紗栄子、社会支援活動に奔走した約10年 批判の声は「もう目につかない」
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 14歳で芸能界デビューし、モデルやタレント、女優として活躍してきた紗栄子。ファッションやコスメなど、プロデューサーとしてもさまざまな商品開発を手がけてきたが、それ以外にも彼女が10年以上続けているのが、社会貢献活動だ。

【映像】「命守る選択になって」紗栄子プロデュース “防災バッグ”の中身(3分ごろ~)

 災害復旧ボランティアを続ける中で、2019年には地震をはじめとした災害による被害を受けた地域を支援するために「一般社団法人Think The DAY」を設立。昨年は新型コロナウイルスの影響を受けた、医療従事者に医療用防護マスクや防護服を寄付するなど、精力的に活動している。

「社会に対して何かいいことをしたい人の背中を押せる世の中になってほしい」

 彼女を社会貢献活動に駆り立てる理由は一体どこにあるのか。『ABEMA NEWS』では、彼女の素顔に迫った。

■「初めて自分のInstagramで呼びかけた」支援団体立ち上げのきっかけ

 被災地や養護施設の支援はずっと続けているので10年以上になりますね。2019年に「Think The DAY」を立ち上げたきっかけは、2019年9月に東日本で起きた台風災害です。大きな台風が関東に来て、報道では千葉の被害がまだ大きく知られていなかった。私はInstagramでダイレクトメッセージをいただいて千葉の現状を知ったんです。(以下、紗栄子)

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 私は翌日の朝、物資を持って現地入りしました。現地の状況が悲惨すぎて、一日で三往復して物資を届けたのですが、個人の力では到底賄いきれない規模でした。そのとき、初めて自分のInstagramを使って一般の方に「今、千葉でこういうことが起きています。こういう物質が足りていないので、青山で物資を2日間集めます。みなさんお持ちいただけたら助かります」と呼びかけさせてもらったんです。

 もう私も本当にびっくりしたんですけども、二日間で4トントラック15台分の物資が集まって。それを千葉県の被災地に届けることができたんです。多くの方が協力してくださると、一気にたくさんの人たちが助かると知りました。呼びかけたときに賛同してくださる人の数の多さにも驚きました。

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■批判の声に傷ついた過去も…10年以上続けてきた支援活動


 やっぱり芸能のお仕事をいただくことで発信力を持つことが出来たので、その影響力は正しく使いたいと思っているんです。自分がプラットフォームになって「困っている方に何かしたい」と思っている人をつなぐ架け橋になりたいと。「Think The DAY」は、そういう意味も込めて名付けました。今日そのときに必要なものを、必要としている人たちのもとに届けるための支援団体です。

 団体では被災地への物資提供、炊き出しをメインに行なっていますが、昨年は新型コロナの最前線で戦ってくださっている医療従事者の方々に防護服と医療用マスクを購入し、お届けしました。

 そのときも「本当に物資が足りない」「医療用マスクや防護服が足りない」という声を関係者からいただいて。医療従事者の方々が大変な思いをされている中、ステイホーム以外にも私たちがその方々に何かできることはないのか。政府のルートに干渉しない方法で防護服と医療用マスクを購入して、それをお届けすることをまずやってみたんです。

 これをきっかけに個人で入手ルートが確保できて、どのように進めればいいのかも理解することができました。そこで「次はみんなでやってみませんか?」と、オーガニックコットンのTシャツを販売して、その売上の利益全額を防護服と医療用マスクに変えて現地にお届けする活動を行いました。それも本当にびっくりするくらいたくさんの方が支援くださった。売上金額で言うと1億2000万円ほどの支援金が集まって、その利益をしっかり物資に変えて現地にお届けしました。

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 10年前、初めて個人レベルで発信していたときは、もちろん心無い言葉に傷ついてしまうことがありました。もしかしたら、自分の発信の仕方もよくなかったかもしれません。傷つくことは幾度となくありましたが、支援活動を10年続けてきたことで、批判的なメッセージを目にすることは少なくなったように感じています。でも、それは自分がアプローチの仕方を変えたり、時間によって得られた信用だったりするんでしょうね。

■紗栄子が考える“社会貢献”「まずはしっかり自分の足で立って生きていくこと」


 「一般には(社会貢献に向けて)アクションしづらい」と思う人もいると思いますが、私も子供が小さかった頃にボランティア活動が出来たかというと、そうではないんです。東日本大震災のときも自分ができる範囲の活動はしましたが、例えば義援金という形で自分が寄付をする側になったとき、そのお金って自分が働いて得た大事なお金じゃないですか。それがどこの誰のためにどういう形で使われているかわからない。そこで、一歩立ち止まってしまう瞬間が何度もあったんです。団体を信用して寄付することしかできなくて「お金はどこの何に使ったんだろう」と、常にモヤモヤしてしまう。そういうことがあったから、自分が呼びかけて何かアクションを起こすときは、しっかり可視化していこうと思って、活動報告は必ずさせていただいています。

 とはいえ、何かを0から1にするのはやっぱり難しいですし、忙しい生活の中で行動するのは皆さんも大変だと思います。だから私たちが「私はこうやってみたよ。選択肢のひとつとして、みんなもやってみない?」という呼びかけや提案ができればうれしいです。私の他にもたくさん発信されている芸能人の方々もいますし、自分と親和性があるところ、地続きになっているやり方を選択してもらえればいいです。社会で起きている問題はたくさんありますから。

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 ドネーションやボランティアという形もありますし、それ以外にも困っている人を想像して思いを馳せることもすごく大切です。何よりの社会貢献は、まず自分がしっかり自分の足で立って幸せに生きていくことだと個人的に思っています。

 日本は自分で何かいいことをしたとき(誰かに)言うことに美徳を感じない国というか、黙ってすることに美しさを感じる国だと思っていて。だから、同じように発信されている他の芸能人の方々たちも発信することに何かしら、ちょっとした怖さを覚えながらも、それでも選択して発信されているとは思うんです。何かいいことをしようとしている人の背中を押してあげる世の中になってほしいんです。私たちはそのための道を作ったり、空気を作ったりしています。

 熊本地震から5年が経って、ちょっとずつ街も復興してきて、みんなの傷が癒えてきたと思ったところで、また地震があって……心が痛いですが、自然災害なので人の力ではどうしようもできないですよね。だからこそ、備えていかなきゃいけないと思います。ボランティアでうかがって現地でつながった人が、別の場所で何か災害が起きたとき、その人たちが力を貸してくださることもありました。少しずつ輪が広がっているのは、私自身も感じています。

(ABEMA/『ABEMA NEWS』より)

【独自インタビュー】紗栄子が語る「被災地支援活動」
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