『映画 賭ケグルイ』第2弾となる『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』が6月1日(火)に全国公開される。原作者・河本ほむらの監修によるオリジナルストーリーとなる同作。ギャンブルの強さだけで学園内のヒエラルキーが決まる私立百花王学園を舞台に、浜辺美波演じる主人公・蛇喰夢子と、藤井流星(ジャニーズWEST)扮するかつて学園に在籍していた最凶最悪のギャンブラー・視鬼神真玄のバトルが描かれる。
出演者には2018年放送のドラマSeason1からのレギュラーキャストである鈴井涼太役の高杉真宙、早乙女芽亜里役の森川葵も名を連ねた。2人を直撃すると、和気藹々とした雰囲気の中で、作品に対する思いなどを語ってくれた。
高杉真宙と藤井流星のプライベートでの交流に森川葵「“嘘でしょ!?”と現場に衝撃が走りました」
――第2弾の映画化が決定した時はどんな気持ちでしたか?
森川:単純に「第2弾やるんだ!」という気持ちでした(笑)。「すごい、まだ続く」とは思ったけど、それだけ人気がある作品なんだと実感出来ました。作品の中の熱が、見てくださる人にちゃんと伝わっているんだと感じました。
高杉:「また鈴井くんを演じることが出来る」と思ったし、ほかのキャラクターのその後が見られるのが楽しみでしたね。個人的には「まだあの赤い制服着て大丈夫かな…?」という思いもあったけれど(笑)、スタッフさんに「まだいける」と背中を押してもらいました。でもいざ現場に入ったら相変わらず皆さん、赤い制服がお似合いだったので、僕もなんとか鈴井くんとしてやり切ることが出来ました。
――そんな『映画 賭ケグルイ』の現場はどんな雰囲気ですか。
高杉:結構、ワイワイとしてますよね?
森川:うん。この現場が走り出してから長いので、みんながみんな知り合いというか。「久しぶり!」とか「元気?」など声を掛け合いながら、ある種、同級生と会うような空気感にはなりますね。
――今作で高杉さんは、撮影中に藤井流星さんとご飯に行ったという話も。
高杉:はい。藤井さんと一緒に舞台を観に行って、その時ご飯に誘っていただいたので、僭越ながら行かせていただきました。なにぶん人見知りなので、『賭ケグルイ』キャストの皆さんは僕が食事中どんな雰囲気なのか想像もつかないと思うんですけど…。
森川:ですね~。まっひー(※高杉の愛称)がご飯に行った話を聞いて「えええ!! 嘘でしょ!?」と現場に衝撃が走りました。みんなザワザワしちゃって。
高杉:現場に行ったら、全員その事を知ってるんだもん(笑)。
森川:『賭ケグルイ』は噂が広まるのが早いんですよ。監督の英(勉)さんがみんなに言いふらすから(笑)。
――長年の撮影チームですが、その中でもかなりセンセーショナルな出来事?
森川:はい、ビックリしました。「あり得ない!」とみんな驚いてました。
高杉:でも僕も緊張してたんですよ。藤井さんに誘ってもらってうれしかったけど、移動中に何を話したらいいかをずっと考えていました(笑)。食事の席では「自粛期間、何してましたか?」なんてお話から入って、2人で作品の話もしましたね。
高杉真宙「この現場って負けず嫌いな人しかいない」
――新キャラである視鬼神真玄役を務めた藤井さんの演技はいかがでしたか?
高杉:台本を読んだ時よりも本番はパワーアップしている印象でした。藤井さんが1つ1つの声色だったり、立ち姿だったり、細かいところまで、視鬼神というキャラクターを作り込んでいたので、それに合わせてセリフの掛け合いのテンポ感も変わりました。視鬼神がまとう“ラスボス感”が作品に色をつけてくれたので、一緒に演じていて楽しかったです。
森川:私も台本を読んでいる時、まさか視鬼神があんなキャラクターになるなんて想像していませんでした。セリフの言い回しも具体的なディレクションが書いてあったわけではなかったので、本当に藤井さんだからこそ、あの視鬼神になったんだと。なので、初めて一緒に演技した時はビックリしました。
高杉:英さん、自由に演じさせてくれる人だからね。
森川:そうそう。その上で「もっとこうした方がいいんじゃない?」とアイデアをくれるから、きっと視鬼神もそうやってキャラが確立されていったんじゃないかなと思います。
――森川さん演じる芽亜里は今回、その視鬼神に「負けました…」と完全敗北を宣言する場面もあります。
森川:そうですね。今回は家畜となってしまい、終始どこか取り憑かれているようなモードでした。なんせ今作で初めて本気の負けを味わったので。
高杉:どうでしたか、完全敗北の味は?
