東京都が独自に築地市場の跡地に設けた新型コロナワクチンの大規模接種会場で、警視庁や東京消防庁の職員、柔道整復師、鍼灸師など向けの接種が8日から始まった。
小池都知事がこの場所で接種をすると表明したのは、2週間あまり前。都心が今年初の真夏日となる炎天下の中、急ごしらえの会場のどこで接種後の経過観察をするかというと、会場内に並んだバスの中だ。しかし、築地の会場はオリンピック用のバス基地に戻るため、使用できるのは今月いっぱいまで。小池都知事は、来月からは代々木公園を大規模接種会場として使用するとしている。
初日は約3000人を対象に接種が行われ、今後は一日5000人の規模を目指すという。テレビ朝日・社会部の鈴木彩加記者は「区市町村でも体育館や市役所の一部を使った集団接種が進められているが、小池都知事も『爆速で進めたい』と言うぐらいワクチン接種に全集中して進める必要があるということで、打ち手も確保して5000人を目指している」と説明する。
1回目のワクチン接種を受けた後、2回目を打つまでには4週間を空けなければならないため、今回築地で1回目を受けた人は代々木公園で2回目を打つことになる。代々木公園以外にも4カ所程度、大規模接種会場を設置することを検討しているということだ。
政府は8日午後から、企業や大学などにおける接種についての申請受付を始めた。河野大臣は職場等での接種によって、集団・個別接種に空きが出て予約が取りやすくなるとしている。
自治体や国、企業、大学などあちこちで接種が開始される中、築地市場や代々木公園を活用する都の案は行き当たりばったりではないのか。現場の混乱を生んでしまわないのだろうか。鈴木記者は「基本はそれぞれの市町村で打つこと。そこの情報共有は今後の課題になる」とした上で、「(代々木公園活用の方針転換は)唐突だなという感じはあったが、築地が終わってからどうするかを考えていたら間に合わない。とにかくあらゆる可能性を探っていて、担当者の方たちも刻一刻と状況が変わる中で走りながらやっている。自粛や休業など苦しい要請をされている中で、唯一希望の光になるのがワクチンや治療薬。都が持っている施設などをどの自治体に貸し出せるか、大規模接種でこういう人を対象にすれば自治体の負担が減るのではないかと、毎日いろいろなところで協議が進められている」とした。