公開中の人気映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の舞台挨拶が4月11日、東京・新宿バルト9で行われ、庵野秀明総監督、鶴巻和哉監督、前田真宏監督、主人公・碇シンジ役の緒方恵美が登壇した。庵野総監督が『エヴァンゲリオン』シリーズで舞台挨拶をするのは、今回が初。命を削って作ったと言われる今作の大ヒットに「本当にありがたいです」と、ファンに向かって深々と何度も頭を下げた。
緒方が進行役を務める形で行われた舞台挨拶で、庵野監督は「スタッフの代表としてお礼を言う最後のチャンスかなと思って、出ることにしました」と冒頭に挨拶。テレビ放送から数えて25年以上に渡る長期間手掛けた『エヴァ』シリーズの集大成となる作品が、興行収入70億超となっていることに「80億ちょっといったら『シン・ゴジラ』を超えてくれる。僕の中ではレコードになるし、100億行ってくれるとアニメ業界の活性化にいい」と語った。また「『鬼滅の刃』とか新海誠さんが100億を超えるのは当たり前。狙って当然の作品群」と評価した上で「エヴァはロボットアニメ。それで100億を目指せるのはありがたい」とも語った
作品が完成した瞬間は「安堵ですね。終わった時は感謝ばっかり。各セクションにお礼を言って終わりました」と明かし、ドキュメンタリー番組で紹介されたアニメ映画としては異例の制作工程については「本当に大変なんで、やらない方がいいです」と話し、ファンの笑いも誘っていた。また、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を作る上で『シン・ゴジラ』の経験が大きかったといい「『シン・ゴジラ』のノウハウを活かせた。それを作っていなかったら、『シン・エヴァ』はこうなっていない」と、技術や自信の進化によって生まれた作品だと熱弁した。このほか、映画に入れ込んだポイントとして「ラストカットにものすごくお金をかけて、好きなものを1個入れています。気づいていただければ」とも呼びかけていた。
イベントの最後にもう一度挨拶すると「制作の途中からコロナ禍に見舞われて、日本中、世界中がそうなって、今もなお続いています。その大変な時期に映画館に足を運んでいただけることに、本当にありがたいです」と、改めて感謝すると、繰り返し頭を下げ、館内から大きな拍手を浴びていた。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は3月8日の公開以来、『エヴァンゲリオン』シリーズとしては初日から過去最高のペースで興行収入・観客動員数を記録。興行収入では、シリーズ初となる70億円を突破したことが発表されている。
◆『エヴァンゲリオン」シリーズ作品
1995年にテレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』がスタート。汎用ヒト型決戦兵器・人造人間「エヴァンゲリオン」と、そのパイロットとなる14歳の少年少女、謎の敵生命体「使徒」との闘いを中心に描かれると、その斬新な設定やストーリーから全26話放送後にも社会現象になるほど注目された。1997年には、テレビシリーズとは異なる結末を描いた『劇場版』が公開に。それから10年後、設定・ストーリーをベースに再構築した『新劇場版』シリーズの公開がスタート。2007年に第1作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、2009年に第2作『:破』、2012年に第3作『:Q』、そして2021年に最新作にして完結編の第4作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開された。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
絶賛公開中
総監督:庵野秀明
(C)カラー