映画『ゾッキ』『裏ゾッキ』の交互上映トークイベント「秘密の集会 今こそ愛だ」が5月23日、東京のミニシアター・アップリンク吉祥寺で行われ、『ゾッキ』原作者の大橋裕之とライター&編集者の九龍ジョーが参加した。
大橋原作の漫画『音楽』の編集を担当するなど、大橋と親交の深い九龍は『裏ゾッキ』について「住民の方が『宝くじに当たったようだ』とコメントをしているけれど、平穏な町に映画というとんでもないモノがやって来た感。それによって一つの町が大わらわになる様子がとても面白い」と高評価。
『裏ゾッキ』では、『伴くん』(齊藤工監督演出パート)でのコウテイ・九条ジョーが土砂降りの雨に震える様子が映されるが「齊藤監督が寒さに震える九条さんに対して『映画史に残る』と語りかけて励ましている。確かにいい場面ですが…シーン的には伴くん(九条)が牧田(森優作)からお姉さんのパンツを買おうとしているところですからね」と苦笑い。『裏ゾッキ』で初めて当該シーンの舞台裏を知ったという大橋も「あんなに過酷だったのかと驚いた」と九条の体当たり熱演を称えていた。
九龍は、大橋の地元であり『ゾッキ』撮影地でもある愛知県蒲郡市を訪れたことがあるそうで「独特な空気が流れているというか、ただの田舎町ではない」と評し「ほら貝を吹いている人や喫茶店にたむろする人たちなど『裏ゾッキ』に登場する住人の姿が、もはや大橋漫画の世界に出てきそうな人たちばかり。それを魅力的に切り撮る篠原利恵監督の感性も素晴らしい」と個性的な住人たちの姿を見どころポイントに挙げていた。
『ゾッキ』をきっかけに蒲郡市観光大使に任命された大橋は、九龍から「もはや地元の救世主的存在になっている?」と聞かれると「そうなっていますね。地元の飲み屋に行くと『お代は結構です』みたいになることも」と笑わせつつ「観光大使という肩書きをいただいているので、悪いことはできません」と気を引き締めていた。
映画公開を記念して新刊『ゾッキC』も発売されたが、大橋は「発売時に地元の本屋さんに売れ行きを聞いたら、1位2位が『鬼滅の刃』で3位が『ゾッキ』と言われました」と『鬼滅の刃』に次ぐ人気ぶり。これに九龍は「このまま大橋先生がブレイクしたら、地元蒲郡市に大橋裕之記念館ができそうですね!」とさらなる飛躍を期待していた。
最後に『裏ゾッキ』について大橋は「コロナ禍の今を捉えたことで『裏ゾッキ』にはドキュメンタリーとしての重みが生れた気がする。コロナ禍は歓迎されるべきことではないけれど、『ゾッキ』にとってはなんとも不思議な巡り合わせだと思います」と心境を語っていた。
(c)2020「ゾッキ」製作委員会