ボコボコに殴られ、髪を引っ張られ…相次ぐアジア人へのヘイトクライムにパックン「アメリカの理想を聞いて育った僕としては、恥ずかしい限りだ」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(7枚)

 アメリカ国内でアジア系の住民を標的にしたヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えているという。

・【映像】コロナ禍で多発アジア人へのヘイトクライム 差別の連鎖止めるには...

 先月25日にはニューヨークのチャイナタウンを歩いていたアジア系男性が何者かに背中を刺され重傷を負ったほか、ロサンゼルスにある東本願寺別院も放火や破壊行為の被害に遭った。こうしたヘイトクライムの発生件数は今年に入って16都市で122件と、2019年の2.5倍(ニューヨークでは9倍)に達している。

ボコボコに殴られ、髪を引っ張られ…相次ぐアジア人へのヘイトクライムにパックン「アメリカの理想を聞いて育った僕としては、恥ずかしい限りだ」
拡大する

 こうした状況を受け、ニューヨークの日本総領事館は今月3日、現地の日本人に対し、必要に応じて帽子やフードで外見の露出を減らすよう注意喚起、バイデン大統領は11日、「アジア系アメリカ人への凶悪なヘイトクライムが続いている。攻撃され、嫌がらせをされ、お前達のせいだと言われ、スケープゴートにされている」と非難した。

ボコボコに殴られ、髪を引っ張られ…相次ぐアジア人へのヘイトクライムにパックン「アメリカの理想を聞いて育った僕としては、恥ずかしい限りだ」
拡大する

 ニューヨーク在住のジャーナリスト・津山恵子氏は「すでに3、4通、日本領事館から注意のメールが来ている。ニューヨークに住んで18年ぐらいになるが、このようなメールは来たことはなかった。アジア人をターゲットにしているのは白人だけではなく、黒人やラティーノの人にもいると思う。去年の3月にロックダウンが始まって以降、暗くなったら外出しないといったことを多くのアジア人が実践していると思うし、私も外出時にはすれ違う人にも注意をしている。しかし私の知人の場合、若いラテン系の男女に後をつけられ、人気のないところでハンドバックを奪われそうになった。抵抗したためにボコボコに殴られた上、髪の毛引っ張られたくさん失った。中には“ジャパニーズだと叫べ”という意見もあるが、それは絶対にやってはいけない禁じ手だと思う。これでは“中国人だけにしておいてよ”というようなことを言っているのと同じだし、金品が目当ての人には全く効かない」と話す。

ボコボコに殴られ、髪を引っ張られ…相次ぐアジア人へのヘイトクライムにパックン「アメリカの理想を聞いて育った僕としては、恥ずかしい限りだ」
拡大する

 背景にあるのは元々あった差別意識やトランプ前大統領の言動、さらにコロナ禍があるという。

 「やはり単純に金品が欲しいという理由で、自分たちよりも華奢に見えるアジア人を狙っているところもあると思うが、もともとアジア系に対する警戒心やヘイトについては歴史的なものがあると思う。日系人が西海岸に来たことで、農業関係者などの中には仕事を奪われた人がいるということで、“自分たちに不利益をもたらすのだ”という観念が頭の中に染みついているという部分が大きいと思う。これは白人が黒人を差別して来たのと全く同じ構図だ。加えて、この1年間のロックダウンで不満が鬱積しているというのは背景にあると思う。そこにこの4年の間、新型コロナウイルスのことを“チャイナウイルス”と呼ぶ人が政権を担ってきたことがある。アメリカ人としては日本人も中国人もフィリピン人も南アジアの人たちも見分けがつかないので、そのこともアジア系全体に対するヘイトスピーチ、ヘイトクライムに繋がっていると思う。

ボコボコに殴られ、髪を引っ張られ…相次ぐアジア人へのヘイトクライムにパックン「アメリカの理想を聞いて育った僕としては、恥ずかしい限りだ」
拡大する

 今のアメリカは50%・50%にはっきりと分かれてしまっている状況だし、この分断の解決に即効薬はない。それでもバイデン大統領が“青でもなく赤でもない”、つまり“共和党でも民主党でもない、アメリカ合衆国の大統領になる”と言ったわけだから、マイノリティとしてもコミュニティや市議会の中で声を上げていくという地道な作業を積み重ねていかなければならない。一方、“ミレニアル”“ジェネレーションZ”と呼ばれる世代はインターネットが登場して以降に育ったので情報量も多く、2030年以降には白人がマイノリティになるという状況で育っている。先週月曜日にはジョージ・フロイドさんの公判が始まるというブラック・ライブズ・マターの節目の日だったのでデモ活動も行われたが、中には“アジア人に対する差別もいけないんだ”という看板を掲げた若い人たちもたくさんいた。そして先週のバイデン大統領の演説もあって、被害や経緯がメディアでも取り上げられている。これは私たちにとっても非常にありがたいことだと思う」。

ボコボコに殴られ、髪を引っ張られ…相次ぐアジア人へのヘイトクライムにパックン「アメリカの理想を聞いて育った僕としては、恥ずかしい限りだ」
拡大する

 コロラド州出身のパックンは「マイノリティの人たちが顔を隠す一方、かつてはマスクをかぶっていたKKKや白人至上主義者が堂々と顔を出し、差別的な動画をYouTubeにアップしたりしている。いろんな人種、宗教、ルーツの人々が一緒に国を作り上げるのだというアメリカの理想を聞いて僕は育った。それとは真逆の動きで、恥ずかしい限りだ」とコメント。

 カンニング竹山は「あってはならないことだが、日本人だって他の人を差別している現状もある。人間は至るところで差別をしているので、アメリカが悪い、ヨーロッパが悪いと言うだけではダメだ」、ジャーナリストの堀潤氏は「太平洋戦争の際にアメリカ国内に住む日系人たちが強制収容所に入れられるということがあったが、この出来事についてオバマ大統領やバイデン大統領が謝罪をするのは、現代にもつながっている根深い問題だという認識があるからだ。私たちもまた、自分たちはどうか、というところに目を向けないと、根本的な解決には結びつかないのではないか」と話した。

ボコボコに殴られ、髪を引っ張られ…相次ぐアジア人へのヘイトクライムにパックン「アメリカの理想を聞いて育った僕としては、恥ずかしい限りだ」
拡大する

 津山氏も「これは他人事ではないというふうに思っていただきたい。日本には目には見えない、とても細かい段階の差別がある。例えば女性が最大のマイノリティになっていると思うし、コロナの患者や家族の方々、頑張っている医療従事者の方々への差別もある。そういったものをなくしていくということを考えるきっかけになればいいと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

コロナ禍で多発アジア人へのヘイトクライム 差別の連鎖止めるには...
コロナ禍で多発アジア人へのヘイトクライム 差別の連鎖止めるには...
怒羅権創設メンバーなぜ半グレに?
怒羅権創設メンバーなぜ半グレに?
自粛疲れに限界?緊急宣言は延長か解除か?
自粛疲れに限界?緊急宣言は延長か解除か?

■Pick Up

【Z世代マーケティング】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 | VISIONS(ビジョンズ)

この記事の写真をみる(7枚)