新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの予約システムをめぐり、架空の接種券番号などでも予約が完了できてしまうことを一部メディアが指摘した問題。
・安倍前総理も登場…「政府もメディアも、自分たちのファンに応えるためのバトルをしていないか?」ワクチン予約システム報道めぐり論争
運営する防衛省が記事を掲載したメディアに抗議したことについて19日、ヒアリングの場で立憲民主党の原口一博副代表は「言論の自由や報道の自由を萎縮させることは、絶対あってはならない」と指摘。これに対し、防衛省の芹澤清官房長は「(虚偽の)予約を取りサーバーに負担をかけたのは間違いない」と反論している。
一連の報道について、慶應義塾特別招聘教授でドワンゴ社長の夏野剛氏は「メディアがITの常識に疎すぎる」と批判する。
「1日あたり40万人まで来ているが、これを1日あたり100万人まで伸ばさないといけないので、政府はあらゆる手を打っている。問題は、責任者を明確にして、時間が無いという今の状況に対して最も効果的な仕様を作るということが大事だ。そのためには、どこで割り切るか、という話になる。
大規模接種センターの接種券番号の発行は地方自治体が行う以上、防衛省には情報が無い。もし今回のシステム上で接種券番号を照合しようとすれば、東京なら23区それぞれのデータベースに接続し、情報を突合しなければならない。しかしそれをやろうとすれば、システム開発は1カ月では終わらなかっただろう。一方、お金が儲かるなどのメリットがなければシステムのハックなんて誰もやらない。仮に架空の番号で予約を取ったとしても、接種会場に行った時には接種券を見せなければならず、受け付けてはもらえないわけで、わざわざこの仕組みを悪用するのは、“愉快犯”でしかないということだ。
そこで防衛省としては、そんな“愉快犯”対策のために予約の開始を1カ月以上遅らせてもいいのだろうか、と考え、架空の番号でも受け付けられる状態でも始めよう、会場に来た人が持ってきた接種券と照合すればいい、と思い切った判断をしたということだ。予約を取るだけのシステムとしては、これでいいんじゃないかと思うし、それを“システムに不備”“システムに不具合”などと認識しているメディアは何もわかっていない。
メディアはネットでしか予約できないことも批判していたが、これも割り切りだ。防衛省が予約方法をネットに絞った結果、1日、2日でほとんどの予約が埋まったということは、目標をスムーズに達成したと言えると思う。電話でアナログにやっていたら、こんなに早くは達成できなかったと思うし、接種券番号を検索できる仕組みが無い以上、やはり架空の番号でも受け付けてしまっていたと思う。やはり防衛省だからできた英断だった」。
LINEやZOZOの執行役員などを歴任したオンラインサロン『田端大学』主宰者の田端信太郎氏は「セキュリティホールを発見した時の“マナー”のようなものが業界にはある。システムを作った人たちにお知らせしたり、エンジニアのコミュニティに少しずつ情報を出していく方法がある一方、パブリックな場で手口を公開してしまえば、模倣犯を生んでしまう可能性がある。だからいきなりメディアがあんなに書いちゃうのは…」とコメント。
一方、アメリカ出身のお笑い芸人・パックンは「日本はいい国すぎる。秩序があり、ちゃんと仕事をしてくれる皆に囲まれ、スムーズに生活ができる。だからこそ、小さな問題でも大騒ぎになってしまう。僕はニュースを見ていて毎日思う。おじいちゃんが逆走した話とか、アメリカではローカルニュースにもならないようなマイナーな事件が全国ニュースのメインで取り上げられることもある。でも、こうやって大騒ぎになって国民が怒ることで、政府がちゃんとしなきゃ、と思うならいいことだと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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