映画『ゾッキ』『裏ゾッキ』の交互上映トークイベント「秘密の集会 今こそ愛だ」が5月26日、東京のミニシアター・アップリンク吉祥寺で行われ、竹中直人監督、鈴木福川上奈々美が登壇した。

 竹中監督が演出した『アルバイト』で、レンタルビデオ店の孤独な店員を演じた鈴木。そしてビデオボーイズ女優を演じた川上。鈴木の起用について竹中監督は「福君との出会いは2019年の朗読劇『青空』。その当時から『ゾッキ』の準備はしていたので、朗読劇で共演した途端“福君しかいない!”と思った。それで熱いメッセージを贈りました」と回想。それに鈴木は「朗読劇の稽古中に『まだ先のことなんだけれど…』と直接オファーをいただいて。こんなにダイレクトなオファーってあるんだ!?と驚いた」と竹中監督直々のアタックにビックリしていた。

 川上から「キャスティングはインスピレーションなんですか?」と聞かれた竹中監督は「僕はほとんどがそんな感じかな。『連弾』(2001)の時も誰に演じてもらおうかと考えていたときに、偶然にも天海祐希さんがドアを開けてやって来た。その瞬間に僕が『出ない!?』と言ったら、向こうも『出る!』と言ってくれて」と過去作での思い出を披露した。

 川上の起用については、ミュージシャンの高木完から猛プッシュをされたそうで「奈々美ちゃんとは、劇中で使用するDVDのパッケージ写真やグラビアの撮影もしました。お尻を突き出してとか言っちゃって…」と竹中監督が照れると、川上は「恥じらいながらも竹中監督が色々なポーズを指示してくれたのが面白かった」と思い出し笑いだった。

 ビデオレンタルショップの店員を演じるにあたり鈴木は「セリフもない中で、『ゾッキ』ならではの不思議な雰囲気を作るのが難しかった」とほぼ一人芝居だった撮影を振り返ると、竹中監督は「原作者・大橋裕之さんの世界にピッタリと合う最高の演技でした。友達からも『今まで見たことのない福くんだった』と言われます」と手応え。川上も「横目で私を見るところなど、セクシーな流し目というか、色気を感じた。いい意味で年齢不詳。新しい一面を垣間見た気がしてゾクっとしました」と鈴木の新境地開拓に太鼓判を押していた。

 また、カメラに向かって笑みをこぼす川上のシーンに触れて竹中監督は「あの笑顔も何パターンも撮りました。あえて最高の笑顔は使わず、中途半端な笑顔を使いました。その方が『ゾッキ』の世界観に合う気がしたから」とこだわりを明かした。トークイベントの最後には、映画『明日に向って撃て!』(1969)の挿入歌「雨にぬれても」を竹中監督が口笛で披露。満席の観客は、竹中監督ならではの粋な締めの挨拶に拍手喝采だった。

(c)2020「ゾッキ」製作委員会

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