東京・秋葉原でメイドカフェを装った飲食店5店舗が警視庁に摘発され、19日までに経営者ら男女6人が風営法違反の容疑で逮捕された。警視庁によると容疑者らは女性店員にメイド服を着せ、カウンター越しに親密な接待をさせていたという。
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コロナ禍の今も華やかな女性たちが路上に立っているが、その近くには秋葉原に似つかわしくない怪しげな男たちの姿が……。一体、秋葉原で何が起こっているのか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、秋葉原の表と裏を知るノンフィクションライター・石原行雄氏と議論を交わした。
■秋葉原で一斉摘発! “オタクの聖地”に異変?
かつては電気街と呼ばれ、オタクの聖地としても名高い秋葉原。現在の秋葉原の実態について、業界に詳しいノンフィクションライターの石原行雄氏は「ほぼキャバクラ状態」だと話す。
「メイドカフェといっても今はいろいろな設定があって、秋葉原にあるコンセプトカフェ(コンカフェ)といったその手のお店は、設定内容も料金もほぼキャバクラ状態。カフェや喫茶店は保健所の管轄だが、キャバクラは風営法の第1号営業に当たるので、所轄の警察署に届け出が必要だ。今回は実態がガールズバー形式になっているにもかかわらず、飲食店として営業していたことで一斉摘発された」
また、石原氏は「界隈を取材し始めたのは約18年前」だといい、当時は「本当にメイドさんに憧れて働いている人が多かった。『コスプレだけでは本当のメイドじゃない』と。人に尽くして初めてメイドになれるから、そういう仕事ができる場所として、メイドカフェがあった」と説明。今は口コミで「秋葉原は押しに弱くておとなしいお客さんが多い。今すごく稼げるよ」といった内容が広まり、街が様変わりしたという。
ギャルアイドルグループ「Black Diamond」リーダーのあおちゃんぺは、新宿のコンセプトカフェで働く現役の従業員だ。秋葉原のカフェで見た“異様な光景”をこう語る。
「秋葉原のカフェに1日だけ出勤して辞めたことがある。辞めた理由は、面接で『ビラ配りなし。隣につく接客なし』と言われたのに、初日にビラ配りをした。VIPルームもあって、そこでキャバクラのような営業が行われていた。秋葉原に行き慣れている人たちに聞いたら『秋葉原はキャバクラ営業が当たり前だよ』と言っていた。でも、まだ行き慣れていない人からしたら、異様な光景だった」
自身も店員として働きつつ、あおちゃんぺは“コンカフェオタク”としてお店を回ることもあるという。
「今はコンカフェの域を越して、秋葉原では本当に水商売的な営業が横行している。1つの店が水商売的な営業を始めるとお客さんがそっちに集中するから、他のお店も『じゃあうちも』と続いていく。王道系のメイドカフェがほとんどなくなっていて、全部ガールズバーかキャバクラ状態になっている」
店員の給料はどれくらいなのだろうか。あおちゃんぺは「時給はピンキリ」と実情を明かす。
「私が1日だけ働いた秋葉原のお店はそんなに高くなかった。高くないのにサービスが過激だったので『よくこんな時給2000円いかないお金でサービスできるな』と思った。お客さんが使う金額も上がってきていて、チェキ撮影やドリンクなどで4000円ぐらいになる。違法営業のお店に行くと、普通に1万円ぐらいかかる。今はチェキだけじゃ満足してくれないお客さんもいて、需要が多いから、違法営業が成り立って増えていく。消費者の意識も見直していかないと、問題の解決にはならないと思う」
一体なぜ秋葉原がこのような街になってしまったのか。石原氏は、過去にあった“JKビジネス”の問題に言及する。
「一時期、女子高生が性的な営業に携わるサービス、いわゆる“JKビジネス”が流行った。これを撲滅させるために東京都は2017年7月に『特定異性接客営業等の規制に関する条例』という新しい条例を作った。しかし、秋葉原ではこれが裏目に出てしまった。条例が『18歳未満を働かせない、客として受け入れない』といった、とにかく18歳未満の排除だけに特化した内容になっていたからだ。業者はこれを『19歳以上ならOKなんだ』と受け止めた。結果、秋葉原が悪名高き裏オプションの街になり、暴走が進んでしまった」
かつては電気街、そして今ではアニメやサブカルチャー、そしてオタクの聖地と、時代と共に姿を変えてきた秋葉原。特有の文化をどのように守り、安定させていくのか。問題の解決には時間がかかりそうだ。
(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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