新内眞衣と北野日奈子による“ラジオ風”の影ナレの後、「Overture」が流れ、画面上に登場した2期生メンバー。昨年、3月7日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催予定だった乃木坂46の2期生の単独公演はコロナの感染拡大の影響を受け中止になったが、冒頭で北野が「幻の2期生ライブから1年、今日やっと私たちの夢が叶います」と晴れやかな表情を見せると、続けて新内は「私たちを引っ張ってくれた未央奈のラストステージです。噛み締めながら、楽しみます」とこの日にかける強い思いを明かした。それからセンターステージにいた堀がメインステージにいる7人の元へと歩み寄り、円陣を組んでから、2期生楽曲の「アナスターシャ」でライブをスタートさせた。

 2曲目にクールなナンバー「ライブ神」で視聴者をライブの世界観へとグッと引き込むと、打って変わって“これぞアイドル”なポップナンバー「Am I Loving?」をパフォーマンス。「走れ!Bicycle」も連続で披露して、序盤から視聴者の目を釘付けにした。

 MCで新内が「2013年の3月28日は乃木坂46・2期生の最終オーディションの合格発表が行われた日となっております。お誕生日ですね。そんな日に未央奈がラストライブなんですけど、今の気持ちはどう?」と聞くと、堀は「今はすごく楽しくて、全然悲しい気持ちではないので、とにかくこの楽しい時間が続けばいいなと思ってます。みんなでいい思い出を作りたいから、いっぱい私とアイコンタクトしてください!」とメンバーに対し呼びかけていた。

 ここからライブは“2期生全員センターコーナー”へと突入。まず北野が「次の曲は私に“強さ”を教えてくれた楽曲です」と紹介してパフォーマンスしたのはアンダー楽曲の「日常」。北野は同曲をたびたびセンターとして披露しているが、この日も迫力満点のステージを繰り広げ、視聴者にインパクトを与えた。続けて山崎怜奈がセレクトしたのは「君の名は希望」。曲の途中で山崎は、学業とグループ活動を並行していた時期に支えてくれた周囲の人間に対する感謝の思いを伝えていた。

 渡辺みり愛は北野と堀とのユニット曲「ゴルゴンゾーラ」を披露。体を寄せ合いながら3人で楽しそうにパフォーマンスを行い、視聴者を歓喜させると、伊藤純奈は先輩である1期生へのリスペクトの気持ちと同期への思いを語ってから、「サヨナラの意味」をセンターポジションで披露。歌っていて伊藤は感極まるものがあったのか、大粒の涙を流していた。

 続けて鈴木絢音が選んだのは生駒里奈、生田絵梨花、そして星野みなみのユニット曲「ここじゃないどこか」。柔らかな歌声で“生生星”の楽曲を届けると、続けて新内は自身が初めて選抜メンバー入りを果たした12thシングル「太陽ノック」をエネルギッシュにパフォーマンスした。

 寺田蘭世は2期生のユニット曲「ボーダー」をセレクト。パフォーマンスの前には卒業生の佐々木琴子の名前を出しながら、カメラに向かって手を振っていた。そして堀は「別れ際、もっと好きになる」「嫉妬の権利」「今、話したい誰かがいる」の3曲をセレクト。途中のMCで堀は2期生への思いを語りながら、涙を流していた。

 MCコーナーを経て、「君に贈る花がない」からライブを再開させると、「世界で一番 孤独なLover」「かき氷の片想い」「スカウトマン」といった曲を畳み掛ける。それから2期生は「ハルジオンが咲く頃」「きっかけ」でファンの感動を誘うと、昨年の「乃木坂46 幻の2期生ライブ @SHOWROOM」のために書き下ろされた「ゆっくりと咲く花」を披露して、感動的なムードの中でライブ本編は幕を閉じた。

 コメント欄に並ぶ盛大なアンコールを受け、画面上には堀が登場。ドレス姿に着替えた彼女は以下の内容を話した。

「皆さん、今日の2期生ライブどうでしたか? 私は、リハーサルからもそうなんですけど、ライブ本番中も、“この時間がずっと続けばいいのにな”と思っていました。昨年、2期生ライブをスタジオ配信でやらせていただいて、今回はこんなに素敵なセット、そしていろんな衣装を用意してくださって、そして2期生ライブがこの8人で実現できて、本当によかったなと思います。

