「自動車の中に取り残された場合、短時間であっても熱中症のリスク、命の脅かされるリスクが非常に高い」(小泉環境大臣)
環境省は先週、ペットの熱中症についてポスターをつくり、初めて注意を呼びかけた。ペット保険のアニコム損害保険が調べた調査によると、2018年度に犬が熱中症になった件数は965件あり、5月から8月にかけて急増している。
ペットの熱中症の症状として、初期症状はハァハァと息が荒くなる、よだれが垂れてくるなど。進行すると呼吸がさらに早くなり、吐き気やぐったりするようになる。さらに重症化すると、意識を失ってしまうことも。心臓が悪い場合、肺や呼吸器の機能が低下し重症化しやすくなるという。
重症化した場合、30%が死亡するという報告もあるペットの熱中症。防ぐにはどうすればいいのか。井上動物病院の井上快院長は、散歩時の対策として「早朝か日没の時間を選ぶ」「地面を触って熱さを確認する」ことをあげる。また、部屋での対策としては、「温度25度」「湿度50%」「通気性のいい環境」を保つことが大前提になるとした。
では、熱中症と見られる症状が出てしまった場合はどう対処すればいいのか。動物病院では冷水浴ができる浴槽で30分から1時間水をかける、扇風機を当てるなどして体温を下げ、それでも下がらない場合は点滴などで対応していく。まず飼い主が対処する場合も、水をかけてあげたりうちわなどであおいだりして、とにかく体温を下げることが重要だという。
犬の中で特に注意が必要なのは、パグやブルドッグといった鼻が低い犬種。気道が狭いために、体温調節が難しいという。また犬の他にも、ウサギやモルモットといった小動物は熱中症になりやすく、ハリネズミは暑くなると“夏眠”をするが、そのまま放置して亡くなってしまうケースもあるということだ。
小泉環境大臣も指摘したように、特に注意を呼びかけているのが車の中にペットが放置されるケース。テレビ朝日社会部・環境省担当の藤原良太記者は「犬は体温が人より2度ほど高いため、熱中症の危険がある40度にすぐ到達してしまうが、その危険がより高いのが車の中。さらに、車の中に犬を放置していると、近所の人が『閉じ込められているのではないか』と通報して警察が出る騒動になる事例もある。そういった価値観や犬への思いの違いから問題に発展するケースもあるので、合わせて注意喚起をしたいということを環境省は話している」と説明した。
熱中症の防止について、井上院長は飼い主自身がペットについて知ることが大事だと話す。「動物の強さは、我慢強さだと思う。見た目はふつうに見えても我慢していると思う。常日頃から健康管理をして、少しの異変があった時はかかりつけの病院に問い合わせをしてほしい」と呼びかけた。