「行政のデジタル化はオプトインとトライ・アンド・エラーで大胆に進めよ」橋下氏&平議員が提言
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 5月29日のABEMANewsBAR橋下』に自民党デジタル社会推進本部の座長代理を務める平将明衆議院議員が出演。「本当に今の日本は情けないくらいにデジタル後進国」と話す橋下氏と行政のデジタル改革について語り合った。

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橋下:メディアに出ている人も含めて“法律で一気に変えればいい”と言ったりするが、政府・与党を批判するだけなら簡単。実際には野党からの反対も食らうし、一気には変えられない。でも、マイナンバーくらいは政府にきちんと把握してもらって、ダメなことはルール化し、違反した場合は厳罰という転換をして、弱者といわれる人たちに行政の手がきちんと差し伸べられるような社会を作りましょうと言わないと、なかなか進んでいかない。

今回のワクチン接種でも、マイナンバーカードを持っていけば優先にすると言ってくれれば多くの人が作りに駆け込んだと思う。どれだけ便利なのかということが体感できれば絶対に広がるわけだし、今回はその第一歩としてデジタル改革関連法ができたので、次はなんとか選択制で進めていってほしい。

そして個人のデータを一気に紐付けようとすれば反対の声が出てくるので、そこは“選択制”を取り入れて徐々にやっていけばいいと思う。例えばLINEの情報管理の問題があったけれど、うちの子どもの会話の内容なんて、了解のことを“りょ”とか“り”とか書いてたり(笑)、もうどうでもいいゴミ情報ばっかりだし、誰に見られても構わんよねと。僕だって、見られたら嫌な情報、取られたくない情報には気を付けているし、特に若い世代は“選択性ならいいですよ”という人も多いんじゃないかな。

平:国ではなく、利用者がどの情報を紐付けるか最初に承認する“オプトイン方式”を使えば選択制も可能だ。もちろん、“この情報を国に握られるのはやっぱり嫌だ”ということであれば後で外せる“オプトアウト”もできるようにしておけばいい。

例えばトヨタのスーパーシティ構想のような、ものすごいITを駆使した国家戦略特区の街に入る人については“プライバシーは守るが、サービスに活かすために”ということでオプトインの手続きをしてもらう、あるいはマイナポータルにメニューを作っておいて、子どものいる方は子育てに関連する情報、おじいちゃん、おばあちゃんがいる方は高齢者医療や福祉の情報をオプトインしておくとか、そういうこともできると思う。

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橋下:デジタル改革を進めるためにもう一つ大事なのは、“トライ・アンド・エラー”ができることだと思う。デジタルというのは、チャレンジしては失敗するという、その繰り返しで進化していくものなのに、日本は完璧なものができてからでないとスタートさせない。

自衛隊の大規模接種センターの予約システムが批判を食らったが、とにかく予約させて、あとは会場で接種券で確認すればいいわけだし、10回も20回もワクチンを打つ人なんていないんだから、二重予約を排除することに労力を割く必要はないと思う。自衛隊というのは、とにかく薬や食料、弾薬を現地に届けるのが使命。

それなのに野党や国民の批判の声に、防衛省をはじめ政府与党が日和っちゃって、“悪かった、修正する”、みたいなことになってしまった。そこに僕はちょっと引っかかった。

平:政府が出す以上、完璧でないといけないという国民からの期待値がメチャクチャ高い。僕も副大臣をやっていたが、政府が信頼しされているところがあるので、ちょっとうまくいかないと批判がきてしまう。メーカーもそうで、全てフルセットで用意して、ちゃんと動くようにしてからでないとサービス提供をしない。しかし最近のITのイノベーションはそうではない。

自衛隊のシステムについても強いていえばインターフェースには工夫の余地があるし、事実と異なる情報を排除して、新しい予約を入れていけばいいかな、というくらいの話だった。要は現場での対応との整合性があればいいわけで、いたずらができることくらいしかメリットがない。運用を無視してもトゥ-マッチになったり、システムが複雑化してしまったりしてしまう。

あの問題が出た時、ちょうど安倍前総理と昼飯を食べていたので、“これはひどい話だ”という話をしていた。安倍さんはTwitterで言っていたが、私も全然大した話ではない、ためにする議論だなと思った。

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橋下:僕はイーロン・マスクのスペースXの映像を見て、イノベーションとはこういうことなんだと、総毛立つ思いがした。ロケットを回収する作業で何度も大爆発を起こしてしまう。それでも“色んなデータが取れたから成功だ”と言って、気付いたら進化させている。同じことを日本でJAXAがやったら大騒動になって、計画が止まってしまうかもしれない。

新聞も“令和の時代はイノベーションだ”とか言うんだったら、今回の予約システムについても“これくらいどうでもいいじゃないか”と言ってほしかった。でも、9月には永田町の慣行に疑問を持つ民間の人たちがデジタル庁に大量に入ってくると思うので、いい刺激になると思う。

平:もし日本であれだけロケットが大爆発したら、まずJAXAの理事長が辞任。担当大臣も辞任。計画は凍結だろう。イーロン・マスクは自動走行だって不完全なまま投入してデータを集めて分析し、圧倒的な進化をさせてきた。“最近の若者が元気ないから日本は負ける”と見当違いの問題認識をしている古い政治家もいるが、そうじゃない。AI、ビッグデータ、IoTはデータを集めたものの勝ちで、しかも人を介さないで回していく。そして失敗を許すことで先に進んでいく。そこが日本は弱い。

橋下:そこの最後の責任は、やっぱり政治家にある。国民の意識を変革させていくことが政治家の大きな役割だと思う。次の世代の政治家には、ダイナミックに思想を語ってほしい。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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