私は、あまり乃木坂に入る前のこととか、家族の話をしてこなかったので、今回は少しお話ししようかなと思います」

・家族へ

「いろんなオーディションを受けて、ようやく受かったのが乃木坂46というグループでした。もともとは自分に自信もなくて、夢もなくて、正直パッとしない毎日を過ごしていたんですけど、でもどうしても“アイドルになりたい”という思いが強くなったのは、それだけ乃木坂46というグループに魅力を感じたからだと思います。

私は岐阜県出身なので、乃木坂に合格したら上京しなくちゃいけないっていう条件があって。そこで家族に相談したんですけど、母も、姉も、全然否定することなく、応援してくれて…家族と離れるのはすごく寂しかったんですけど、どうしても乃木坂46として活動したいなっていう、自分自身がとにかく変わりたいという思いが強くて。寂しさから離れて、上京することに決めました。

もともと、小さい頃から体が弱かったので、母にはすごく心配をかけていました。母は、1日中働きながら、私と姉の面倒を見てくれて、家事もしてくれて。休日は旅行に連れて行ってくれたり、自分のことよりも、私たちのことを優先してくれる、本当に尊敬できる母でした。本当にお母さん子で、上京するまでお母さんと一緒に寝ていたくらい大好きで、私が“上京する”と言った時は、お母さんはすごく寂しそうにしていたけど、“頑張ってね”と背中を押してくれました。

当時は母の苦労というか、“何でお母さんってここまで強いのかな”って、それくらいしか分からなかったけど、今24歳になって、ようやく少し母の気持ちも分かるようになりました。でもお母さんじゃないから、全然分からないことのほうが多いけど、本当に1人の女性として尊敬できる素敵な母です。

そんな母が、今日のライブもですし、今までのライブも歌番組もたくさん見てくれて。ちょっと恥ずかしかったけど、本当はすごくうれしかったです。お母さんが今日の今日まで応援してくれたっていうのもあって、私は楽しく活動できたっていうのがあります。私が絶対お母さんを幸せにします。ひとまずこの乃木坂の8年間、ありがとうございました。

そして、お姉ちゃん。お姉ちゃんは、ちょくちょく私がいろんなところでお話をしているので、多分ファンの方もどういう人なのかご存じだと思うんですけど。メイクとか美容とかに疎かった私に、1から姉は教えてくれて。ケンカも多いけど、ずっと味方でいてくれたお姉ちゃんでした。“いつでも辞めていいよ”と姉は言ってくれていたので、そんな言葉に支えられて、そうずっとお姉ちゃんが言ってくれていたから、私は諦めずにこの活動を続けられたのかなって思っています。本当にありがとう。幸せになってください」

・乃木坂46のメンバーへ

「中学時代は友達関係で悩んで、ずっと頑張っていた陸上部も辞めて…何も続かない、自信もない、自分も嫌いになるし、人のこともあまり信じられなくなっていた時でしたが、でも私はずっと、変わりたい、強くなりたいと思い続けて、乃木坂46に入って、活動してきたと思っています。そんな弱い自分を自分が一番知っているから、“強くならなきゃ”とずっと思っていたし、私が私のことを好きでいられるきっかけを、乃木坂46という場所が作ってくれたなって思っています。

今もこうして歌を歌って、ダンスを踊って、ファンの皆さんの前でこういう風にお話をして、やりたいこともたくさんあって、夢もたくさんあって、次の新しいことに前向きに向かおうとしているっていう。そんな風に強くなれたのは、乃木坂46でたくさんのことを経験して、いろんな人の優しさに触れて、支えられたからだなと思っています。

私は、加入してすぐセンターに選ばれて、16歳で何も分からないまま、1期生の中に1人で入らせていただいて、自分の実力のなさというか、何もできない自分がすごく悔しくて。今振り返っても、7枚目(『バレッタ』)の活動期間はすごく悔しかった時期だなって思います。でも、そんな私を受け入れてくれて、ずっとずっとかっこいい背中を見せてくださった1期生の皆さん。私が入る前は、乃木坂46と言えば1期生の皆さんでしかなくて、8年経った今でも、尊敬の気持ちと、憧れの気持ちはずっとずっと変わりありません。

入る前も入った後も、“こんなに素敵なグループがあるんだな”と思えたのは、1期生の皆さんの姿を見ていたからだなって思います。本当にありがとうございました。

そして、3~4期生のみんな。人見知りながらにみんなと話した期間が、すごくいい思い出です。完成されつつある乃木坂46に加入して、いろんなことを任されてというのはプレッシャーだったと思うけど、それでもたくさん努力して頑張っている姿を見て、私はすごく心強くて、本当にうれしかったです。

