公取委が“スマホ分割販売”にメスも…額面通りに受け取れば利用者の負担増に? 新たに指摘された販売代理店の“評価制度”
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 公正取引委員会は携帯電話市場に関する実態調査を行い、端末の下取りなどを条件に分割払いを一部免除する契約は独占禁止法違反になる可能性があるという見解を示した。

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 それによると、スマートフォンの端末を分割払いで販売した後に端末の下取りや新しい端末の購入を条件に残っている分割払いを免除する契約は消費者に他社への契約変更を断念させ、事実上、選択権を奪う可能性があると指摘した。

 いったい、どんな契約の何が問題で、私たちが支払う料金にも影響はあるのか。テレビ朝日経済部の中村友美記者が解説する。

Q.公取委が問題だとしているのはどの部分?

 私たちが分割払いで支払っている携帯の端末代を、新しい端末を買うとか下取りを条件に免除するという契約があるが、それが他の携帯事業者への乗り換え・契約変更をしづらくしているとして問題視している。

 また、端末と通信契約をセットで販売する場合、端末値引きは2万円までと法律で決められているが、実態としてKDDIとソフトバンクはセット販売で2万円以上値引きされているのではないかとも指摘している。本来は、端末購入と通信契約は分けるべきとも言っている。

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Q.問題だと指摘したことはほかにもある?

 今回、新たに携帯大手と販売代理店との問題も出てきた。私たちが普段行く携帯ショップは直営でやっているところはほぼなく、販売を専門にしている代理店が運営している。その中で、携帯大手が大容量プランの契約が多い代理店に高い評価を与える構造になっていることが、結果として消費者に高額なプランを押し付けることになっているのではないか、という指摘もしている。

Q.菅政権の“料金引き下げ”政策に加え、今回の公取委の指摘は想定外?

 公取委は菅政権発足後の去年10月から調査を始めて、その結果が10日に出た。菅政権の料金引き下げ政策に合わせて各社は先手先手で対策を打ってきたが、公取委はそれを横目に見ながら調査をしてきた。私たちとしても価格に関する結果が出てくると思っていたが、販売方法といったテクニカルな部分の指摘になっていて、携帯会社としては「政権の方向性に合わせて価格を下げているのに、まだこんなことを言ってくるのか」というところはあると思う。

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Q.携帯各社の反応は?

 ドコモ、KDDI、ソフトバンクとも「内容をよく確認して検討する」としている。携帯大手としては、これらで利用者が使いやすくなったり買いやすくなったり、便利さやオトク感を提供しているつもりだったが、公取委は不適切だと指摘した。通信関係者からは「携帯会社が利益を出すのを何とか阻止したいのか」という恨み節も聞こえてくる。利用者にとって“オトク合戦”をしている中でこのような指摘すると携帯会社の手足を縛ることにもなりかねないので、今後の対応が注目される。

Q.消費者への影響は?

 今回の調査で公取委は、通信の契約と端末の契約は分けるべきだということを強く出しているので、例えば「端末はA社で買うけど通信はB社で」ということがやりやすくなる可能性はある。

 ただ、この調査を額面通りに受け止めてその通りにやってしまうと、最終的に利用者の負担が増えてしまうと思っている。今回の指摘はサービスに介入することになるので、携帯会社としても「それはできない」というところはある。消費者に負担が増えない形で、調査内容にも沿った対応が検討されていると思う。

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