海賊版サイト『漫画村』の元運営者で、著作権法違反 などに問われていた星野路実被告に対し福岡地裁は3日、「我が国の著作物の収益構造を破壊し文化の発展を阻害しかねない」として、懲役3年、罰金1000万円、追徴金約6300万円の有罪判決を言い渡した。
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星野被告は2016年に同サイトを開設。人気漫画の画像データを無断で公開し、広告収益など約6300万円を海外口座に送金させ、不正に得た利益を隠していた疑いが持たれていた。
被害に遭った『ワンピース』や『キングダム』などを出版している集英社は「判決は妥当」とした上で、「無料で読めてしまう海賊版サイトの存在を世に知らしめてしまった点において、漫画村の罪は判決以上に重いと感じている」とコメント。
一方、同社の伊東敦・編集総務部長代理は「現在は漫画村のようなサイトが複数登場していて、その複数が巣ごもり需要の影響などもあって急速にアクセスを集め、史上最悪の状態になっている」と危機感も滲ませている。
実際、出版社やIT事業者でつくる海賊版対策の団体「ABJ」の調べでは、『漫画村』のようなサイトは確認されているだけでも約750に及び、うち上位3サイトはコロナ禍によってアクセス数を伸ばしているという。まさに、“イタチごっこ”の状況なのだ。
出版社の竹書房は去年1月、海賊版サイトの運営者が違法にアップロードしたデータの削除に応じなかったとして米Cloudflare社を提訴。裁判はコロナ禍によってずれ込み、今年9月に始まる予定だという。
同社の元統括局長・竹村響氏は「僕はこの間に竹書房を辞めてしまったので、訴訟は引き継いだ仲間たちにお任せすることになるが、こうした裁判自体、実はそんなに珍しいものではない。ただ、アメリカ企業を相手に裁判を起こすのは大変だし、海賊版サイトはたくさん出てきている。悪い人たちが一定数いる以上、やらなくてはいけない、たくさんの対策の中の一つだと思う」と話す。
一方、今回の判決では、星野被告が『漫画村』に掲載したアフィリエイト広告で得ていた利益が「犯罪収益」と認定されたことも注目されている。アフィリエイト広告とは、サイトを訪問したユーザーによるクリック回数などに応じた、いわゆる成功報酬型の広告だ。
「求刑より軽くなったとはいえ、かなり重めの判決が出たんじゃないかなと思うし、特に“お金儲けのためにやっていた”という点が認められたことは大きいと思う。みんなに漫画を読んで欲しい、だからどうぞタダで読んでくださいというような善意ではなく、あくまでもお金を稼ぐ手段として、ということだ。竹書房がサーバー運営企業を訴えた話をしたが、多くの人が見るサイトの場合、月に何百万円というサーバーレンタル料がかかるが、それを上回る広告収益があれば、タダで漫画を見せても十分に儲かるということだ。
以前は広告代理店さんも“違法サイトだったとは知りませんでした”と言えていたが、“そんなわけないですよね。違法なサイトに広告を出すのは責任が伴いますよ”と反論できるようになっていくと思う。レンタルサーバーでやらせない、違法な人を儲けさせない、という両輪で、悪い人が“やっても意味がない”と寄ってきづらくなる環境にする必要がある」。
海賊版サイトに対抗すべく、読者が安心して漫画を楽しみ、著作権者には収益が入るよう、出版業界やIT業界も漫画アプリなどを次々に立ち上げている。
「音楽業界や映像業界に比べて出遅れたということはあるが、最近ではアプリやサブスクリプションも増えてきた。読者も収益も付いてきているし、デジタルだけで年間4000億円規模になってきている。LINEさんとかYahoo! Japanさん、韓国ではカカオさんなど、錚々たる企業が考えてくれたシステムがうまく回り始めているので、早くイタチごっこの“イタチ”を追い抜きたい、というところだ」（竹村氏）。
アクセスした結果、ウイルス感染や悪質サイトへ誘導されるといったリスクも伴う海賊版サイト。著作権法改正により、今年からは海賊版と知りながら漫画や小説など著作物をダウンロードすることが違法化されている。『漫画村』事件の判決が今後の動向に与える影響に注目だ。（ABEMA／『ABEMA Prime』より）
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