こども庁創設“選挙の目玉”へ議論加速も あえて組織論に踏み込まないワケ…透ける省庁の主導権争い
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 子ども・子育て政策を一元化して対応する「こども庁」の創設に向けた議論が加速している。

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 自民党が二階幹事長をトップとする本部を立ち上げ、“選挙の目玉”として公約に掲げることを検討しているこども庁。一体どんなものになりそうなのか、テレビ朝日政治部の土田沙織記者が解説する。

 子どもに関わる政策を担当する部署は現在、厚生労働省や文部科学省、内閣府など複数にまたがっており、縦割り行政になっている状況だ。それが弊害となって対応に遅れが出たり責任部署が不在であることなどが問題視されてきた。

 しかし、それぞれ子ども政策を担ってきた省庁からの抵抗が強く、民主党政権でも「こども庁」構想をマニュフェストに掲げたものの見送られた経緯があった。

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 なぜ今になって動きが加速しているのか。土田記者は「ある政府関係者は『菅総理は不妊治療や35人学級など若者や子ども向けの政策でいい反応が返ってきたことに心を動かされている』と話す。菅総理が“子どもは選挙の目玉としていいのではないか”という発想に至ったのが背景にあると思う」とする。

 では、こども庁はどのような組織となるのだろうか。今見えてきているのは、新しく子どもに関して責任を持つ「こども庁」をつくり、専任の大臣を置くこと。具体的な制度設計を巡っては様々な意見が出ている状態で、「官邸・自民党内では、0~6歳までの未就学児に対象に絞って、幼稚園、保育園、認定こども園を一元化する幼保一体改革に取り組みたいという案が浮上している。一方で、若手議員を中心に、対象とする年齢を広げて、虐待やいじめなどの課題に取り組めるように踏み込むべきだという意見もある。こども庁にどういった役割を持たせるのか、どのような組織とするかは、おそらく選挙後の議論となる」という。

 なぜ、選挙前に具体的な議論に踏み込まないのか。「省庁からすると、今まで自分たちが持っていた権限を手放すことになるのではないかといった抵抗もあり、綱引き、主導権争いは始まっている。4月1日に菅総理が党での検討を指示した直後から、文科省の幹部から自民党の幹部に対して、根回しに動いていたという話も聞いた。文科省としては、権限を手放すことへの抵抗がかなり大きいようだ。一方で厚労省としては、コロナ対応に追われ手一杯で、子どもに関わる政策はむしろ切り離したい考え。ただ、文科省主導でいじめ対策など問題解決できるのかと強く抵抗する声も聞こえてくる。ある自民党議員は、『パンドラの箱を開けてしまった』として、大改革となる省庁再編をやりきれない事態になりかねないと危惧するような声もあった。組織論に入りたい人は多いが、あえて選挙を前に揉めるような議論には持ち込みたくないという思いが強い」。

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 そうした中で、こども庁は“選挙の目玉”になるのか。「自民党がこども庁創設に向けた検討に入ると、他の党も『自分たちこそ子ども政策を考えていた』と相次いで検討チームを立ち上げるような動きがあった」とした上で、「そういった選挙や政局というのは一旦置いておいて、本当に子どもの目線に立って何が必要なのかという面で結論を出せるか試されている。与党も野党も協力して議論をしていくべきだ。」とした。

ABEMA/『倍速ニュース』より)

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