「座っているだけでは仕事は降って来ない」弘中綾香アナが入社以来貫く、アナウンサーという職業への向き合い方
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テレビ朝日の局員でありながら他局のラジオ番組に出演、今月は初のフォトエッセイ『弘中綾香の純度100%』(発行・マガジンハウス)を発売するなど、女性アナウンサーのイメージの枠に収まらない活動を続ける弘中綾香アナウンサー。

担当する番組では歯に衣着せぬ発言が幅広い層から支持を集め、「好きな女性アナウンサーランキング」(オリコン調べ)では2連覇を果たしている。

・3月1日15時~弘中綾香アナとひろゆきが“お悩み相談室” 迷える就活生たちの悩みに全力回答

まもなく入社9年目を迎える弘中アナに社会人として輝くための“仕事術”について尋ねてみると、入社以来一貫して大切にしているという仕事への向き合い方を教えてくれた。

若い頃は凹むこともありました

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最初の担当番組は、竹内由恵アナから引き継いだテレビ朝日の看板番組『ミュージックステーション』のサブMC。入社直後の抜擢は大きな注目を集めた。

「新人でしたし、ただの“運”だと思いました。ただ、スタッフや上司からの“MステのサブMCを務めた先輩アナウンサーたちは局を代表するようなアナウンサーに成長している。それに続けよ”とか、“Mステがピークになってはダメだよ”というアドバイスを聞いて、この経験を活かしていかなきゃ、という気持ちをずっと心に持ち続けていました。

 違う仕事では、先輩に頼まれて資料をまとめるということもありました。そういう時に心掛けていたのは、“丁寧に、そして、なるべく早く提出する”ということです。基本的なことですが、限られた就業時間の中で、与えられた仕事をどれだけこなせるか、ということだと思います」。

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テレ朝YouTubeチャンネルでは、後輩の林美桜アナに時に厳しく、時にあたたかな指摘を繰り出す。後輩、そして先輩、上司と接する上で大切にしていることとは?

「後輩には気付いたことはアドバイスするようにしています。 でも、何が正解かというのがあまりない世界なので、その子の発言や行動の意図を汲み取りつつ、“私はこう思うよ”とか“私だったらこうするけど”という形で、選択肢を提示するように心がけています。

私も若い頃は凹むことがありました。そういう時には先輩方に時間を作っていただき、話を聞いてもらうようにしていました。日頃からコミュニケーションを取るようにしておけば、先輩方も一生懸命に相談に乗ってくださいます。今はコロナの影響もあって難しいですが、たまには一緒にランチを食べに行くとか、そういう時間も働く上では大事なことだと思います。

上司とも、日頃から出来る限りコミュニケーションを取るようにしています。メールに限らず、時には電話で “私の理解不足で申し訳ないんですけど、説明していただけませんか?“と、お互いにしこりが残ったり、フラストレーションが溜まったりしないように」。

“悪意ある切り取り“には傷つく

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知名度に比例して、ネットでは批判を浴びることもある。心無い投稿を目にして傷つくことは無いのだろうか。

「アナウンサーというのは、いろんな人にいろんなことを言われる職業です。だけど、それに振り回されすぎると、自分を見失ってしまう瞬間が必ず出てきてしまいます。だから他人の意見は重く受け取りすぎず、相手を絞るということも大事なことだと思っています。

だから応援してくださる方、SNSのフォロワーさんに言われて傷くことはありません。たまに“太った?”とか。“髪切った方がかわいい”“なんて言われることもありますけど、それは親切心からくるものだと思うし、あまり目くじらを立てることではないと思っています。

傷つくのは、悪意のある切り取りをしてPVや部数を稼ごうとするメディアに利用されることです。それは腹立たしいですね」。

InstagramやYouTubeでも活躍する弘中アナだが、アナウンサーという職業に求められるスキルの幅が広がっていることについてはどう考えているのだろうか。

「テレ朝もYouTubeをやっているし、ABEMAもあります。単純に、出る枠が増えたので、地上波の外でも仕事をしなくてはいけなくなったので、求められるスキルそのものも変わってきたということだと思います。

下の世代の子たちを見ていると、あまりにも求められるものが多く、本末転倒になってしまわないかな、という不安はあります。私が新人だった頃は“番組の進行やニュースを読む仕事を頑張りなさい”という時代でしたし、そのための力を磨くことに注力出来た期間がありました。

でも、今はすぐInstagramを始めて、自分の投稿がどう引っかかるかを考えなくてはいけないし、YouTubeも番組に出ている時とは違う個性を自分の力で引き出していかなくてはいけないですよね。“大変だろうな”と、見ていて思います」。

選んでもらって終わりではない

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自身初のフォトエッセイ「弘中綾香の純度100%」(マガジンハウス刊)を上梓した。話す職業のアナウンサーにとって、書くことの魅力とは?

「伝えるという意味では、画面に出て喋ることも書くことも同じです。ただ、番組での私の仕事は、共演者の方もいらっしゃって、テンポよく会話の内容が変化して、という中でのレスポンスの早さとか頭の切り替え、つまり短距離走的な要素が非常に大きいんです。どんなボールが飛んで来るかわからないけれど、とにかく打ち返す力が大事。

書くということは、頭の中にぼんやりとあることやオンエアなら3秒間のテロップになっちゃうことも1000~2000字のボリュームで伝えることが出来ます。伝える作業でも、競技が違うというか、深さが違います。普段は喋ることを仕事にしているからこそ、じっくり言葉を紡ぐことで伝える素晴らしさ、難しさに気付きました」。

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激レアさんを連れてきた。』『あざとくて何が悪いの?』『ノブナカなんなん?』などのレギュラー番組を抱え、多忙な日々を送っている。そういう中でも入社以来、一貫して大切にしている仕事への向き合い方について聞いてみた。

「アナウンサーの仕事は、ただ座っているだけで降ってくるものではないんです。局の中にはアナウンサーがたくさんいますから、選んでもらわなくてはなりません。そして、選んでもらったらそれで終わりではなく、番組を終えた時に“弘中を選んで良かった。また一緒に仕事がしたい”と思ってもらわなければ、次も仕事が回ってくるとは限りません。

“他の誰か”じゃなくて、“私を使って良かった”と思ってもらえることが大事なんです。だから入社以来、 “使って良かった”と思ってもらえるようにと、一回一回の仕事に取り組んできたつもりです。

そして、 “女子アナのくせに”と言われることに違和感を覚えることがとても多かったんです。だから私は“~なのに”とか“~くせに”と言って相手を決めつけるようなことはしないようにしています。自分が言われて嫌だなと思う言葉は使わず、多様性を認めていきたいですね」。

取材・テキスト:中山洋平

撮影:藤木裕之

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