3~4期生のみんなはメンバーだし、後輩でもあるけど、本当の妹のような存在で。甘やかしたいときは甘やかしたいし、でも時には厳しくっていう、すごく特別な存在でした。先輩らしいことはできていたかは分からないけど、先輩にも、メンバーにも、甘えるときは甘えて、でもちゃんと責任やグループのいちメンバーとしての自覚を持つときは持って、全力でこれからも頑張って欲しいと思います。乃木坂46は本当に素敵なグループなので、これからも誇りを持って活動してください。

そして、2期生のみんな。本当に2期生はいろんな思いとか経験をして、それぞれが思うこともたくさんあって…でも、私も本当はみんなともっともっといろんなことを経験したかったし、いろんな景色も見たかったなと正直思います。

でも、こうやって今日ライブできたこともそうだし、2期生のみんなって、本当に自分のことよりも、人がくじけていたら、すぐに手を差し伸べられる強くて優しい人たちの集まりだなと思っていて。きっと、最初に私がセンターになった時も、いろんなことを思っただろうけど、たくさん気を使ったり、支えてくれたり、自分の思いを押し殺して、こんな私のために手を差し伸べてくれました。

それぞれがそれぞれの道で、もっと活躍して、私はこれから乃木坂46のメンバーとしてではなく、いち人間というか、堀未央奈として、みんなのことをテレビの前とかで見守ることになると思うけど、みんなが乃木坂を引っ張りつつ、活躍して、幸せな人生を歩んで欲しいと心から思っています」

・ファンの皆さんへ

「そして最後に、今日配信を見てくださったファンの皆さん、配信は見られていないけど、ずっと応援してくださっている皆さん。皆さんの支え、応援、あたたかい声援、それがあったから、私は今までくじけたり、辛かったり、悩んでも前を向いて進めたんだなと本当に思います。

楽しい時、うれしい時は一緒に喜んでくれて、辛い時は一緒に悩んで、苦しんで、頑張ろうねと言ってくださって…そういう存在って、家族や親友以外で、できるとは思っていなかった。不思議な体験というか、本当にうれしかったし、皆さんがどんな私も肯定して、“堀ちゃんは堀ちゃんのままでいいよ”と言い続けてくださったから、私も自分を信じて、8年間もありのままの自分でいられたんじゃないかなと思います。

私にも“アイドルになりたい”と思うきっかけの方がいて、憧れの方がいて、夢を叶えて。そして私に憧れてくれて、“アイドルになった”という方たちに出会えることもあって。夢の連鎖じゃないですけど、誰かの力や原動力になれているかもしれないって…。これからも応援してくださる皆さんの元気の源になれたらいいなと思っています。

明日からは乃木坂46の堀未央奈ではなく、1人の女性の“堀未央奈”として歩んでいきますが、乃木坂46で経験したこと、感じたこと、この8年間のいろんなことを胸に、明日からもたくさんのことに挑戦し続けて、感謝の気持ちを忘れずに、私の道をしっかりと歩んでいきたいなと思います。

やり残したことは、きっと私以外の卒業された方も、これから卒業する子にも、そういう悔しかったことはたくさんあると思うし、全てが思い通りにいく世界はないけれど…私は、うれしかったことや楽しかったことはもちろん、そういう悔しい気持ちというか“もっとこうしたかった”と思う気持ちを絶対に忘れずに、自分の胸にしっかり刻んで、もっともっと今、応援してくださる皆さんも、これから出会う方にも、“堀未央奈ちゃんってすごいな、おもしろいな”と思ってもらえるように頑張りたいと思います。

そして乃木坂46というグループは、本当に素敵で、私がこのグループにいたというのが夢のような自慢のグループ。そんな乃木坂46の応援を、皆さんこれからもよろしくお願いします。

次の曲は、私が最初で最後にいただいたソロ曲になっています。初めての主演映画『ホットギミック』で監督をしてくださった山戸(結希)監督が、今回MVを撮ってくださいました。私は人に弱い部分とか、そういう部分をあまり話したくはない人間なんですけど、山戸監督はそういうことをたくさん汲み取ってくださる方で、それをこのMVに詰め込んでくださいました。

この歌詞も自分ではあんまり気付かなかった自分の気持ちというか、本当にこの曲が最後にソロ曲として歌えてよかったなって思えた、すごくすごく素敵な曲です。歌は得意じゃないけど、気持ちを込めて歌うので聴いてください」

