もいるようだ。

 山田医師は「例えばワクチンの中にマイクロチップのようなものが入っていて、注射をすると位置情報を把握されてしまうのではないかといった話もたくさん出回っていた。予約用のコールセンター、あるいは相談窓口も十分に準備されていたと思うが、接種開始と同時に全てパンクしてしまい、医療機関に直接問い合わせがくるようになった。アメリカでは主治医に直接連絡が取れるようになっているので、私のところにもメールなどで連絡があった」と話す。

 「ワクチンというのは打つと体調が良くなるというようなものではないので、効果が見えない。その一方、リスクである副反応は見えやすい。背景には新しいものに対する漠然とした不安があると思うし、そこを埋めてくれるようなニュースに飛びついてしまうのだと思う。そこは私たちも常に気を付けるようにしていて、なるべく不安に寄り添っていければと考えている。逆にメディアには、ワクチン接種を受けないリスクというところもしっかりと伝えていただきたい」。

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 こうした経験を踏まえ、山田医師らはLINEで確認できるコロナワクチン情報提供サービス「コロワくんの相談室」を提供している。「ニューヨークでコールセンターや相談窓口がパンクする経験をしたので、皆さんが不安や疑問について手元ですぐに回答を得られる方法があった方がいいだろうと考えた」。

「できるだけ多くの方に薦めなければならないと思う」ワクチン接種した在米日本人医師に聞く
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 その上で「最初の目標は高齢者や持病を持っている人など、重症化しやすい方たちが世界中でしっかり守られること。そして最終的に感染を収束させ、話題になっている変異株の発生を少しでも防ぐという観点に立てば、感染する人をなるべく減らすということが必要になってくる。そのためには、できるだけ多くの方にワクチン接種を薦めなければならないと思う」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

ワクチン接種した日本人医師に聞く"効果とギモン"
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