「緊急事態宣言下でなくても酒類・カラオケの終日禁止が可能に」メディアが政治家を問い質さない中、知事の権限が拡大する告示が
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 3度目の緊急事態宣言が発出され、「初回ほどの緊張感が全然ない。明らかに“緊急事態宣言慣れ”している」「本当に出す意味あったの」といった疑問の声が上がる中、「宣言を要請する段階からおかしい」と訴えるのが、日本公共利益研究所主任研究員で弁護士の楊井人文氏だ。

・【映像】メディアの在り方とは 3度目の緊急事態宣言を検証

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 26日の『ABEMA Prime』に出演した楊井弁護士は、「私は緊急事態宣言そのものに反対しているわけではない。ただ、根拠と基準に合っているのか、みんなに納得感があるのか」と指摘する。内閣官房の資料によれば、東京都の病床使用率(22日時点)は「まん延防止等重点措置」の適用基準(20%)には達していたものの、緊急事態宣言の発出基準(50%)には達していなかったからだ。

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 「医療提供体制に支障が生じているときに出せるのが緊急事態宣言だ。その意味では、大阪府、京都府、兵庫県の医療は病床使用率が50%を超え(ステージ4)、ひっ迫状況は深刻だったので、むしろ緊急事態宣言の発出のタイミングが遅いくらいだった。一方、東京都をはじめとした首都圏は、それら関西の府県とは状況が違う。5月11日まではまん延防止措置も適用されているし、その結果をみて判断するという話だったのに、大阪府で変異株が出てきて感染のスピードが上がっていることに対する不安の広がりに便乗し、ステージ4に達していない状況での発出要請に至った。東京オリンピック・パラリンピックへ向けてやっているということを見せるために、緊急事態宣言を使ったのではないかと疑われても仕方がない。

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 そして、東京がステージ3であるということを、メディアはほとんどスルーし、小池都知事にも問いたださない。賛成なら賛成でもいいが、なぜステージ3でも要請するのか、ということをデータに基づいてぶつけるという作業をしないと、小池さんの言いなりになっているだけだと思う。しかも、その記者会見でさえ、ぶら下がり取材を除けば週に一度だけだし、知事が好きな記者を当てるだけ。この仕組みは極めて不健全だ。人権の制約も行われていることを考えれば、憲法違反にあたるような緊急事態宣言だと思うし、今の司法制度ではこれを止める手段はなく、政治家のやりたい放題だ。そういう現状にあるということを認識しておいた方がいい」。

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 一方、東京都の要請に応じて発出したのは政府だ。楊井弁護士は、この点についても次のように指摘。さらに、厚生労働省が「まん延防止等措置」に関する告示を23日に改正していた事実に懸念を示す。

 「菅首相としては発出したくなかったのだろうが、西村経済産業担当相をはじめとする周りの“積極派”の意見が強かったのかもしれない。そうした点について総理の記者会見でも問い質した記者がいるかというと、やはりいなかったと思う。だからスルーされてしまう。もともと特措法自体にも問題があるとは思うが、法律が定める条件を満たしていなくても発出しなければないといけないのなら、やはりその根拠を示し、丁寧に説明しないといけなかったと思う。

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 そして、どういう命令ができるのか、どういう罰則が作れるのか、ということを全て政府に委任、丸投げしてしまうという、一線を踏み越えた、ある種の“全権委任法”のような法律を2月に作ってしまっていた。実際、今回の告示の改正で、まん延防止等措置という緊急事態宣言ではない緩い段階でも酒類の提供やカラオケ設備の使用を終日禁止することができる権限を都道府県知事に付与してしまった。これを受け、まん延防止等措置の段階の神奈川県などでは早速28日から実施される。

 国会の審議を経ずにこういう改正をする場合、本来は国民や事業者から意見を聞くパブリックコメントという手続きを最低でも30日間はやらないといけないはずだ。それを緊急事態だから時間がないと省略し、報道発表もせず、官報にポンと載せただけ。だからメディアも気付かない。実際、どこの新聞にも載っていないと思う。こうやって、我々の権利制限の範囲がどんどん拡大している。今後どういうことをされるのか、我々としては全く予測がつかない」。

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 カンニング竹山は「先日、小池さんの会見を全て見たが、本当に情けないと思った。もっと突っ込むことがあるはずなのに、メディアが鋭いこと言わない。菅総理の会見も、後半になってフリーランスの神保哲生さんや江川紹子さんがオリンピックについて鋭く突っ込む。でも、そういう人はなかなか指名されない。我々が本当に知りたいことがわからないから、見ていてい歯がゆくてしょうがない」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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