『映画 賭ケグルイ』の続編『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』（4月29日（木・祝）公開）にジャニーズWESTの藤井流星が新たに参戦する。本作はギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園で繰り広げられる熾烈なギャンブルバトルを描いた人気シリーズの映画第2弾。藤井は蛇喰夢子（浜辺美波）などのおなじみのキャラクターを窮地に追い込む、最凶最悪のギャンブラー・視鬼神真玄として登場。完全に悪に徹したキャラクターで今作より新たな境地を開いている。
『賭ケグルイ』シリーズのファンだったという藤井は、自身初となる悪役に挑戦し、どのような思いで作品に挑んだのか。実際に藤井に会って話を聞くと、視鬼神とは正反対の穏やかで愛すべき人柄が見えてきた。
高杉真宙とサシで食事 浜辺美波は地球がひっくり返るくらい驚き！？
――人気シリーズ初参戦となりますが、レギュラー出演者とはすぐに打ち解けられましたか？
藤井：コミュニケーションは普通に取れていたと思います。でもたしか夢子（演：浜辺美波）と対峙するシーンの前後では、「今日何食べたん？」とか聞いたんですよ。そしたら「お肉です」と言われて、「お肉!? 朝から肉いくん？」みたいな感じでびっくりしたのは覚えています（笑）。
――最初から現場に馴染めましたか？
藤井：いや最初はやっぱり圧倒されていました。ビビって生徒会室の隅の方にいましたから。女性が多い現場だったので、特に最初は自分からはそこまで積極的に喋っていなかったかもしれないです。話していたとしても（最初は）日常会話くらいかな？ あとは鈴井くん（演：高杉真宙）をいじっていました（笑）。
――それはどんな風に？
藤井：鈴井くんって何か挙動不審なんですよ。あ、でももしかしたら裏でも鈴井くんのキャラクターが根づいていたのかも？ あと1回彼とメンバーの小瀧（望）の舞台を観に行って、その帰りにご飯も一緒に食べたんです。それを現場で言ったら、地球がひっくり返るんちゃうんか!?ってくらいの驚き方をされました（笑）。夢子なんて「私、（高杉と）何年も一緒にこの作品やっているのに、1度も行ってないですよ！」と言っていて、「まじか！」と思いました（笑）。同じことを監督にも話してもすごい驚き方で、「しかも2人で？」って確認してくるんです。監督がそう言うくらいだから本当珍しいことだったんだと思います。
――ものすごくレアな出来事だったんですね（笑）。
藤井：かなり稀なケースだったらしくて、夢子からはその日のことについて質問責めにされました（笑）。
最狂キャラの練習は「家でやると近所迷惑になっちゃう（笑）」
――藤井さんは元々『賭ケグルイ』シリーズをご覧になっていたとお聞きしています。
藤井：実写なのにアニメを観ているみたいだな～とずっと思いながら観ていました。本当に全員がハマり役で。そういうリスペクトもあるから「俺も出たい！」なんて考えがまずありませんでした。『賭ケグルイ』はいち視聴者として観るもんだと思っていたので。
――では今回のオファーをもらった時は驚かれたでしょう。
藤井：最初にマネージャーがカバンから企画書を取り出そうとして“賭ケ”まで見えて。だから俺が「『賭ケグルイ？』」と聞いたら、「そうです」って。「えっ！ 俺？」ってめちゃくちゃ嬉しかったですね。しかもプロット読んだら、今まで自分が観ていたキャラクターに勝負を挑む役どころで。すごい役をいただいちゃったなと思いました。
――現場に入った時は感動しましたか？
藤井：ちゃんと生徒会長の椅子に座っておきました（笑）。でもその前に生徒会長役の池田エライザちゃんに「生徒会長の椅子に座って写真撮ってもいいですか？」と尋ねたら、5秒くらい間を置いてから「…えーーー」って言われて。だから俺はその「…えーーー」に何て返そうか悩みました（笑）。そんなわけで会長は裏でも会長感がありました。
――映画では藤井さん演じる視鬼神も間を置いて話すキャラクターですよね。
藤井：しかも夢子も間を置いて話すキャラクターやったから、俺らが対峙するシーンでは監督に「このままだったら3時間映画になるぞ！ もうちょっと巻いて」と言われましたね（笑）。けど間を置いた会話がちゃんと裏でも感じられたっていう。
――視鬼神はシリーズ史上、最も狂気に満ちたキャラクターで、動作や表情もとにかく常軌を逸していましたが、どんな役作りをされたのでしょうか？
