大臣になって“原発ゼロ”から転向したのでは? 橋下氏が小泉進次郎環境相の“政治スタイル”に厳しく迫る
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 24日のABEMANewsBAR橋下』に小泉進次郎環境大臣が生出演した。

 菅総理は先週開催された「気候変動サミット」で温室効果ガスについて2030年度までに46%削減するとの目標を表明。このことに関する小泉大臣の発言がネット“炎上”したことを踏まえ、橋下氏は「大臣になってから反発を避けているんじゃないか」「小泉さん流の説明の仕方もあるかもしれないが、回りくどいと悪口ばっかり言われる」とコメント。「今はとにかく再生可能エネルギーを導入して、電源は後で考えると言うが、原子力の扱いについてはしっかりと位置付けているのか」と切り込んだ。

・【映像】小泉環境相、NEWS23の「“46”という数字がおぼろげながら浮かんできたんです」発言を説明

■橋下氏「次世代を担う若手のリーダーとして物足りなさを感じてしまう」

小泉:私と梶山経産大臣で、これぐらいだったら見えてきているので、あとは総理がどう判断されるか、という環境整備をした。46%という、ものすごく高い、簡単に達成できるわけではない目標を示したこともすごいが、さらに50%の高みに挑戦し続けるということに触れたことも大きなポイントだ。

やはりエネルギーから脱炭素をしていかないと、CO2も含めた温室効果ガスは大きなボリュームで減らせない。計算上、再生可能エネルギーを5%増やせば、温室効果ガスの削減は2%できるので、残りの9年間でどれだけ入れられるか。ただ、洋上風力や地熱は場所を決め、建設して動かせるようにまでに時間がかかるので、2030年までに間に合わないものもある。

橋下:僕も大阪府知事時代に東日本大震災を経験して、このまま大型の商業用原発を推進し続けるのは難しいだろうし、使用済み核燃料の最終処分地も決まらないんじゃないかと感じ、維新の会として“原発フェードアウト論”をまとめた。一方で、これは二酸化炭素、温室効果ガス削減の話とは両立しないなという悩みもあった。僕の結論としては、大型原発はフェードアウトだが、小型原発は推進。そして、一定期間は火力に頼らざるを得ないということになれば、CO2削減についても引かざるを得ないということ。その点、小泉さんはどちらかと言えば“原発ゼロ”論だったと思う。今、そことの兼ね合いをどう考えているのか。

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小泉:まずエネルギー基本計画は“46%”と整合するものにしなければならない。その中で最初に決めなければいけないと思っているのが、“ベースロード論”からの転換だ。今までは原子力や石炭など、比較的コストが安く天気などに左右されない“安定電源”と言われるものをベースロードとして置いて、その上に再生可能エネルギーなどの不安定型のものを置いていた。その上で、“もし太陽が照りすぎて発電しすぎちゃったらごめんなさい”、というようなものだった。

そうではなく、まず再エネ入れるだけ入れる。そして、これから水素社会を作らないといけないので、余った再エネを水素を作るために使う。こういう転換をさせていきたい。そもそも日本は石炭、石油、天然ガスといった化石資源に乏しい国なので、外国に17兆円も払っているしかし再エネのポテンシャルは2倍あるという試算も出ているので、エネルギー安全保障にも資することになる。

橋下氏:可能な限り再生可能エネルギーを導入するということについては賛成だ。ただ、温室効果ガス削減の目標を作ったのであれば、並行して”原発はやめていくんだ、ゼロにすべきだ”というメッセージは変えたということも明言すべきだと思う。

小泉:この議論をする時に、“できる限り残したい”という前提で話しを始める方と、“できるならやめられるようにしたい”という前提で話しを始める人がいるが、私は原発を使わなくて済むのなら、その方がいいと思っている側だ。やはり他の国と日本が違うのは、地震も含め、あらゆる災害に襲われる可能性が高いこと。福島には、今も故郷に戻れない方がいるし、再び原発事故があった時の影響たるや、致命的だ。取れるリスクではない。そういう思いがある。ただし、過渡的な時期、移行期というものも必要だとも思っている。一気にゼロは今は無理だ。

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橋下:気候変動の問題については46%、ないしは50%を目指し、政治家として行政に大号令をかけ、動かしていく。これが小泉さんの今の理念、方針だと思う。一方で、お父さんが“とにかく原発を無くしていくんだ”という理念を掲げて力を入れているように、そこにまずコミットし、そこに向かって進んでいくんだ、というのもありだと思う。以前の小泉さんのスタンスはそっちだと僕は思っていた。

その意味では、“できれば使いたくないけれども、使う場合には使う”というのは、大きな方針の転換だと思う。そこが発言を聞いていても、はっきりしない。もちろん政治家としては、どちらを選ぶかの話だから、どっちもありだと思うが、次世代を担う若手のリーダーとして、議論や表現の部分で物足りなさを感じてしまう。今は気候変動の方、CO2削減の方にコミットするから“原発ゼロ”の話はちょっと横に置いておく、というように政治スタイルを大きく転換したということか。しつこいけど。

小泉:環境大臣は原子力規制委員会も見ているし、その立場からすると、あまり言えないという環境もある。その意味では、橋下さんよりも制約がある。ただ、菅政権の中にいる立場としては、総理が言っているように、安全が認められた原発については再稼働する、そして最優先は再エネだということ、これはぶれてない。

環境大臣になって直面したのは、日本の中では原子力というテーマはものすごく政治的だが、国際社会ではそうではなく、むしろ石炭などの方が政治的だというギャップ。日本はエネルギー政策というと原発の問題で、しかもそこにはイデオロギーの議論や、科学的ではない議論までが入ってくる。だけど国際社会の科学的な議論の中では、どうやって化石資源の依存度を下げるかということが気候変動対策につながってくる。その点、今まで日本はほとんど石炭の議論をしていなかった。

■橋下氏「このまま運動論で国力を落とさないのか」

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 菅総理は「世界の脱炭素化は国際社会が一致団結して取り組まなければならない課題だ」と述べ、国際協力の必要性を訴えてもいる。

 橋下氏は「みんなが盛り上がって支持している目標であったとしても、それが国のためにならないという場合には、“いやいやちょっと待ってよ、それは国のためにならないから”、と言うのが政治だと思う。掲げた目標にまっしぐらに進んでいくだけなら、それは運動だ。例えば今回のCO2削減の話を見てみると、各国が自国に都合のいいことばっかり言っている。中国がしたたかだと思うのが、CO2の絶対量ではなく、“GDP当たりの削減”にしたこと。しかも2030年にピークアウトで2060年にゼロを目指すといっても、何ら具体的な行程を示していない。このままでは一気に石炭火力から再生可能エネルギーにいかない東南アジアの国などにまた“貸し”を作っていくということも考えられる。日本は世界の中でリーダーシップを取らないといけないとか言うが、何か“貸し”を作っているようなものがあるのか、外交のカードがあるのかが見えない。このまま運動論で国力を落とさないのか」と注文を付けていた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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