“アイドル投票権”欲しさに乳製品を大量購入→廃棄でオーディション番組に批判 中国“食品浪費”規制の実態
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 器に入った白い液体を地面の溝に流す人々。この動画は、飲みきれない大量の乳製品を廃棄する様子だ。食べ残し禁止など食をめぐる規制が急速に進む中国では、ある番組に批判が集まり放送中止に追い込まれたという。

【映像】大量の乳製品を廃棄する様子

 なぜ、自分たちが消費できない量を購入するのか。買っているのは主に若者で、その目的は“投票権”。ANN中国総局の北里純一記者は「取材のために(乳製品を)箱で買ったが、中にはQRコードが入っている」と説明する。

 QRコードを読み込むと、多くの“イケメン男性”が並ぶWEBページに遷移する。これは、中国で大人気のオーディション番組のサイトで、つまりQRコードは推しを選ぶための投票権。箱買いで入手する他にも、開けたフタの裏にQRコードが記載されているタイプがあり、特に後者は賞味期限に余裕があっても開封しないと投票できないということで問題視されているという。

“アイドル投票権”欲しさに乳製品を大量購入→廃棄でオーディション番組に批判 中国“食品浪費”規制の実態
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 このオーディション番組は、100人の候補生から9人を投票で選び、アイドルグループをデビューさせるというもの。今年でシーズン3を迎え、去年のシリーズの再生回数は延べ23億回と中国で最も人気のあるバラエティ番組だと言われている。いわゆる地上波の放送には当局からのプレッシャーがかかり、若者の志向に合った番組は少ない中、インターネットテレビが躍進しているという。

 こうした“廃棄動画”を国営メディアなども取り上げたことで、「中央テレビや新華社通信などを中心に『若者に浪費をさせて、その引き換えに利益を貪っている』『若者を誤った認識に導いたのではないか』と厳しい批判の声をあげている。北京市当局もこうした声の高まりを受けて番組収録の中止を求め、実際に番組が放送中止に追い込まれた。(シーズン3は)決勝戦が放送されないまま中止になった」。

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 中国では昨今、大量の食品を食べる様子を投稿した“大食い動画”がネットで流行している。動画の再生回数を稼ぐため、大食いにチャレンジした人が大量に食べ残しをするなど、社会問題になっていた。先月には、大食い動画をネットなどに公開した場合、日本円で最高約170万円の罰金が科せられ、客に大量に注文させた飲食店にも最高で約17万円の罰金が科される「反食品浪費法」が成立・施行した。

 こうした食品浪費への規制は中国指導部の方針を反映したものなのか。北里記者は「コロナ前後からアメリカや各国との関係が微妙な状況。中国は農業の一大生産国である一方で、輸入大国でもある。国内では去年、南の農作地帯で大きな豪雨災害も起こった。長い目で見ると、農業人口も減ってきていて、都市に多くの人が流れている。中国は食糧危機で体制が危機に陥ったり変革したりということを何度も経験してきているので、そういう意味でも“食の安全保障”が体制維持の根幹にある。食糧政策を厳しくしているのは指導部の危機感の表れのひとつと分析することもできる」とした。

ABEMANEWSより)

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