ベテランと若手の歯車ががっちりと噛み合った好スタートだ。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Cリーグ第1試合、チーム豊島とチーム木村の対戦が5月22日に放送され、チーム木村が5-2で快勝を収めた。木村一基九段(47)がリーダー自ら3連勝するなど活躍。佐々木勇気七段(26)、池永天志五段(28)もそれぞれ白星をあげるなど、全員が勝利する理想的な展開で相手を圧倒、予選突破に大きく近づいた。
木村九段がドラフト会議で、指名競合の末、抽選になり2連続で引き当てたチームは、実に強かった。チームに弾みをつけたのは、リーダー自身。「抽選で苦労して引き当てたメンバーですので、迷惑をかけないように頑張りたい」と第1局から登場し、大橋貴洸六段(28)を下すと、同大会では個人戦の時から発揮していた早指し力を今年もフル活用。瞬発力に勝ると言われる若手棋士よりもスピーディーな指し回しで持ち時間でも圧をかけ続け、個人3連勝と最高の結果を出した。
これに続いたのが池永五段だ。個人としては1勝1敗だったが、大きかったのは第2局。4人いるタイトルホルダーの一角で相手チームのリーダー、豊島将之竜王(叡王、31)に得意の矢倉で真っ向勝負。途中、リードを奪われたもののしつこく耐えると、ついには形勢逆転。「自分でもびっくりしています」と今大会初勝利をあげ、笑顔でチームメイトのところに戻っていった。
3人のうち最後に登場したのは、佐々木勇七段だ。チーム3連勝の状況で第4局に登場しても「全然プレッシャーかかってないですよ」とケロリ。個人戦だった第1回大会では準優勝するなど、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算という独特なルールの経験値を活かすと、大橋六段に快勝。前回大会でチームメイトだった豊島竜王には競り負けたものの、作戦会議室などでは持ち前の自由奔放さでムードを高める役目も果たし、チームの快勝に結びつけた。
フィッシャールールの実戦経験が豊富な木村九段、佐々木勇七段に、新規参戦の池永五段も大物食いでスタートダッシュ。作戦会議室でもファンの爆笑を誘うトーク3人組、その強さは底が知れない。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)