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 アニメ好きで知られるお笑い芸人2人が、ゲスト出演をきっかけに、インタビューでも取材を大笑いさせた。7月2日公開予定の映画『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』に、ゲストとしてお笑いコンビ麒麟川島明NON STYLE井上裕介が、それぞれ自分たちにそっくりの魔神A、魔神B役で出演。短い時間ながら、人気声優・梶裕貴演じるゼルドリスとの絡みもしっかりある、インパクトのあるキャラクターを演じた。お笑いのステージでは、数え切れないほどマイクに向かってきた2人だが、アニメのアフレコとなると勝手が違うようでNGも連発。悪戦苦闘の収録を終えた後のインタビューでは、失敗談に加え自虐的なネタも放り込み、笑いを誘い続けた。

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――本作のオファーが来た際の状況、感想をお願いします。

 NON STYLE・井上裕介(以下、井上) 声優のお仕事をするというのが、この世界に入った夢のいくつかあるうちの1つだったので、幸せな思いでいっぱいです。プレッシャーを感じるとか「うわっ!どうしよう」とかいう前に「やった!うれしい!」が真っ先でした。(吉本興業の)プロモーション系にいた社員が、ルミネtheよしもとの配属になったんです。その子が「井上さん、部署の最後の置き土産として声優の仕事、入れておきましたんで」って、すごい上から言われたんです(笑)。なんやねん偉そうに、なんの声優やねんと思ったら、「『七つの大罪』の映画です」と。「本当にありがとうございます!」って言いました。(笑)。

 麒麟・川島明(以下、川島) 楽屋でマネージャーから『七つの大罪』でお声がかかってますよと、実は結構前に言われてまして。去年の秋ぐらいに。「マジすか!やります、やります」って言ってから、なんにも音沙汰がなくなったんで、なんか問題が起きたのかなと思ったんですよ(笑)。映画自体がなくなったのか、僕らの出番がなくなったのか。とにかくなくなったって言われるのが怖かったんですよ、楽しみ過ぎて。だからマネージャーにも確認もできなくて。1カ月くらい前になって「『七つの大罪』、どうなってるのかな」(小声)で聞いたら「入ってます」と。内心「よかったー!」となりましたね。

――お二人が演じたキャラクターについて紹介してください。

 井上 ゼルドリスに忠誠を誓った魔神です。見た目が完全に井上、川島さんになっているので、そこを見ていただきたいです。全身を見ていただいていたら、鬼のピエロ感があります。原作者の鈴木央(なかば)先生が、井上の陽気さを、ピエロっぽい衣装で表現してくれたんですかね。

 川島 我々の顔をイメージしていただいています。川島がムキムキになったらっていう絵なんです。僕より首が3倍ぐらい太くて。声も下から聞こえるようにやってます。

――演じる上でのキャラクターづくりなどはありましたか。

 井上 川島さんはおそらく低い声のキャラクターだから、自分があんまり低い声にするのも違うなと。ただ、すごくハイトーンだとふざけすぎだし。声優もやっている女優の美山加恋ちゃんに相談したら、「5~6種類持っていくしかない」と言われました。いろんな声であててみたんですが、自分の声でやったらそのまま音響監督さんに何も言われなかった。自分の声をちょっとずらしたぐらいです。

 川島 前にアフレコをやった時に、精一杯に低い声でやったら「そんなに存在感出さなくていい」と怒られたので、いい意味でプレーン、白ごはんの状態で行きました(笑)。芸人としては頑張ってますけど、声優としては数えるほどしかやってませんので、変に決めていくと、修正が大変かなと。勝手にカレー持っていったら、ルーを洗われるんちゃうかな、みたいな。だったら白ごはんのままでいいやと。それでやったんですけど、びっくりするぐらいNGが出ましたね。

 井上 でも、白ごはん、光ってましたよ。お米が光ってました。ふっくらしてたわー(笑)。

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――アフレコの感想を詳しくお願いします。

 井上 難しかったですね。声優さんと共演した時に、どういう風にやるんですかとか、教えていただいたりしましたけど、いざ自分がやるとなるとこんなにもアニメと自分の口が合わへんかと。普通のおしゃべりのリズムなら、このリズムでしゃべらないと気持ち悪いのに、アニメーションの速度と現実の速度は違う。アニメの速度に合わせるのが難しかったです。普通のしゃべり方で、ここに句読点はいらへんのに「アニメではいります」とか。21年芸人やっていても違うもんですね。シンプルに、もっとゆっくりしゃべってくださいって言われました。

 川島 お互いが4回ずつぐらい「落ち着いてください」って言われましたから。1個言ったら、1個忘れるんです。「間を空けてください」って言われて、1つ空けたらまた、「あ、ゆっくり」と。2人とも楽しくやっていたつもりなんですけど、緊張していたんでしょうね。慣れないんで。本物の梶さんの声を聞いているから、耳がすごいですよね。「次、お前やで」って言われてる気がして。このクオリティに合わせなあかんのかと、一瞬目指しましたけど、無理でした。

 井上 僕も川島さんもアニメが好きやから、声優さんってこんな感じやろ、みたいな情報だけは頭でっかちであると思うんですよ。それをやろうとすると、たぶん違うんでしょうね。

