対局時には眉間にしわを寄せ、悩ましい表情を続ける将棋界のスーパースターも、ふと盤を離れれば、爆笑することだってある。プロ将棋界唯一の団体戦「第4回ABEMAトーナメント」予選Cリーグ第2試合、チーム豊島とチーム羽生の対戦が5月29日に放送された。チームリーダーを務める羽生善治九段(50)は、本戦出場を目指しチームを牽引したが、仲間棋士との作戦会議では思わぬ事態がツボに入り、カメラの前では滅多に見せないほどの爆笑を連発した。
戦っている時こそ、盤を鋭くにらみ、髪の毛を何度もかき上げては最善手を探そうと読みまくる羽生九段。そこには笑みの要素などほんの少しも含まれないが、一度盤を離れれば、穏やかな笑顔を周囲にふりまく人格者。取材時でも、答えにくい質問に対しても適切な言葉を探し出し、丁寧に対応をするレジェンドだ。最近ではTwitterやインスタグラムといったSNSで対局以外の様子も世の中に発信することが増えたが、この試合の合間に見せた爆笑は、なかなか見られない貴重映像になった。
この大笑いを引き出したのが、かつらを飛ばす芸で知られる佐藤紳哉七段(43)。このかつら芸には微笑むだけの羽生九段だったが、ツボに入ったのはこの後だ。対局前に行われる作戦会議で、毎回佐藤七段が相手の戦型を予想するが、これがことごとくはずれ。途中からは羽生九段も、佐藤九段の予想とは反対のものを予想し始めるなどノリノリに。最終的には「予想が当たるかも当たらないかもわからないんで、出たとこ勝負で」と爆笑し始めた。
普段から笑みこそ見せるものの、羽生九段が大笑いするのも珍しいこと。ファンからは、このレアシーンが実に微笑ましかったようで「ここのチームは雰囲気がいい」「羽生さんが楽しそうだと嬉しくなるね」「めっちゃ笑ってる」「クッソ仲良くて草」と、歓迎の声が多数寄せられた。
この笑いがリラックス効果を生んだのか、羽生九段は豊島将之竜王(叡王、31)、佐々木大地五段(25)を相手に、厳しい将棋の連続ながら2勝1敗と勝ち越しに成功。次回は本戦進出をかけてチーム木村と対戦するが、羽生九段の笑いが増えれば増えるほど、勝利には近づいていく(?)。
◆第4回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名漏れした棋士がトーナメントを実施、上位3人が15チーム目を結成した。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選、本戦トーナメント通じて、5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)