「表現の不自由展をやめろー!」「表現の不自由展に場所を貸すなー!」 『表現の不自由展・その後 東京EDITION&特別展』の会場になる予定だったギャラリー「神楽坂セッションハウス」に対し、開催の中止を求める団体が街宣車や拡声器を用いた抗議活動を実施している。
こうしたことを受け、ギャラリー側は会場提供の中止を決断、主催者が会場の変更を発表。ただ、同展の実行委員・岡本有佳氏は10日の会見で「開催は続行するという宣言をする。私たちは不当な攻撃に屈しない」と強調、会場を変更しての開催を模索中だ。
“検閲”や“忖度”によって発表の場を奪われた美術作品を展示することで表現の自由について考えるという趣旨の『表現の不自由展』。一昨年には国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」では慰安婦を象徴する少女像や、昭和天皇の肖像を燃やす映像作品などに抗議や批判が殺到、一時中止となったことも記憶に新しい。
実行委員の一人、岩崎貞明氏は「このギャラリーは細い一方通行の路地に面した住宅街にあるので、そこにスピーカーを積んだ街宣車が5、6台連なって来ると、道路がほとんど塞がれてしまう。実は出品を予定している作品の一部はこのギャラリーで展示したこともある。そういうこともあり、オーナーさんも了解してくれた。しかし街宣が直接来るというのは、これまでにない経験だった。対話もずいぶん重ねたが、ギャラリーのオーナーの方も近隣住民への迷惑を心配され、“もうこれ以上は耐えられない”ということなので、こちらとしても無理強いはできない、会場の変更しかないと判断して記者会見を行った」と話す。
「私たち実行委員会としてはメールアドレスや電話番号も公開しているが、そこへの抗議は多くない。今回の街宣車による抗議も、ギャラリーに対して“貸すのはやめろ”という攻撃が集中している印象だ。もちろんこういう抗議が来るということは予想していたし、私も抗議に来た人と話をして、もうちょっと静かにしてもらえないかとお願いしたが、やはり“表現の自由”というべきか、彼らの街宣を強制的に止めたり、排除したりできる法律や条例はない。法律や条例に触れない範囲で活動しているという印象も持っているし、警察としても納得して立ち去るまで説得することくらいしかできない。
また、弁護士にも相談はしているが、開催前ということもあり、現時点では被害届を出す主体はギャラリーになる。加えて裁判的な手続きとなるとどうしても時間がかかるので、結局は宣伝活動そのものを止めることはできない。開催後、私たちが主体となって法的手段に訴えられるようになれば、そこはやっていきたいと思っている。ただ、必ずしも一つの団体が繰り返し来ているということでもないようだ。あいちトリエンナーレの時には地元・名古屋の右派の団体や日本第一党の方が来られた。今回も日本第一党の名刺を持った方が来たが、全容を掴んでいるわけではない」。
その上で岩崎氏は「もともと騒動を起こしかねないから自主規制して展示をやめようとした、そういう作品を集めている企画なわけだから、抗議や批判をされることは私たちも織り込み済み。ただ、まずは作品を見ていただいてから議論してほしいというのが希望でもある。最初から権力が見せないようにするというのは検閲だし、民間による抗議という形であっても見せないようにするのは表現する人たち、見たいと思っている人たちにとっては不当なこと。まずは見られる場を提供したい」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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