森川:本当に屈辱。
高杉:あははは(笑)。
森川:私自身も負けず嫌いですし、芽亜里で負けるということもあり得ないから、本気で悔しかったんですよ。「えっ? 私『負けました』って言わなくちゃいけないの…?」とそういう感情に襲われたんですけど、でも役として仕方ないので、渋々「負けました」と言いました。
――それくらい役に入り込んでいるという事ですね。
森川:そうですね。すごく嫌でした。
高杉:この現場って負けず嫌いな人しかいないんですよ。だから負けるシーンってみんなどんな気持ちで演じているのかなと想像するんですけど、単純に役に入り切ることで悔しさが湧き上がっているんじゃないかなと思います。でも、芽亜里がすごくきれいな負けっぷりを見せてくれたからこそ、あそこで視鬼神の強さが際立ったように思います。映画の中でとても大事なシーンのような気がしますね。
森川葵、ミュージカルシーンは「本当に苦い思い出です(笑)」
――高杉さん演じる鈴井くんは劇中の指名ロシアンルーレットで、夢子に銃口を向ける鬼気迫るようなシーンがありました。
高杉:撮影の前日に、監督には2つの演技プランを提示されたんですよ。その正解がどっちかわからず、それはすごくプレッシャーに感じていました。
森川:そうだったんだ? そういうプレッシャーの掛けられ方は私は経験していないかも。「あの子がめっちゃいい芝居してたよ」とかは言われたことあるけど。
高杉:ありますね(笑)。それで「これは泣けということなのか…?」と考えて、覚悟して撮影に臨みました。言われてみると、確かに今までと違うプレッシャーの掛けられ方だと思います。
――逆に言うと、英監督は『賭ケグルイ』レギュラーキャストの皆さんに全面の信頼を置いているということなんですね。
高杉:そうですね。任せてもらっているとは思います。
――お2人は劇中で「レ・ミゼラブル」調のミュージカル・ナンバー(「開拓民の唄」)を披露する場面もあります。
森川:ありましたっけ? 撮った記憶がないな(笑)。
――えっ(笑)?
高杉:なかったことにしようとしてるじゃないですか(笑)。
森川:うーん、本当に苦い思い出なんですよ(笑)。英さんには苦手なものをいつもやらされるんですけど、今回は私とまっひーが歌が得意じゃないから、ミュージカルのシーンを用意されて。
高杉:本当にね(笑)。次は違う人にこの役回りがいかないかな。
森川:会長(桃喰綺羅莉)とかね。でも(池田)エライザちゃんは何をやっても無敵そうだからな~。
――お2人の話からすごく雰囲気の良い現場だということが伝わってきました。最後に『賭ケグルイ』という作品が自分にとってどんな存在なのか、それぞれ教えてください。
高杉:クランクインする前は、もちろん思い出す作業も必要なんですけど、もう4年くらい演じているので、鈴井くんは1番身近な役ではあるし、帰ってくるたびに「また鈴井くんを演じられる」とうれしくなります。ただ、現場、現場で手の内を見せている分、“今回は何したらいいんだろう”と悩まされもします。そういう意味ではプレッシャーもあるので、高杉真宙としても成長して、次がもしあるならば、また100%の状態で現場にいられたらいいなと思います。
森川:私もこんなに長く1つのキャラクターを演じたことはないので、自分にとっても芽亜里は大切なキャラクターだし、森川葵を好きでいてくれる人にも、欠かせない存在になっていると思います。今後ももちろん演じたい気持ちはありますけど、一方でどこまでやれるかはこれからの勝負だと思います。
高杉:そうだね。
森川:でもこの『賭ケグルイ』があることで、“若くあり続けよう”というモチベーションも生まれています。自分にとってはそんな作品なので、その気持ちをキープして、また芽亜里を演じることが出来たらうれしいですね。
高杉真宙
メイク:堤紗也香
スタイリスト;荒木大輔
森川葵
メイク:paku☆chan〈Three PEACE〉
スタイリスト:道端亜未
取材・文:中山洋平
写真:藤木裕之
(c)河本ほむら・尚村透/SQUARE ENIX (c)2021 「映画 賭ケグルイ2」製作委員会