 川島 何かしようとしたらダメだったんですよ。声優さんのふりをしている芸人さんになるから。だから自然体でいった方がいいと思っていたんですけど。声が小さいって言われましたからね(笑)。

 井上 ははは(笑)。言われた、言われた。思ったより張ったのに、これで小さいんやと。

 川島 ボリュームだけじゃなくて、相手との距離があるじゃないですか。僕は近くの人に向けて読んでいたんですけど、5メートルぐらい先の人への言い方にしてと。短時間ですけど、めっちゃ勉強になりました。

 井上 漫才の時のセンターマイクの使い方とは、明らかに違いますね。

――ゼルドリス役の梶さんの声を意識することはありましたか。

 川島 意識したというより、声が聞けてよかったですね。劇場で聞く声ですから。

 井上 楽しかったですよ。本当だったら、もっとリテイクしたかったです。音響監督さんがOKと言われたら、それで終いなんですけど、もっとしたかったし、いろいろやりたかったです。

 川島 これ以上やったら、またこなれてダメなのかな。腹八分目でバンと切ってもらってちょうどよかったかもしれないですね。

――『七つの大罪』という作品の魅力についてはいかがですか。

 井上 『七つの大罪』は、タイトルにパンチがある。だいたいのアニメ作品は主人公が“いいもの”ですが、主人公が「七つの大罪」なんで、主人公たちが善人なのか、悪人なのかわからないままスタートします。いい部分もあるけど、悪い部分もある。Aさんから見ると「七つの大罪チーム」はいいやつだけど、Bさんから見たら悪いやつ、みたいな。自分たちのリアルな世界でも、そういう人間関係があったりするから、アニメ・漫画なんですけど、自分の世界とつながる部分もありますね。仲間の大切さを描く漫画は多いですけど、『七つの大罪』の場合は、仲間が邪魔するとか余計なことをすることが多いので、他とは違う魅力の一つですね。

 川島 脇役がいないのがすごいですね。メインにメリオダスがいて、あとのみんなが支えるんじゃない。コミックスの巻やアニメのシーズンによっては、バンが入ったり、エスカノールが入ったり、マスコットみたいなやつがキーを握っていたり。最近あの人、影が薄いなっていう人がいない。自分の体調とか年齢とかでも、感情移入するキャラが違うんでしょうね。原作を全部読んだ上でのタイトルの意味とかも、主役の名前にしなかったっていうことは、そういうことかと。“七つの大罪”自体を扱う映画とかも多いんですけど、外れなしですね。

 井上 今回の映画は原作にない、完全オリジナルストーリーなのですごく楽しみです。鈴木先生しかわからないことですが、この映画のストーリーをもともと(頭の中に)置いていたのか、今回の映画のために描いたのか。もともとあったなら原作でもやっていいじゃないですか。あえて映画版に置いていた可能性もあるから、温めていた分、よりおもしろいストーリーなんじゃないでしょうか。だから僕は、自分のシーンしか(台本を)読まないようにしました。世界観は漫画を読んだり、アニメを観てたりしているので知っているんですが、極力映画館で初見で、ファンのみなさまと同じ感覚で観たいので、極力見ないようにしました。

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――お二人の好きなキャラクターを教えてください。

 川島 エスカノールです。全部の漫画通して、渋いおっさんが好きなんですよ。他のキャラよりも精神年齢が高いのに、ギャップがある。ムキムキで強い。目指すべきおじさん、目標です。僕もこの世界が終わったら、小さいバーでも開こうかな。

 井上 僕はキングです。基本、女性にフラフラしているキャラが好きなんですよ。ディアンヌをちやほやして、ディアンヌのためなら強くなれるし、ダメにもなれる。キングは普段かっこいいですが、正装した時のあの姿、おれなんじゃないかなと(笑)。あの状態のアフレコやりたいです。目標になるとバンですね。かっこいいんで。

――他のキャラクターで演じてみたいというものはありますか。

 井上 実はホークにもう1人、家族がいる、とかいうものをやりたいですよね。もちろんかっこいいキャラもやりたいですが、僕がかっこいいキャラをやろうとすると、作品の邪魔をしてしまいそうな気もするし。ホークって『七つの大罪』の中で、ほっこりいじられキャラで、お茶目じゃないですか。ホークファミリーの誰かをやってみたいですね。『七つの大罪』は、あまり海のシーンはないですけど、船で釣りしてたら、ひっかかって吊り上げられるとか。馬鹿馬鹿しい、昭和っぽい見つかり方をしたいですね。とんかつ屋で悲鳴あげて出てくるのが、おれやったとか(笑)。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

 井上 原作好きな方はオリジナルストーリーですから、今までにないところを知れると思いますし、知らない方はこの映画からでもいけると思います。メリオダスとゼルドリス、2人の兄弟のお話になっているので、そこを楽しんでいただきたいと思います。ゲスト声優、邪魔するなよと思っている方、思っている以上に邪魔してないです、安心してください。思っている以上に聴き逃がせます(笑)。

 川島 トイレに行かないでほしいですね。トイレに行かれると、終わっている可能性があるんで(笑)。それぐらいの尺なんですが、1人1個はいいセリフ持ってます。一瞬で関係性のわかるセリフです。あえてでかいビジョンで、音量で楽しんでいただける作品になっていると思います。

(C)鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」製作委員会

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