ABEMA『NewsBAR橋下』のゲストに出演した慶応大学大学院教授の岸博幸氏が、今月中に取りまとめられ、閣議決定される予定の『骨太の方針』に怒りを露わにした。
岸氏は「これから1年間の経済政策について政府が大きな方向性を示すものが『骨太の方針』だ。経済財政諮問会議という官邸の会議で決めているが、僕はこれを見てブチ切れた。子どもを産み育てやすい社会の実現というのは前から言っていたけれど、あとは“グリーン社会”“デジタル化”と地方創生。言い方は悪いんだけど、9月の選挙を前に、お金を配ることばかり考えてるんじゃねえかよ。ふざけんなよバカ野郎と思う」と憤る。
「例えば1996年~2019年の23年間、日本は人口減少やデフレが続いた割には名目GDPが約4%増えた。よく頑張ったと思うかもしれないが、アメリカ約165%、つまり2.65倍だし、中国は10倍以上に発展している。日本よりも働かないフランスだって70%増えている。背景には規制や既得権益、政治も民間もリーダー層がリスクを取らず、上場企業は400兆円ぐらい現金をため込んでいる割には何も投資をしない。だからイノベーションが少ないよなと。社会システムも硬直化しちゃって、企業の新陳代謝も産業再編も進まない。国と地方の関係だってグダグダなまま。そして政治家は高齢者におもねるようになっている。
100年に一度のコロナ禍が起きた以上、これからの1年間は、こういう問題の多かった日本社会を反省し、変えるために使わないとまずい。そんな時に、流行りのグリーンやデジタルに投資するとか、地方創生で金を配ることとか、つまんねえこと言ってる場合かと。菅さんは去年の9月に総理になった時、自分は改革するんだと言っていたのに、骨太の方針の目次には改革のかの字もない。アホかと。担当の西村大臣はコロナで忙しいし、かわいそうだとは思うが、こんな出来の悪い骨太の方針では、コロナ後の景気が良くなるはずがない。ふざけるなよと言いたい。この官僚の作文をOKした諮問会議の民間議員4人は辞めるべきだと思う」。
橋下氏は「なぜコロナ対応に追われて他の仕事が回らなくなってしまっているかというと、仕事を全部抱え込んでしまっているからだ。エネルギーから外交から保育所の問題から、全てが菅さんにいってしまっている。だからこそ地方分権が必要だ。政府はやるべき仕事に集中して、その他はできる限り地方に任せる。そうしないから、総理が号令をかけない限り動かない社会になっている。こういう国は本当に不幸だ。
そして、海外がものすごい成長をしているときに、成長を目指さないという思想の人たちが出てきているでしょう?爆発的にヒットしている『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著)を読んだけど、コモンだとか何とか言っていて、だからそれどうすんの?と思った。やっぱり成長を放棄した段階で国は衰退すると思うし、成長するために官僚じゃできないことを政治の力で押し切るというのが『骨太の方針』なのに。中小企業に対して色んな支援金を出してるけど、ダメなところは引き上げて、伸びるところにだけ融資し、でも金利はしっかり取る、ということにしないと、イノベーションは起こらない。今はダメなような所にもお金をジャブジャブ使っているから。そういう話をするのが政治家なんだけど」と話していた。
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