今年は新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、恒例のバースデーライブをオンライン配信で実施した乃木坂46。全体ライブに加え、期別ごとのライブも行い、前日は2期生が単独ライブを開催し、堀未央奈の最後のステージに全メンバーが駆けつけるというサプライズもあった。2日目の公演では1期生の8人がバラエティ豊かなステージを展開し、画面越しのファンに珠玉のエンターテイメントの時間を届けた。

セーラー服を着用して爽やかなパフォーマンスを繰り広げた

 高山一実、樋口日奈、和田まあやの影ナレが行われた後、「Overture」を経てステージに登場した8人は、「制服のマネキン」からライブをスタートさせた。続けて、キャプテン秋元真夏の「画面の前の皆さん、盛り上がっていきますよ!」という掛け声から「会いたかったかもしれない」「指望遠鏡」を続けて届けると、「君の名は希望」では過去の活動を振り返るような映像の数々が画面上に映し出され、楽曲の雰囲気と相まり早くも感動的なムードが空間を満たした。

 MCで秋元が「私たちも10年間やってきて、最初1期生は30人以上いたんだけど、今ではこの8人が残っています」と切り出すと、生田絵梨花は「ライブが始まる前に円陣を組んだけれど、円が小っちゃかったね~。私たちも10年やってきたけれど、こんな経験は初めてだから、始まる前に珍しく弱気になっちゃった」とコメント。しかしその後で「みんなで“大丈夫!”と励まし合ってたりしてたら初心を思い出せたし、始まってみたら楽しいから、この楽しい気持ちのままラストまで突っ走りたいと思います」と明かし、秋元も「今日こそ10年の絆を見せられるようにみんなで頑張りましょう」と意気込んだ。

(「13日の金曜日」を歌う生田絵梨花)

(「Out of the blue」を猫語で披露した秋元真夏)

 それからライブは1期生のメンバーがそれぞれをプロデュースするという“プロデュース企画コーナー”に突入。まず、披露されたのは、星野みなみ考案による生田が歌う「13日の金曜日」。生田は同曲のセンターを務めていた斉藤優里の“これぞ王道アイドル”な煽りを完璧に再現して見せて、視聴者を歓喜させると、続けて齋藤飛鳥は猫の格好をした秋元が「Out of the blue」を猫語で披露するという斬新な企画を提案。振り切った演出でカオスな空間を生み出し、視聴者に笑いを届けていた。

ピアノ弾き語りの演技をしていた高山一実

 続けては、松村沙友理プロデュースによる高山の「僕のこと、知ってる?」のピアノ弾き語り企画が届けられた。しかし曲の途中で高山がピアノを弾いていないことが発覚。高山は瞬時に気持ちを切り替え、マイク片手にボーカルだけに専念すると、曲の最後の一節のみ本当に弾き語りをして見せて、視聴者を驚かせた。

(クールに「命は美しい」をパフォーマンスする樋口日奈)

(秋元真夏から“マナハラ”を受ける齋藤飛鳥)

 樋口のプロデューサーを務めたのは星野。“カッコイイ樋口が見てみたい”という趣旨のもと「命は美しい」が届けられ、曲中に樋口が切れ味鋭いソロダンスを披露すると、視聴者からは「かっこいい!」などその姿を称賛する声が相次いだ。秋元は齋藤をプロデュース。メイド風の衣装を着た齋藤が「ロマンスのスタート」を歌いながら、秋元の指示で全力のぶりっ子芸を披露すると、コメント欄は大きな盛り上がりを見せていた。

(クールにパフォーマンスした星野みなみ)

(松村沙友理を囲む乃木坂46メンバー)

(「ガールズルール」パフォーマンス中の和田まあや)

 和田は“セクシーな姿を見てみたい”というコンセプトで星野をプロデュース。「欲望のリインカーネーション」をクールかつ色気たっぷりに決めて視聴者を沸かせると、生田プロデュースで松村は「釣り堀」を歌唱。しっとりと歌い上げ、ファンに癒しの時間を提供すると、最後は松村の企画考案による和田の「ガールズルール」が披露された。曲中ではインド映画をモチーフとした独特な世界観の寸劇が展開され、カオスの様相の中でプロデュース企画は幕を閉じた。

 MCコーナーを経てここからライブは後半戦へ。乃木坂46には数々のユニットが存在するが、大きく「年長組」「年少組」の構成で分けられることが多い。そこで今回はこれまで年長組が披露していた「でこぴん」を生田、齋藤、樋口、星野、和田の年少組が、そして当時年少組だった“生生星”のユニット曲「ここじゃないどこか」を秋元、高山、松村の“年長組”がパフォーマンスし、ファンを喜ばせた。

