実際の事件からヒントを得たかのようなリアルな内容でSNSの負の一面を描く、ABEMAオリジナルのオムニバスドラマ『箱庭のレミング』。6月24日に放送された岡山天音が主演する第2話『私刑倶楽部』で取り上げるテーマは、SNSを媒介とした正義の暴走。切り取られた事象から憶測の真実を生み出した匿名の人間たちが、正義という名の悪意を無実の人間に振りかざし、命をも脅かす包囲網を張る。SNSでの炎上が日常茶飯事となった現代において、誰も他人事とは言えない真に迫ったゾクっとする物語が展開し、視聴者からは「え!怖い怖い」「リアルすぎて恐怖しかない」などの声が上がった。
▶動画:生活保護職員が一夜にして“私刑”に…歪んだ正義が生んだリアルすぎるネットリンチ第2話『私刑倶楽部』
『箱庭のレミングス』は、映画『新聞記者』『ヤクザと家族 The Family』など骨太な作品に定評のある藤井道人監督が総監督を務めるABEMAオリジナルのドラマ。SNSの魅力に囚われた若者たちの“心の闇”や“恐怖”をテーマにした全4話からなるオムニバススリラーで、各話のストーリーテラーを磯村勇斗が務める。
岡山が演じる川村は、同棲中の恋人・詩織(深川麻衣)と結婚間近。しかも一生安泰の公務員、区役所の職員である。人生設計も順調そのものだった。生活保護の申請を巡って口論になった女性・倉山佳乃(内田慈)と出会うまでは…。
生活保護の相談窓口に現れた倉山に対して川村は、規則を盾に申請不可であることを告げる。それに怒り狂った倉山は、自ら書類を床にバラまいてしまう。あまりの剣幕と突然の出来事に驚いた川村は思わず「そんなに喚かれてもね、出せないものは出せないんですよ!」と厳しい声色で口走ってしまった。その様子を誰かが動画で撮影しているとは知らずに。
翌日いつものように当庁した川村は、同僚たちがてんやわんやで電話対応をしている姿に嫌な予感を抱く。そして上司からあるサイトを見せられて驚愕する。そこには「市役所職員、女性を自殺に追い込む!」と禍々しく書かれた文章が踊り、第三者が川村と倉山のやり取りを隠し撮りした動画が添付されていた。
都合よく切り取られた動画での川村はまるで、床に散らばった書類を必死に拾う倉山に対して手伝う素振りさえ見せない冷血役人のようだ。しかも文章には「この役人に追い詰められた女性は自殺した」などと真偽不確かな情報も載せられている。センセーショナルさを纏ったこの情報は、SNSを介して拡散&炎上。川村の顔写真や個人情報は、瞬く間にSNSという海へと放出されてしまった。
事態のあまりの広がりぶりに上司は匙を投げ、職務を全うしただけの川村は一瞬で孤立無援状態に。警察もなかなか腰を上げてくれず、川村は事態の収集を目指して一人奔走する羽目になる。ネット上だけの被害ならばまだしも、自宅も即特定。歪んだ正義に突き動かされた危険人物による生ゴミぶちまけ攻撃という肉体的にも精神的にもヘコむ嫌がらせを受けたりする。
一体誰が!?何のために!?追い詰められた川村はなんとか情報を辿り、ついに『私刑倶楽部』という会員制の闇サイトに辿り着く。この『私刑倶楽部』への書き込みを起点に情報は拡散され、匿名の正義が大暴走。「警察が動かないのならば私たちが!」。ネットリンチの熾烈さは雪だるま式に巨大化。何者かによって川村の行動は監視され、盗撮に次ぐ盗撮の嵐により、川村は疑心暗鬼に陥っていく。その疑いの目は味方であるはずの最愛の人・詩織にも向けられ…。
絵に描いたような絶体絶命。しかしこのSNS社会において、これら出来事を「あくまでフィクションだ」と笑い飛ばすことができるだろうか? SNS蟻地獄に飲み込まれた川村が突き止めた意外過ぎる真実とは!?ぜひ本編をチェックしてほしい。
ちなみに冒頭の役所窓口で、倉山佳乃役として岡山相手にやたらとリアルなやり取りを見せているのが、映画コメンテーターのLiLiCoも「ベストムービー!」と太鼓判を押した映画『レディ・トゥ・レディ』(藤澤浩和監督作)に主演している女優の内田慈。少ない出演時間ながら『私刑倶楽部』でもピリッとしたインパクトを残している。なお本ドラマはAEBMAビデオにて配信中だ。