原作者である井上雄彦氏の公式ツイッターに掲載されたこのメッセージを見た瞬間、心と体から熱いエネルギーが湧き出した方も多いのではないでしょうか。筆者もその内のひとりです。青春を共に駆け抜けた「SLAM DUNK」の新たな躍動をこの目にできる喜びは、何物にも代えがたいものがあります。
まだ新劇場版の詳細については内容も公開時期も明らかにされていませんが、連載終了から四半世紀が経過した今の時代に再スタートを切るのです。ほぼ間違いなく、かつて「SLAM DUNK」に熱中した世代が中核となって進められているプロジェクトでしょう。きっと今ごろ、熱狂的なファンの中から選び抜かれた最精鋭の方々が、どうすれば最高の「SLAM DUNK」を描けるのか持てるエネルギー全てを絞り出して動き回っているはずです。私たち一般のファンは安心して続報を待ちましょう。
とはいえ実際、劇場版と言ってもどのような作品になるのでしょうか。TVアニメは湘北高校が全国大会への出場を決めた後にアニメオリジナルの神奈川オールスター練習試合をこなした段階で終了し、原作の対豊玉高校戦、対山王工業高校戦については描かれていません。ファンが一番劇場化して欲しいと考えているのが、おそらくこの全国大会の部分でしょう。
過去に公開された劇場版4作品では、古豪・津久武など原作に存在する高校が登場したこともありますが、基本的にはオリジナルのストーリーが展開されています。原作が終了している今は、エピソードを厳選し、徹底的に濃厚に描くことも可能になっているのです。数々の名試合が繰り広げられた本作においては。どの試合がベストバウトなのかが今なお話題となっています。
ただ多くのファンが劇場版を「1回」と思っているようですが、その点についてはまだ何も明かされていません。そう、別に劇場版を数回に分けたってかまわないのです。密度の濃い熱いストーリー見せてもらえるのであれば、何回だって見に行きます。そう考えているファンは多いと思いますし、筆者もすでに覚悟は完了しています。
例えば全4回と仮定して、第1回を冒頭から翔陽高校戦、第2回を海南大附属戦、第3回を陵南高校戦、第4回を山王工業高校中心の全国大会編にするというやり方もあるのではないでしょうか。もちろん全7回くらいにして序盤の陵南高校との練習試合や豊玉高校との試合も詳細に描写するというのもありでしょう。劇場版アニメでは『鬼滅の刃』を手掛けた製作会社「ufotable」が『空の境界』という作品で全7部作を実現しています。「SLAM DUNK」という作品の大きさを考えれば十分可能ではないでしょうか。
そもそも久々の再始動と言っても、新規のファンを無視するわけには行きません。連載終了後も「SLAM DUNK」は刊行を重ね続け、連載終了から8年が経過した2004年にはジャンプ・コミックス版単行本日本国内発行部数が1億部を突破しています。2018年には新装再編版も刊行されており、おそらくは今もなお、ファンを増やし続けているのです。TVアニメ終了後にファンになった方でも新劇場版を楽しめるようにするには、いきなり全国大会編からスタートする前に、これまでを振り返るものがあってもいいでしょう。
もちろん原作を元にしたオリジナルストーリーが展開されることもありえます。そもそもアニメか実写かも明かされてはいない状態なのです。果たしてどのような形での劇場版になるのか、いずれ発表されるでしょう。今はかつての熱情と共に、新しい情報が公開されるのを待ちましょう。
（C）井上雄彦 I.T.Planning,Inc.
（早川清一朗）