藤井：独特な喋り方、無感情っぽい顔つき、声のトーンといったわかりやすいところから作っていきました。それと監督には「１番狂ってほしい」と言われたので、もう1度『賭ケグルイ』を見返したんです。「みんな狂っているな～。でも俺はこれより上か～」と思いながら、役作りの参考にさせていただきました。
――狂い方の勉強ってことですか？
藤井：でも家でやると近所迷惑になっちゃうので（笑）、頭でイメージして現場で実践する感じでした。表情に関しては「こうかな？」と家で鏡を見ながらやっていたんですが、そのなかでも目の動きはこだわりましたね。顔のパーツのなかでも目って特に感情を表現できると思うので、虚な感じを意識していました。途中で監督にも「めっちゃ目動くね」と指摘されて、「そんな動いていたんや！」と自分でも驚きました。
シルバーロン毛がメンバーから大好評「神山から『めっちゃかっこいい！』ってファンみたいなメッセージがきました」
――今作で視鬼神を演じるにあたり、シルバーのロン毛にされていますが、周りからの反響はいかがでしたか？
藤井：元々けっこう長めだったから、ロン毛に関してはそんなに…って感じかな？ 髪色もその前は金やったし。けど視鬼神の髪にしている間はロン毛っていうのもあって男受けのほうが良かったです。やっぱり女性は短いほうが好きですよね？
――それは人によるかもしれないです（笑）。
藤井：（笑）それはそうですね。
――視鬼神ヘアーの時の印象深いエピソードってありますか？
藤井：映画の特報が出た時、メンバーの神山（智洋）から「めっちゃかっこいい！」ってファンみたいなメッセージがきました（笑）。素直に嬉しかったので、「ありがとう」って返しましたよ。
――映画への出演が決まってジャニーズWESTのメンバーはどんな反応をされていましたか？
藤井：メンバーには『賭ケグルイ』を観ている人も何人かいたので、「まじで？ すごい！」ってなっていましたね。中間淳太なんて試写も観に来てくれていましたから。彼は本当に『賭ケグルイ』が大好きだから、試写で早めに観れてご満悦でした（笑）。
――中間さんは映画で視鬼神に扮する藤井さんをご覧になって何か言っていましたか？
藤井：良い意味も含めて「気持ち悪かった」と言ってました（笑）。「でもかっこいいところもあったよ」とも言ってもらえたので、良かったです。
――俳優としての今後の野望は？
藤井：今回みたいな悪役をもう1度やってみたいですね。すごく楽しかったので。あ、でもこういうヒールな役も面白いけど、逆にめちゃくちゃ良い人もやってみたいし…色々挑戦したいです！ 来たオファーは全部受けたい派です！
ストーリー
ギャンブルの強さだけで学内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園。最狂の賭け狂い・蛇喰夢子（浜辺美波）の脅威に、生徒会が危機感を募らせるなか、学園内では生徒会への上納金を支払うことができない「家畜」生徒の数が激増。その現象は“家畜の呪い”と呼ばれ、都市伝説の再来と恐れられていた。起死回生を計る家畜生徒たちは、生徒会役員に対し、家畜返上を賭けたギャンブルを次々に申し込み、事態は混乱の一途を辿っていた。家畜経験者の鈴井涼太（高杉真宙）も気が気でない。
そんな中、学園に降り立つ1人の男。視鬼神真玄（藤井流星）と名乗るその男は、「共感覚」による圧倒的なパワーで、皇伊月（松田るか）を打ち負かし、早乙女芽亜里（森川葵）を家畜に陥れ、その魔の手は夢子にも及ぶ。視鬼神と対決する夢子。勝負は圧倒的な夢子の優勢だったが、視鬼神の真の狙いが見えてくると、夢子はその勝負を自ら降り、ギャンブル自体を封印されてしまう。
生徒会役員の前に姿を表す視鬼神。彼は2年前のある事件をきっかけに、停学処分を受けていた。3人を破った功績から復学が認められるのも束の間、傍若無人な視鬼神は生徒会にも牙を剥き、遂には桃喰綺羅莉（池田エライザ）を生徒会長の座から引きずり下ろす。
そして迎えた、生徒会長交代式。視鬼神が高らかな音楽とともに登場し、生徒会長の座に就き、綺羅莉の首に家畜札をかけたその時、夢子と芽亜里が突如現れ、視鬼神に対し自らを絶体絶命の窮地に追い込む勝負を申し込む。その申し込みは、なんと綺羅莉からも。高らかに笑う視鬼神。「ギャンブルは俺が決める。三つ巴のロシアンルーレットだ」。戦慄する参列者たち。
生徒会も巻き込んだ極限の心理戦、究極のイカサマ、張り巡らされた罠。自らと、大切な人の、生命を賭けた夢子VS視鬼神VS綺羅莉の「指名ロシアンルーレット」の火蓋が切られる。
取材・文：近藤加奈子
（c）河本ほむら・尚村透／SQUARE ENIX （c）2021 「映画 賭ケグルイ２」製作委員会
