隔離病棟での生活を経て、日常生活に復帰する姿を描いたドキュメンタリー『寛解の連続』がいよいよ4月23日(金)からアップリンク渋谷で公開される。
公開にあわせ、記念イベントの開催が決定!!
■『寛解の連続』公開記念イベント
・4月23日(金)舞台挨拶
登壇:小林勝行(ラッパー/本作主演)、光永惇監督
・4月24日(土)トーク
登壇:曽我部恵一(ミュージシャン)、小林勝行、光永惇監督
・4月25日(日)ライブ付き上映
ライブ:小林勝行
場所:アップリンク渋谷 (渋谷区宇田川町37−18)
※当日のスケジュールは後日発表。公式 HP、劇場HPで発表致します。
※新型コロナウィルスの影響等によりイベントや登壇者は変更になる可能性があります。
RAP する事で自分らしさ保ち、RAP する事で希望を生み出し、躁鬱病と過去への呵責に苦しみ、不器用だけども誠実にあろうとする小林さんの姿、RAPとの向き合い方に自分は激しく胸を打たれました。この映画にはいくらでも偽造編集して人に良いところだけを見せる事ができる上っ面だけの流行りとは真逆の世界があります。そしてその世界はとても痛く、だからこそ小林さんの頬を伝う涙はとても美しく見えました。
田我流(ラッパー)
溢れ出す 感情の波 掻き分けて
鎮座ドープネス(ラッパー)
映画を通して印象に残ったのは神戸の人懐っこい言葉だった。 生きることと書くことと歌うことをまっすぐな軌跡で結ぶ。そのとんでもなく難儀な仕事を独りで成し遂げようともがくラッパー。その姿は眩暈がするほど魅力的だ。
それを神戸言葉がそっと助けてくれている気がした。
曽我部恵一(ミュージシャン)
学者だった自分が病気になったとき、言葉と身体の「噛みあわせ」が壊れた、と思った。 感じていること、考えていることを示す表現が、いくら待っても脳内に浮かばない。 ラッパーにとってリリックとリズムが繋がらないのは、きっともっと辛い体験。 だけどもういちど両者のギアが入ったとき、表現は「体験」から自ずと溢れだす。
與那覇 潤(歴史学者)
私は(とても悪い)キリスト教徒ですが、人はなぜ祈るときに歌うのかという積年の疑問がこのラッパーの言葉で解けました。 「受け止め過ぎやねんな、きっと。放出せなあかんねん」 映画を見てこんなことを感じるのはレアですが、こう言いたくなりました。ありがとう。
ブレイディみかこ(ライター、コラムニスト)
DJ NAPEY のファーストコールに収録されている「蓮の花」という曲で小林勝行(神戸薔薇尻)というラッパーを知った。 茨城県出身の僕にあまり馴染みのない関西弁丸出しのラップが耳ではなく直接身体に入ってきた不思議な感覚を今でも覚 えている。
神戸薔薇尻やかっつんで曲は知っていたが、小林勝行がどんな人間かはこの映画を観るまで知らなかった。 あんな気持ちでペン走らせて作った曲だから、そりゃ身体に直接入って来るわ!
石田たくみ(カミナリ/芸人)
ワタクシ、ハウス加賀谷なんぞがコメントするくらいですから、みなさん本作「寛解の連続」が精神疾患をテーマにしたものとお 思いでしょう。 少なくとも間違ってはいません。しかし、的を得てはいないのです。先に言わせていただくと、本作の主人公、小林勝行さんは双極性障害ではありますが、そのことは本作に於いて要素の一つでしかなく、もう一方のラッパーという側面も 日本語ラップ史を紐解きたくなるようには映していません。この映画は、信仰心のある、イケイケの人特有のピュアさを持ち合 わせているがゆえ、生きづらさを感じているにも関わらず、愚直に突き進む小林勝行さんを描いた「無頼」なドキュメンタリーな のです。
ハウス加賀谷(芸人)
寛解の、連続。
例えば「原子力は、人類文明にとっての糖尿病の薬」(ジェームズ・ラブロック/2006 年)を思い出す。もう回復のない世界で、なにを選び取るか。小林勝行の、旋律に昇華される前の日常のリリック「こいつ」「くれてね」「あそぼうぜ」は、糖尿病同 様に完治することはない世界の一部と、寛解の鼓動を日々合わせているように思える。 この映画のまだ肌寒く、しかし世界との親密が差し込む日常に、「うた」を経験したことのない私は、熱い心地よさを感じていた。
木村文洋(映画監督)
フィリピンのマニラから、ラッパーで盟友のレイノアが死んだとの連絡が今朝方あった。東南アジア最大のスラム、トンドで育ち 生きた、30 年を少し越えたばかりの彼の人生はまさに太く短かった。といえば聞こえはいいが、彼の最期は貧しさによって早め られた。同じ理由で研ぎ澄まされた彼の眼は世界の欺瞞を見透かしてもいた。
人は死ぬことを成仏と呼ぶが、その瞬間に世界がなんだったのかを全て知ることになるからだ。しかし、その秘密の扉を生きているうちに強くこじあけようとしすぎる魂に肉体はついていけない。現代社会はそれを狂気とも病気とも犯罪とも信仰とも呼び、そのような魂は、ときにラッパーとなって姿を現す。神戸に現れたラッパー、かっつんを追ったこのドキュメンタリーは、その秘 密のひだに触れている。
空族 富田克也(映画監督)
この時代だからこそ、見るべき映画だと感じる。
是非、"かっつん"に会いに行ってほしい。
『寛解の連続』
兵庫県神戸市出身のラッパー、小林勝行。
2011 年に発表した 1st アルバム『神戸薔薇尻』で日本の地方都市に生きるアウトローの半生を生々しく描き、一部批評家やリスナーから熱狂的な支持を集めた彼は、その後の活躍を期待されていた矢先、活動を休止する。それは自身の抱えていた躁うつ病の 症状が悪化した為だった。医者から「一生完治することがない病い」と診断された彼は、隔離病棟での生活を経て、ようやく日常に復帰する。
撮影・編集・監督・プロデューサー:光永惇
出演:小林勝行 市和浩
製作:sardinehead Pictures 配給・宣伝:ブライトホース・フィルム
2019/日本/112 分/DCP/カラー/16:9/ステレオ