5月14日から連夜行われてきた映画『ゾッキ』『裏ゾッキ』の交互上映トークイベント「秘密の集会 今こそ愛だ」が5月27日、東京のミニシアター・アップリンク吉祥寺でついにファイナルを迎えた。トークイベント最後を飾るのは、『父』監督の竹中直人と原作者・大橋裕之!連日満席となったイベントの締めくくりに竹中監督は「いつか『続ゾッキ』をみんなで作ろうという話をしています。大橋さんの世界を再び映画にしたいと心から願っています」とプロジェクト再始動に意気込んでいた。
『ゾッキ』発起人として竹中監督は「大橋さん原作の映画化にみんなが乗ってくれた。今考えると凄い時間でした。みんなで映画に向かっていく勢いというか。すごく嬉しかった」と回想。監督デビュー作がつげ義春原作の『無能の人』(1991)だったことにも触れて「僕は漫画家の作品には縁があるのかも。石井隆さんも漫画家です。今では僕も石井隆監督作には欠かせない役者の一人になれた。僕にとって漫画家はいつまでも憧れの仕事です」と漫画への思い入れを明かした。
自転車一人旅に出ようとする男(松田龍平)を描いた山田孝之監督作『Winter Love』について大橋は「元ネタは僕の実体験。高校時代に蒲郡市から福島県に向かおうと思った。途中埼玉県で断念しましたが…。漁港で老人と会話をするシーンは実話なんです」と創作秘話紹介。竹中監督から「どんな学生だったの?」と聞かれると「集団の中では目立たない、自意識過剰な子供でした。保育園時代から女子とは喋れず、でも喋りたくって女子を意識するがあまり疲れてしまって。高校はあえて男子校を選びました」と複雑な思春期を振り返った。
大橋漫画の魅力について竹中監督は「発想が素敵です。切なくて、いじけていて、ロマンチックで狂っていて、そして暴力的。僕はあまりに惚れ込んでしまって大橋さん原作のアニメーション映画『音楽』にも声優として参加しています。あれも夢のような時間だったなあ」とゾッコン。大橋は自身原作の実写映画化に「いまだに『ゾッキ』実写化には驚いていますし、不思議な感じ。でも映画になったことで、地元であり撮影地でもある愛知県蒲郡市のことが好きになりました」と心境の変化を口にしていた。
アップリンク渋谷から続いてきたトークイベントもこれにて終了。竹中監督は客席に向かって「5月27日木曜日の夜という同じ時間をアップリンク吉祥寺で共有できて感動!」と感謝し、大橋も「上映はこれからも続きます。『裏ゾッキ』を観ると『ゾッキ』も観たくなるので、繰り返し観ていただければ幸いです」と息の長いヒットに期待を込めていた。
(c)2020「ゾッキ」製作委員会