 それから届けられたのは「冷たい水の中」だった。終盤にはメンバーが堀の周りを囲み、感情が高まったのか涙を流し歌唱出来なくなる場面も。

 曲が終わると、堀は2期生メンバーからあたたかな言葉と花束を受け取った。それから大切な母親からの手紙を鈴木が代読した。そして最後に堀の「このメンバーでこの曲を歌うのは最後です。いろんなことがあったけど、私たちは家族みたいな関係になれたし、出会えたことが宝物でした。これからも2期生のことが大好きです」と伝え、この日2度目の「アナスターシャ」を披露。曲の終盤では1期生、そして3~4期生もステージにサプライズで登場し、まさかの展開に堀は驚きつつもうれしそうな表情を浮かべた。

 4期生の賀喜遥香、3期生の梅澤美波が代表してスピーチを行った後、キャプテンの秋元真夏が最後の言葉を贈った。「今でも選抜で未央奈が入ってきたときのことをすごく覚えていて。先輩だらけの中に1人で入ってくるのはすごく大変だったと思うんだけど、そんな中でも負けずに毎日頑張っていて、苦しい姿を見せずに戦っている姿をずっと見てきた。その大変な中でも1期生でやってきた乃木坂に、いろんな色をつけてくれたのが未央奈だったなと私は思っていて。幅も広くしてもらったし、いろんな面を広げてくれた後輩。後輩がそういうのを広げるってめちゃくちゃ大変なのに、誰よりも頑張ってくれたなって思っています。私は個人的に未央奈といじり合いみたいなことをたくさんしてたから、それがなくなっちゃうのが本当に寂しいし、面白いことあったら、未央奈に共有して2人で笑い合うっていうのが本当に好きだったから、そういうことが出来なくなっちゃうんだなと思うと、寂しくて仕方がない。けれど、未央奈が次の道をしっかり決めて“歩んでいく”と直接言ってくれた時に“しっかり応援しなくちゃ”と思って。未央奈はここから、別の道に進んでいくけれど、ここまでやってきたことは絶対いろんなことに繋がっていくと思うから、私は誰よりも未央奈のことを応援しています。今後も頑張ってね」と涙ながらに語りかけると、堀も目頭を熱くさせながら「ありがとうございます」と感謝していた。

 そして最後に堀は「まさかみんなが来てくれると思っていなかったので、すごくびっくりしているんですけれど、本当にメンバーみんな1人1人が頑張っていて、そんなところが大好きなので、乃木坂46に入って良かったと改めて思いました。(ファンの方と)直接お会いしたかったんですが、配信を観てくださった方も本当に本当に8年間ありがとうございました。そしてこれからも乃木坂46はとってもとっても素敵な最強グループなので、皆さんメンバーの1人1人のことも見て、グループを愛してください。今日はありがとうございました」とコメントして、2期生ライブは幕を下ろした。

 8年間の活動。16歳でオーディションに合格して直後、センターに指名された堀もアンダー期を経験した。その頃は挫折しそうなったこともあるという。しかし、助けてくれたのが同期のチームワークと絆だった。それから堀は地道な努力を続け唯一無二のメンバーへと成長した。モデルや女優業での活躍に加え、さまざまなバラエティ番組にも出演するなど、グループへの貢献度は計り知れない。

 24歳になった堀は今後、女優業を中心に芸能活動を続ける。乃木坂46の8年間の活動を通じて学んだ“不屈の精神”を武器に、女優としての新境地を開拓していく。

乃木坂46「乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~2期生ライブ~」セットリスト

M00. Overture

M01. アナスターシャ

M02. ライブ神

M03. Am I Loving?

M04. 走れ!Bicycle

M05. 日常(センター:北野日奈子)

M06. 君の名は希望(センター:山崎怜奈)

M07. ゴルゴンゾーラ(センター:渡辺みり愛)

M08. サヨナラの意味(センター:伊藤純奈)

M09. ここじゃないどこか(センター:鈴木絢音)

M10. 太陽ノック(センター:新内眞衣)

M11. ボーダー(センター:寺田蘭世)

M12. 別れ際、もっと好きになる(センター:堀未央奈)

M13. 嫉妬の権利(センター:堀未央奈)

M14. 今、話したい誰かがいる(センター:堀未央奈)

M15. 君に贈る花がない

M16. 世界で一番 孤独なLover

M17. かき氷の片想い

M18. スカウトマン

M19. ハルジオンが咲く頃

M20. きっかけ

M21. ゆっくりと咲く花

EN1. 冷たい水の中

EN2. バレッタ

EN3. アナスターシャ

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