4月22日より配信がスタートしたABEMAのオリジナルドラマ『ブラックシンデレラ』が話題だ。学園一の美男美女を決めるミスコンが行われる高校を舞台に、見た目に悩みを抱く主人公のド平凡女子・神谷愛波(かみや まなは)がルッキズムに立ち向かう逆襲ラブストーリー。主演の莉子をはじめ、神尾楓珠、板垣瑞生、愛花など、若者に人気のフレッシュな若手俳優陣の共演にも注目が集まる。主人公・愛波の親友で幼馴染・ひまりという大切な役どころを演じる鈴木美羽に、作品への思い、現場での思い出を語ってもらった。
「こういう子、クラスにいるよね」ひまりの持つリアリティ
――本日はよろしくお願いします。まずは、ドラマへの出演が決まったときの感想から教えていただけますか。
鈴木美羽(以下、鈴木):世の中の問題に訴えかけるようなメッセージ性の高いドラマに出演したいってずっと思っていました。この作品のテーマは「ルッキズム」。私自身、モデルとして活動しているので、外見について考える機会がとても多くあって、身近な問題でもありました。「本当の美しさって何だろう」と、自分が改めて考える機会にもなったし、見ている人の心にも刺さるドラマだと思ったので、出演が決まったときとてもうれしかったです。
――鈴木さんは主人公・愛波の幼馴染で親友のひまりという大切な役柄。どんなことを意識しながら演じられましたか。
鈴木:ひまりちゃんは愛波と2人でいるときが、一番テンションが高いんですよ。学校に着くと自分のポジションを気にしたり、周りの目を気にして、ちょっと大人しくなっちゃうような女の子。好きな人がいて、目が合うだけで舞い上がっちゃうようなところもある本当に普通の女の子なんです。こういう子、クラスにいるよねって思えるような、普通の可愛らしさを見せられるように心がけました。
――いるよねっ、あるあるって思いました。鈴木さんの演技を見ていて、とても自然だな~という印象を受けました。
鈴木:え~、うれしいです。ひまりちゃんの“愛波が好き”っていう気持ちを1番大切にしました。大好きだからこそ、感情が揺らいでしまうということをくみ取ってもらえるように意識しました。
――とても伝わってきています。現場の雰囲気もお聞きしたいです。若い俳優さんがたくさんいる現場はきっとにぎやかだったのではないかと思います。
鈴木:すごく楽しかったです。お芝居の現場で珍しいことだと思いますが、撮影が終わった後もみんな、なかなか帰らないんです。みんなで同じバスに乗って帰ろうって言ってほかの子を待ったりしてました(笑)お昼はみんなでお弁当を食べたりして、本当のクラスメイトみたいでした。
――カメラが回ってないときはどんなお話をされましたか。
鈴木:そうですね。古今東西で懐かしいものを言い合うゲームが流行っていました。私が1番懐かし~って思ったのは「コラショ」っていう進研ゼミの赤いうさぎの名前が出たときです(笑)。キャストは、18歳から22歳の同世代のメンバーだったので、懐かしいものが一緒なので、すごく盛り上がりました。
――楽しそう…。そのゲーム、ぜひやってみたいです。
鈴木:ぜひやってみてください。盛り上がりますよ。あとは、ほっぺたを膨らました可愛いぷくガオ選手権とかもやっていました。男の子たちが可愛かったですよ。
神尾楓珠のボケにくすっ「『フレミングの法則?』『……ガリレオ』とか言って(笑)」
――男女ともに仲良しだったんですね。
鈴木:一番年上だった神尾さんが現場の雰囲気を作ってくださって。いつも笑いが絶えなかったです。
――どんなふうに空気を作ってくれたんですか。
鈴木:「フレミングの法則」ってあるじゃないですか。急に、その手の形を見せてきて「これなんだと思う?」って言われたので「フレミングの法則」ってみんなで答えたんです。そしたら、指を顔の近くにもっていって「ガリレオ」って(笑)。しょうもないっていうか、くすって笑っちゃうような小ネタをちょこちょこ挟んでくれました。そのお陰で、みんな肩の力が抜けて、いい雰囲気になっていたと思います。
