令和発のシンデレラストーリーがついに完結だ。ド平凡女子高生の愛波(莉子)が、顔に一生消えない傷を負ったことから、ルッキズム(外見至上主義)に対して疑問を呈していくABEMAオリジナルの連続ドラマ『ブラックシンデレラ』。最終回となる第8話では、幼少期から憧れていたミスコンに愛波が念願の出場を果たす。何度も夢見てきた煌びやかな大舞台。しかし夢見ていたのと大きく違うのは、愛波の顔に傷があること。そして前回のミスターコングランプリ王者の圭吾(神尾楓珠)が整形イケメンであること。加えてミスコン女王の座を狙う美人令嬢・百合(愛花)と愛波の友情の兆しまで…。波乱必至の盛りだくさん最終回だ。
迎えたミスコン当日。愛波は百合の母・慶子(雛形あきこ)の力によってメイクアップされ、顔の傷が目立たない状態に。愛波は慶子に「コンプレクスを抱える女の子達の希望になる!」と背中を押されるが、どこか腑に落ちないでいた。愛波のステージ登場を前に慶子は、自社化粧品の宣伝とばかりに「彼女は顔に傷を負いながらもこのステージに立つことを選びました。そんな彼女に私たちカスミコスメが愛波さんに魔法をかけることにしたのです。それはメイクにより傷をなくし、彼女を普通の女の子に戻してあげる魔法です」と力説。
ところがステージに姿を現した愛波に会場はどよめく。なんと愛波はその魔法、すなわち施されたメイクをぬぐい捨てて素顔で現れたのだ。驚く観衆をよそに愛波は「ごめんなさい、魔法を解いちゃいました」と神妙に語り出して、ミスコンが夢だったこと、顔に傷を負ってしまった悲しみを口にしつつ「傷ができてよかったなんて、絶対言えません。じろじろ見られるのは嫌だし、やっぱりお化粧して魔法をかけてもらいたくなるかもしれないけれど、でも今の私はこの顔でステージに立ちたい。傷をなかったことみたいにはしたくない」と今の自分、ありのままの自分をさらけ出す決意を表明する。
涙を溜めた瞳で笑顔を浮かべながら「私この場所で、今の私が結構好きだって言いたかっただけなんです!本当に…ありがとうございました」とミスコンに出場できたことを感謝する愛波。すると圭吾は「お前やっぱすげえよ!」と拍手。空(板垣瑞生)も満面の笑顔で、親友のひまり(鈴木美羽)も「愛波、最高にカッコいいよ!」とスタンディングオベーション。会場は拍手喝采で愛波も思わず感涙だ。しかし、百合だけは自信に溢れる愛波の姿に苦しい表情を浮かべる。
結果ミスターコンのグランプリは「俺にとってこの場所は大切な場所。俺はこのコンテストでグランプリ獲って、これからもずっと全人類俺に見惚れさすって誓います」と宣言した圭吾がゲット。一方、ミスコンのグランプリには「このコンテスト、本物は百合だけ」と二人を皮肉った百合が選ばれた。しかし試合に勝ったが勝負に負けた状態なのは誰の目にも明らか。それを痛いほどに感じた百合は逃げるようにステージを後にし、ミスコンの象徴であるティアラを誰もいない教室の地面に叩きつけようとする。
その手を止めたのは、百合の気持ちを察知した愛波だった。百合は涙ながらに「そんな傷があるのに、どうして自分のことを好きだと言えるの?」と訴えると、愛波は「どんな自分でも認めてくれる人がいるから。友達や家族、大事な人から背中を押されて…。しんどいこともあったけれど、全部含めて今の私。大事な人たちの前で胸を張りたい。みんなの支えで、いつの間にか自分のことを悪くないと思えた」と周囲によって心境の変化が訪れたことを打ち明ける。
それに百合は「百合が欲しかったものはみんな愛波が持っている。百合は空っぽ。誰にも大事に思ってもらってない!」と愛波に対する劣等感を素直に口にする。実母・慶子からは整ったルックスが美徳であると教え育てられ、外見ばかりにこだわって生きてきた。着飾った見た目の中身が空洞であることを誰よりも恥じて隠すことに必死だったのは、百合自身だったのかもしれない。
初めて本音を包み隠さず明かしてくれた百合に愛波も「一からやり直したい!しんどかったけれど、なかったことにはできないけれど、もう一回ちゃんとお話とかして、いつかちゃんと友達になりたい」と腹を割ってぶつける。一人の人間として親愛の情を持って見つめてくれようとする愛波に、自己肯定感の低い百合は「なんで百合なんかに…」と涙。愛波はささくれ立つ百合を「なんか、じゃないよ。百合様は」と優しく抱擁。一方的に憎悪をたぎらせていた百合は、ついに愛波に謝罪する。
数日後、満面の笑みの百合からの「愛波、おはよう!」との弾んだ声。その無邪気な挨拶は、どんな朝日よりも美しく眩しい。最終回に女性同士の美しい友情という大団円。『ブラックシンデレラ』はラブストーリー以外でも熱いドラマだった。
実はこれが最後ではない。愛波たちのその後を描いた『ブラックシンデレラ』卒業編が最終回放送後より、、2週に渡って「ABEMAプレミアム」にて配信されることが決定。卒業式を1週間後に控えた清蘭高校を舞台に、愛波の思春期ならではの悩みと圭吾らクラスメイトたちの意外な進路が描かれる。まさに『ブラックシンデレラ』ファン必見のエピソードだ。