橋下氏「緊急事態のためにも憲法改正をすべきだが、今の政治家には恐ろしくて任せられない」
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 1日のABEMANewsBAR橋下』に松田公太氏が出演、政府のコロナ対策と飲食業界の問題について橋下氏と議論した。松田氏はタリーズコーヒーの日本1号店を創業、参議院議員を経て、現在はハワイアン料理やパンケーキで知られるEGGS ’N THINGS JAPAN株式会社代表取締役を務めている。

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■デパートへの協力金が20万円…松田氏「ちょっと舐めてるなと思う」

橋下:一回目の緊急事態宣言の頃は新型コロナウイルスについてよく分かっていないところもあったから、社会経済活動を一斉に止めて、ちょっと様子を見ようというのも仕方がなかったと思う。その後は飛沫感染だということも分かってきたわけだし、感染対策をきちんと制度として進めていくのが政治のやるべき仕事だったはずだ。ところが政治は時短要請や休業要請によって何とか乗り切ろうという考え方でやってきてしまった。

営業時間を短くしたところで、感染対策が行われていなかったら感染が広がる。裏を返せば、努力して感染対策をやっていても、緊急事態宣言で人の流れを抑えるってことで営業を止められてしまう。それでは対策を取るのもバカらしくなってしまうはずだ。“マスク会食”については批判もあるかもしれないが、飛沫感染を防ぐという意味では効果があるという専門家の意見もある。いちコメンテーターがいくら言ったところで政治にはなかなか届かないが、店の規模に応じた人数制限、“キャパシティコントロール”も日本ではやっていない。そういう感染対策の“王道”をしっかりやっていれば営業は認めるよ、という法制度をしっかり作るのが先だったと思う。

もちろん、今の時点では社会経済活動を止めないといけないのかもしれない。そうだとしたら、止められる人に対してはきちんとした補償をしなければならない。この1年で、政治は何を学んできたのか。また振り出しに戻っている気がする。

橋下氏「緊急事態のためにも憲法改正をすべきだが、今の政治家には恐ろしくて任せられない」
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松田:私も同意見だ。私は政治家をやっている時にも“経営者視点”で発信していたが、そうすると政治の世界では“こいつ何言ってるの?バカじゃないの?”という感じで見られてしまう。しかし日本の政治全体が、非常に“受け身”で、起こったことに対して応急処置を取る、みたいな感じで何とか物事を収めようとするところがあると思う。もっと積極的に対策を打っていかないと、感染は抑えられないと思う。日本では法的にロックダウンは難しいよということで新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正したが、やはり徹底することはできない。

私が考える“日本版のロックダウンというのは、補償を徹底的に大きくしてやるということ。日本人は、“これだけお金がもらえるなら、やっぱり止めよう”となるはずだ。今回の緊急事態宣言では、百貨店など大規模な商業施設に1日あたり20万円を出すという話があるが、全然足りない。飲食業も、うちみたいに家賃が月に400万、1日の売上げが200万というようなところは、20万円では全く足りない。それで閉めようとは思わないはずだ。

そうではなくて、“あなたのお店は月にこれだけの固定費を払っているから、じゃあそれの3分の2出すよ、だから完全に休業してね”というふうにすべきだ。そうすれば、みんな間違いなく閉めるし、我々も閉める。それをしないというのは、“大手の商業施設は叩かれたら嫌だから締めざるを得ないだろう”、という考えがあるんだと思う。ちょっと舐めてるなと思う。

■憲法改正…橋下氏「今の政治家には恐ろしくて任せられない」

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松田:それから、社会経済活動を真剣に広げていきたいというのなら、感染が広がることを前提に、自治体任せではなく、国が一緒にいなって医療施設を徹底的に用意してあげることだ。特措法の改正によって、政府の考えで医療施設を作れるようになっているわけだし、海外みたいにアリーナのような所に準備をしておく。ECMO、病床、医師を一箇所に集めて効率化を図っていく。“だからどうぞ経済活動をやってください、何かあったらここに来てください、ここでちゃんと治療してもらえますよ”と。それが今、中途半端だ。

橋下:営業の自由を制限するんだったら、それに見合うだけの補償をしないといけないのに、国はお金を出したくないもんだから“支援”という名前に変えた。憲法学者としては、今が一番の“騒ぎ時”のはずだ。でも、シーンとしている。憲法学者たちは、安倍さんが平和安全法制を進めようとした時には連日大騒ぎしていたし、菅さんが日本学術会議の会員を任命拒否したときにも“学問の自由を害する”と大騒ぎしたのに、なんで不十分な支援金で営業の自由を制限することに対して大騒ぎしないのか。

グローバルダイニング社の訴訟についても、弁護士のやり方がどうも僕は理解できない。“お金の話じゃないんだ”というふうに見せたいのだろうが、104円が損害だと主張したら、支援金の6万円を受ければいいという話になってしまう。ただ、政治がやっていることのおかしいところを正すのは最後は司法しかないのかなと思う。

それから病院の問題については、行政の長を経験した感覚からすると、病院をどれだけ作ったとしても感染が爆発的に拡大してしまうとキャパシティが足りなくなるし、医療界に命令を出す根拠がないとできない。大阪府知事の吉村さんがそれに近いことをやったが、結局医師や看護師を集めることができず稼働しなかった。やはり店を閉めてもらって補償しながら。この両立だろう。この、有事の時の対応のための法律を作るのは国会議員の仕事だと思う。

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松田:私は東日本大震災の翌々日に現地に行って、ひどい状況を見てしまった。水素爆発が起き、放射性物質が降り注ぐ中で物資を運んだりした時に、色んな理不尽に直面した。憲法審査会等ではそんな議論はできないという話になってしまうわけだが、これはまずいぞ、憲法も含め、非常事態宣言というのをしっかり書き込むべきだ、と考えた。おそらく、こういう話を突き詰めていくと、憲法を改正する必要が出てきてしまう。憲法学者さんたちはそれに大反対だから。

橋下:僕も憲法を改正して緊急事態条項を盛り込むことも必要だと感じてはいるが、今の政治家には任せられないなと思う。今回、もし憲法に緊急事態条項があって、政治家に何でもできる権限があったとしたら、本当に恐ろしいことになったと思う。緊急事態条項というのは、自由を制限する代わりに、きちんと支援もするよ、というのが本来の思想のはずだ。しかしコロナ対策を見てみると、当初は補償ということすら全くなかったし、特措法にもその規定がなく、支援金の条項を入れるだけでもすったもんだした。僕は憲法改正派だが、ちょっと恐ろしくなった。電車も止めろ、あれも止めろと、どんどんやられてしまったかもしれない。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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