 それから「インフルエンサー」「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」「Against」を連続で披露し、ファンのボルテージを一気に高めると、「画面の向こうのお前ら、油断するなよ! そっちでもタオル上げていくぞ!」という齋藤の煽りから「裸足でSummer」を熱く届け、コメント欄には「ヘイ!」という掛け声が続々と寄せられていた。

 伊藤万理華、井上小百合、中元日芽香によるユニット曲「ごめんねスムージー」を全員で披露してファンを驚かせると、生田のピアノ伴奏で「心の薬」を真っ直ぐに歌い上げた。

楽しそうにパフォーマンスする乃木坂46メンバー

 それから淡い紫色の新衣装に着替えたメンバーが舞台に登場。この衣装は本公演のために作られたもので、デビュー曲「ぐるぐるカーテン」の衣装をモチーフにしたものだという。この新衣装のアイデアを考案したのは星野。「1期生のために新しい衣装を作ってくれるなら“何がいいかな”と思い、せっかくだったら10周年ということで新しい大人っぽい私たちということと、初心に返るという意味も込めて“大人バージョンのぐるぐるカーテンも良いんじゃない”って思ってね。でも色なんかは全員で話し合ったので、みんなで作った衣装です」と経緯を明かすと、秋元は「可愛いし、成長した感じも伝わる新衣装が作れて本当によかった。みなみ、流石です!」と称えた。

 そしてこの日のライブでは、それぞれのメンバーがファンに対しメッセージを送る場面も。以下にコメント内容を記載する。

・樋口日奈

「約10年間、ここにいるみんなと過ごしてきて、その間、選抜とアンダーに分かれて活動することもあって、すごく辛くてもどかしい日々もあったりしました。でも、もっともっと乃木坂で頑張りたいとか、居心地の良さを感じさせてくれたのはここにいる1期生の存在が大きかったからだと思います。これからも乃木坂のみんなともっともっと素敵な景色を皆さんと見られたらと思います。これからもよろしくお願いします」。

・和田まあや

「私は13歳で広島から上京してきたんですけど、昔、親に“もっと教えたいことがたくさんあったのに”と言われて、お母さんもこんなに早く親元を離れることになると思っていなかったと思います。でも私はここにいるみんなにすごく大切なことをいっぱい教えてもらったなと思っています。なので、乃木坂46に入れて感謝の気持ちでいっぱいです」。

・松村沙友理

「乃木坂46に入ってから辛い時もたくさんあったけれど、でもそういう時は大好きな乃木坂46の曲を聴いて、自分を奮い立たせてました。思い返すと、みんなと笑い合っていることばかり思い出せて、こうやって大好きなみんなとライブができることもすごい幸せだと思うし、人生でこんなに大切に思える人たちと出会えたことを一生忘れないで、これからも大切に思っていきます」。

・生田絵梨花

「今日ライブをやって強く感じていることは、この10年間、ここまでいろんなことがあったけれど、でも今乃木坂のメンバーとして続けられて良かったと思うのと、この8人で今1期生として活動出来ている今が本当に幸せだと感じています。アイドルというのは期限が限られているから、1期生は間違いなく(活動の)折り返しは過ぎているわけで。だからこそ、今いるメンバーに大好きってことをこの瞬間に伝えたいし、この大好きなメンバーを応援してくれているファンの皆さんにもいっぱいいっぱいみんなに愛を伝えてほしいと思います。もちろん私たちもみなさんのことが大好きです」。

・星野みなみ

「今日このライブの裏側でも自分たちの出番が終わったら”すごく良かったよ~!”だとか、お互い声をかけている姿を見て、本当にメンバーそれぞれがほかのメンバーのことを1番に考えているから、10年間も乃木坂として活動できたんだなと思って、みんなと10周年を迎えられたのはメンバーのおかげだと改めて感じました。これからも8人というちょっと少ない人数になっちゃったけど、限られた時間をみんなとファンの皆さんと楽しんで、悔いのないようにしていけたらいいなと思います」。