――シュッとしたルックスなので、勝手にクールで大人びているんだろうというイメージを持っていました。
鈴木:意外性で言うと一番でした(笑)。
――主人公で親友役の莉子ちゃんとの関係性はいかがでしたか。
鈴木:『Popteen』の仲間で以前から知り合いだったので、まずは主役が莉子ちゃんだって聞いて心強かったです。私のほうが年上なので、これまでは敬語で話してくれていたんですが、今回は親友役ということで、敬語は無しにして、「みうっち」っていうあだ名で呼んでもらいました。休みの日には2人で遊んだり、マスクチェーンを手作りでプレゼントしたり、ずっとLINEをしていたりして、ぐっと距離が縮まりました。コロナが明けたら遊びに行きたいねって話しています。
――現実でも親友みたいになったんですね。
鈴木:本当にみんな仲良しで。クランクアップのときには、ほとんど全員泣いていました。同じ事務所の兵頭功海くんも共演していたのですが「絶対に泣かない」と言っていたのに、真っ先に泣いていました(笑)。
キュートな笑顔を武器に挑戦したい役柄は、笑顔のサイコパス?!
――仕事仲間という意味ではどんな雰囲気でしたか。
鈴木:オフの時は思いっきり楽しみつつ、カメラが回ったらみんなバチっとスイッチが入る姿が刺激的でした。
――お仕事のお話をされることもありましたか。
鈴木:百合役の愛花ちゃんは同い年で、モデルという共通点があったので、モデルと女優の違いとか、仕事の大変さとかを語り合いました。
――みんなで役柄についてアドバイスをしあうような場面はありましたか。
鈴木:ライバルであり仲間、戦友みたいな感覚でした。アドバイスというよりは、いいところを褒めあって伸ばしていたことが印象的です。高校生のドラマですが、出演者の実年齢は18歳から22歳まで。ちょっと大人というか、落ち着いたメンバーでできたので、みんなの波長が合っていた気がします。
――お仕事のビジョンもお聞きしたいです。今後やりたい役柄などはありますか。
鈴木:普段、よく笑っているよねって言われることが多くて、役柄もけろっとした明るい子の役をいただくことが多いんです。でもこの笑顔を別のベクトルに生かしたいと最近思っていて。笑いながら人を刺すようなサイコパスな人間を演じてみたいです。
――おお~、興味深いです。
鈴木:(笑)。そのくらいインパクトが強い役をやってみたいです。笑顔って、人を明るくさせる面もありつつ、自分の感情を隠すという意味でも使える武器。笑っていると相手をコントロールできると思う部分もあって。
――満面の笑顔で話してくれていますが、その笑顔の裏側になにかサイコパスな気持ちが隠れているのかもしれないという恐怖に今おののいています。
鈴木:そこまで計算してないですけど(笑)。仕事としてそういう使い方もあるのかなって感じますね。
――鈴木さんのサイコパスな演技を見るのを楽しみにしています。最後に、『ブラックシンデレラ』の見どころと、視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。
鈴木:個人的な話ですが、最近「無加工でも可愛いね」ってファンの子から言われて違和感を持ちました。世の中の基準が変わってきているんだって思ったんです。加工する、背伸びする、自分を作ることが当たり前になってきたんだと痛感しました。でも、ありのままの自分でいることが、自分を大事にする1番の方法なんだってことがドラマを見てくれたら伝わるんじゃないかなと思います。でも基本はラブコメなので、キュンキュンしながら自分を好きになるきっかけになると嬉しいです!
――ありがとうございます! 引き続きドラマを楽しみにしています。
取材・文:氏家裕子
写真:You Ishii