整形手術で顔を変えるのには、それぞれの事情と理由がある。ABEMAオリジナルの連続ドラマ『ブラックシンデレラ』の第5話では、それまで完全無欠のイケメンと思われていた圭吾(神尾楓珠)が、実は整形イケメンであったことが判明する。カミングアウトをきっかけに、学園内外でモデルとして人気者だった圭吾の王子様的ポジションは失墜。圭吾はこの苦境をどのように乗り切るのか。
▶︎動画:整形がネットニュースになり追い込まれる“圭吾”神尾楓珠 『ブラックシンデレラ』第5話
圭吾が顔の整形を決めたのは、容姿を理由にした幼少期からのいじめ経験だった。「俺さガキん時から割とエグめのイジメ受けててさ。周りの奴らにムカついて見返したくて勉強とか運動とか、とにかくなんでも全力で頑張った。だけどいくら頑張ってもダメで逆に悪目立ちしたりして」。破かれた満点のテスト用紙。そこには「ブサイク!」などの心無い悪口が並ぶ。
今でこそ愛波(莉子)をポジティブワードで前向きにさせてきた圭吾だが「親の転勤で海外に行っても周りの扱いは何も変わんなくて。どこ行っても俺はダメなんだとか、結構落ちこんだりもして。どうにか自分を変えたくて、気づくと整形のことを調べてる自分がいて」。帰国の際に整形を決意。しかし実行までは両親の反対を受けたり、考えを改めるよう母親から泣きつかれたりもしたという。
整形を施したことに対しての後悔はなかった。事実、生まれ変わった高校生活は完全無欠のイケメンとしてバラ色だった。しかし事故によって顔に一生消えない傷を負った愛波の「どうせ痛いなら、そんな自分を悪くないって心から思えることをしていきたい」という言葉に衝撃をうける。その強さに惹かれたからこそ、圭吾は「胸を張って恋でもなんでも好きなことをして欲しい」と、愛波に対して願っているのだ。
その話を聞いた元婚約者の百合(愛花)は「顔に傷のある女なんて、圭吾には余計ありえないってことでしょ!?」と口をはさむが、圭吾は「傷があろうがなかろうが、俺は神谷(愛波)が大好きなんだよ!」と人間として惚れているとの絶叫アガペー。その上で愛波に告白した恋敵であるはずの空を「こいつすげーいいやつじゃん」「いつも余裕あるし、悔しいけどお似合いだよ!」「こいつが傷なんか気にしないことわかるだろ?気にしてるのは神谷なんだよ」「好きなんだったら付き合えばいいじゃんか!」と太鼓判を押す。
数人しか知らない圭吾の整形という事実。にも関わらず、すぐにネットニュース化。怖い現代。そのせいで圭吾は学園内外で白い目で見られてしまう。だが当の本人は「あれなら本当だけど?」「整形が色物って発想昭和かよ」と平静を装ったり、「俺が人気者なせいで騒ぎになっちゃってごめん」と明るく振る舞ったりする。しかし顔の傷を理由に容姿コンプレックスを抱いていた愛波にだけは、その心の底の葛藤が手に取るようにわかる。
整形圭吾のミスターコン参加への是非が議論され、廊下に貼られた圭吾のポスターには画鋲のイタズラも。所属事務所からは仕事のキャンセルを告げられたりする。だが圭吾は、愛波に何事もなかったようにパンを与えるなど、相変わらず明るくて優しい。弱みを見せない圭吾に「大丈夫?」と愛波は心配するが「言っただろ、今の俺が最強だって」とポーズを崩すことはない。
でも一人になると心が叫ぶ。視線や罵詈雑言に圭吾のポジティブ精神もさすがに疲弊。追い詰められた圭吾は、通学のためのバスへの乗車も無意識のうちに拒絶してしまうようになる。「あれ…?んだよ、俺、ダッセえ」。そう強がる圭吾の肩が叩かれた。振り返る圭吾の視線の先にいたのは、愛波だった。空への告白の返答は「NO」。なぜならば今の圭吾を支えるのは、自分の役割であると悟ったからだ。「ねぇ、学校サボっちゃう?」。かつて初めて圭吾にバス停で明るく声をかけられた日のように愛波は言う。ついにクライマックスへと突入!最後まで『ブラックシンデレラ』は先が読めそうにない。視聴者数右肩上がりなのも納得の興味深さだ。