19日のABEMA『NewsBAR橋下』に選択的夫婦別姓の問題やLGBT法案に取り組んできた自民党の稲田朋美衆議院議員が出演、橋下氏と議論した。
■「保守・リベラルという区分け自体、機能しなくなってきているんじゃないか」
稲田:(森喜朗氏の問題発言の際に)「私はわきまえない女でありたい」というようなことをつぶやいて随分と批判された。「お世話になっておきながら、なんちゅうことを言うんだ」と。怒っている人はたくさんいて、口をきいてくれないとか、色々なことがあった。思ったことを言っちゃいけないんだな、と思った。
2年半前にこの番組に出た時も、“夫婦別姓論者だ”と批判されたが、私は夫婦同氏、ファミリーネームというのはお墓とか結婚式とかで使うのに残しておいて、旧姓、つまり婚前氏を届出して、パスポートとか保険証でもカッコ書きではなく旧姓のみを使い続けられるようにしましょうという「婚前氏続称制度案」も提唱している。
昭和51年の民法改正で、離婚した際は民法上は元の氏に戻るが、結婚中の氏を届出すれば使えるようにできる制度があるので思いついたことだが、色々な考え方があるし、別姓だからダメだ、家族解体だと決めつけるんじゃなくて、どうしたらみんなが幸せになれるか、ということを議論したらいいじゃないかと。
橋下:僕は完全に別姓論者で、戸籍も個人で、というラディカルな立場だが、これは穏当で実現可能な話だと思う。でも、こういうことを言うだけで、自民党内からも「保守政治家に反する」ということを言われる。
稲田:はい(笑)」。
橋下:僕も番組でご一緒させていただいいる櫻井よしこさんも、稲田さんは“左的”な活動家に取り込まれるんじゃないかと…(笑)」。
稲田:心配をしていただいてありがたいというか(笑)。だけどそうじゃない、ということをご説明はしている。
橋下:もう保守・リベラルという区分け自体、機能しなくなってきているんじゃないか。稲田さんには「保守政治家のリーダーになってもらおう」という安倍さんからの後押し、引き上げがあったと思うが、今でも“保守”を付けないといけないものだろうか。というのは、“保守”という言葉には色々な定義の仕方があるし、今回も“保守政治家だ”という、いわば“鎧”みたいなものに縛られてしまった結果、法案に反対してしまったという議員もいるんじゃないのか。いちいち保守だリベラルだと言わず、必要なものをやる、守るものは守って、変えるものは変える、ということで良いんじゃないか。稲田さんも、まさに保守ということを全面に出し過ぎた結果、法案の中身とは違うところで批判を受けたんじゃないか。
稲田:それは本当にそうだと思う。私もこの1年、「あなたは保守じゃない」とか「変節した。ぶれた」「左翼になった」と言われ続けてきた。そこに対して「じゃあ保守って一体なんなのか。右とか左とか言うけれども、前に進まないといけない時にイデオロギーの闘争をしていていいのだろうか」という問題提起をしてきたつもりだ。
橋下:例えば韓国の文在寅大統領は政策的に格差をなくしていこうとか、そういうことを言うこともあって一般的には左翼だとか進歩主義だと言われるが、北と南を統一して自主防衛しようといった主張は極めて民族主義だ。民族を重視して自主防衛で、と言うのは、日本で言えば、それこそ“バリバリの右翼”とまで言われるような保守政治家・石原さんみたいだ。やっぱり保守、リベラル、進歩だとか、わざわざ区分けするのは時代遅れの気がする。保守、リベラルということを叫んでいる人たちは、先に勝手な区分けをして「保守だったらこれだ」「リベラルだったらこれだ」と言う。そうではなくて、中身をちゃんと考えないといけない。
稲田:「これを守らないと保守じゃない」とか、そういうことじゃないと思う。私にとっても、“じゃあ保守って何を守るのか”ということを自分なりに突き詰めて考えるきっかけにはなった。“伝統的家族”というような形式ではなく、“日本らしさ”とか“温かさ”というものを守ろうとしてきたんだというところまで考えられたことは良かった。
私は「強くて優しい国」と言っているが、対中国、憲法、安全保障では強いけれど、国内問題については温かい優しい国を作ろう。でも、それが左翼だと言われると、やっぱり自分が実現したい国を作るには、トップを目指すべきだな、と思う。
橋下:僕は与党と野党が政権交代を繰り返しながらやっていく方が緊張感があると思っているし、そのためには野党にも強くなってもらいたいと思っている。加えて、強制的に女性総理を誕生させないと、日本の仕組みは変わらないとも思っている。女性がトップになれるような環境が整うまで、男性総理の次は強制的に女性総理!みたいな、強いクオータ制。それくらいのことをしないと、変わらない気がする。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)