アメリカ訪問中にファイザー社のアルバート・ブーラCEOと電話で会談した菅総理は、新型コロナウイルスのワクチンについて「9月までに我が国の対象者に対して確実に供給できるよう追加供給を要請した。9月までに供給されるメドが立った」と明らかにした。
しかし、実際はすぐに国民全員がワクチンを接種できるわけではないという。テレビ朝日政治部の柴戸美佐子記者が解説する。
菅総理が話した「供給」について、柴戸記者は「供給のメドが立った=接種ができるというわけにはいかないのが現状。そもそも国は接種のスケジュールを自治体の裁量に委ねているところが大きく、自治体の規模や特性によってばらつきが出る。また、政府は『供給』で合意したが、これは日本にワクチンが届くということを指していて、到着したからすぐ配送できるということではない。配送には承認の手続きが必要で時間もかかるので、実際に自治体に届くのはそれよりも後になる可能性もある」と説明する。
政府は高齢者接種分のワクチンについて6月末までに配送を完了するとしているが、高齢者への接種が終わるのは8月のお盆ごろとみている自治体も多く、ワクチン供給から配送、実際の接種までは時間を要するのが現状だ。
自治体によっては、高齢者にワクチンを打つ医師が接種できていないというところもあるが、ペースアップは可能なのか。柴戸記者によると、「政府としては、とにかく自治体に流れる量が増えれば自ずと打てるようになるということで、ペースアップを見込んでいる」という。
また、大阪などは医療崩壊が近い状況だとも叫ばれる中で、どのように医療従事者を確保するのか。「歯科医師でも接種できるように特例措置を認めるということも検討されている。ただ、法律上認められていない行為にはなるので、政府の本音としては医師と看護師をどう確保するかが一番で、それでも足りない場合は助けを借りることを検討している」。
今後はどういったことが課題になってくるのか。柴戸記者は「国が自治体に裁量を与えるのもいいが、必要なところに必要な支援ができるかが一番の課題になってくる。政府は自治体に対してヒアリングを続けているが、高齢者への接種が走り出して徐々に課題も出てきているので、そこにどういった支援をしていくかは注視していかないといけない」とした。