・高山一実

「初めてデビュー曲をいただいた時のことをすごく覚えてます。そしてデビュー曲を披露した、読売ランドの景色が今でも心に残っていて。幸せで、客席が眩しくて、それですごいうれし涙が出てきて。自分がアイドルになったんだなと実感しました。今回のリハーサルで『ぐるぐるカーテン』を歌ったときに、この音源のメンバーがこんなにもいないんだとこないだはちょっと悲しくて泣いてしまいました。『ぐるぐるカーテン』はすごく自分の感情が乗る曲です。今日は画面の前の皆さんに離れていても気持ちは1つだよと思いながら歌わせていただきたいと思います」。

・齋藤飛鳥

「中学1年生の頃からずっと一緒にいてくれているメンバーは私のどんな変化もすごく優しく、受け入れてくれました。いつも私は言葉が足りないと思っているんですけど、みんなのことが好きなので、みんながいてくれたらどんな風にもどんな姿にも変わっていけるなと思います。そしてそれをファンの皆さんがあたたかく見守ってくれたらうれしいなと思います。改めて、みんないつもありがとう」。

・秋元真夏

「10年間、乃木坂46としてやってきて、今1番思うことはこのグループが本当に大好きってことと、この1期生と共に歩んでこられて本当に良かったということです。人数は減って卒業メンバーは次の道を歩んでますけど、心細くなったときに私たちの背中には卒業生がついていると思うといつも勇気が湧いてきます。最初の頃から応援してくださっている皆さんも、そして最初の頃にいたメンバーも今の乃木坂を見たときに、“今の乃木坂もいいな。すごいかっこいいな”と思ってもらえるようなグループをこれからもしっかり作って、みんなで繋いでいきたいと思います。これからも1期生8人で協力して頑張っていきたいと思います」。

 それから8人はデビューシングル「ぐるぐるカーテン」をパフォーマンスした。曲中に感極まったのか、歌いながら涙を流すメンバーも目立っていた。

乃木坂46 4期生の人気曲「I see…」をフレッシュにパフォーマンスする1期生メンバー

 コメント欄に並ぶ盛大な「アンコール」の声に応え、再びステージに登場した8人は3期生楽曲の「思い出ファースト」から勢いよくアンコールをスタートさせた。続けて、2期生のユニット曲「ボーダー」をユーモアたっぷりな振り付けで披露し大いにファンを沸かせると、それから星野をセンターに据え、4期生の「I see…」を届けた。MCで松村は今回のライブに手応えを感じたのか「自分で言っちゃいけないのかもだけど、本当に素敵なライブになったんじゃないかなって思う(笑)。ごめんなさい、本当!」と伝えると、秋元も「自画自賛がすごい(笑)。でも今日はいいんじゃない? 良かったからね」と同調していた。

 そして最後はデビューシングルのカップリング曲として収録された「左胸の勇気」をフレッシュに届け、華やかなムードの中で1期生ライブは終幕を迎えた。

 8人が繰り広げた、1期生ライブは歌を真っ直ぐに届ける場面もあれば、ユーモアな演出で視聴者に笑いを届けるシーンもあるなど、バラエティ豊かな内容だった。ド派手で大掛かりなセット演出はなかったものの、圧倒的なエンターテイメント性で、観るものに極上の時間を届けていたのは“さすが”の一言。

 また、キャプテンの秋元が公演中に強調していたのは8人の絆だ。苦楽を共にし、10年弱、手を取り合って歩んできたからこそ、醸し出せる空気感も見事で、無観客配信ライブでも素晴らしい表現力とチームワークで視聴者を魅了した。坂道グループの礎を作った乃木坂46の1期生は、ここからまた頼もしい後輩と共に新たなグループの歴史を築いていく。

 なお、本公演の中で4期生ライブが5月8日に、3期生ライブが5月9日に行われることが発表された。こちらも引き続きファンは注目していよう。

乃木坂46「乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~1期生ライブ~」セットリスト

M00. Overture

M01. 制服のマネキン

M02. 会いたかったかもしれない

M03. 指望遠鏡

M04. 君の名は希望

M05. 13日の金曜日

M06. Out of the blue

M07. 僕のこと、知ってる?

M08. 命は美しい

M09. ロマンスのスタート

M10. 欲望のリインカーネーション

M11. 釣り堀

M12. ガールズルール

M13. でこぴん

M14. ここじゃないどこか

M15. インフルエンサー

M16. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた

M17. Against

M18. 裸足でSummer

M19. ごめんねスムージー

M20. 心の薬(生田ピアノ演奏)

M21. ぐるぐるカーテン

EN1. 思い出ファースト

EN2. ボーダー

EN3. I see…

EN4. 左胸の勇気

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