警察庁が来年4月に設置の構想 「サイバー局」「サイバー直轄隊」とは
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 近年、深刻化するサイバー攻撃に対応するため、警察庁は新たに「サイバー局」を設置する構想を発表した。

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 具体的にどのような組織で、どのようなことが行われていくのか。テレビ朝日社会部の金井誠一郎記者が解説する。

Q.「サイバー局」設置の背景は?

 コロナ禍において、テレワークやスマホ決済など、デジタル空間・サイバー空間と密接につながることが増えてきている。世界的に見ても国家的関与が疑われるサイバー攻撃が増えていて、警察庁としてはそういった状況に国として対抗していくためにサイバー局を設置する。全国の都道府県警や「サイバー直轄隊」という組織も作って、事件対応や技術レベルのアップ、機器の購入、企画立案といったインフラ整備を強化していきたいとしている。

 現在は、都道府県の警視庁や神奈川県なら神奈川県警、沖縄県なら沖縄県警といったように各自治体の警察がサイバー犯罪の捜査を行っている。サイバー攻撃は国も関与してくる事案なので、都道府県で対応できるかというと厳しい状況がある。さらに各国との調整も必要になってくるので、国として組織を作って対応していかないと、日々進化しているサイバー攻撃に対応できなくなるのではないかということで、2022年4月を目指してサイバー局を作っていこうとしている。

Q.「サイバー直轄隊」とは?

 関東の県警を指導監督する関東管区警察局の下に置かれる形にはなっているが、サイバー局が主体となって指示を出したり、都道府県と調整を行って捜査する事案を決めたりということに関わってくる。実際は、サイバー局とサイバー直轄隊は緊密に連携することになると思う。

 サイバー直轄隊は200人規模になるが、今警察庁にそれだけの捜査をする人員はいないので、都道府県でサイバー攻撃に対する捜査を行っているような、そちらに精通した精鋭部隊を集めようとしている。

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Q.サイバー攻撃に対する日本の準備は遅い?

 アメリカやイギリス、フランス、ドイツといった国では、すでに国が捜査するのは当たり前になっているので、世界的に見ると日本も遅れて導入するということになる。ただ捜査レベルとしては、日本はかなり高い位置にあると言われているので、今後国をあげて対応していくと状況はよくなっていくのでは。

 警察庁が持っているサイバー攻撃の観測施設では、海外のどの国からどれだけのサイバー攻撃がきているかを分析している。サイバー攻撃に対する捜査の難しいところは、その国から攻撃されているからといって、その国がやっているかはわからないこと。例えば、日本にいるサイバー攻撃をしかける人たちでも、ロシアのサーバーをかませて日本に攻撃したりするので、「ロシアが攻撃してきている」と単純に言えないのが難しさのひとつではある。

 サイバー攻撃は、被害を受けている地域に大きな意味がない事件も多く、例えば被害者が沖縄にいるからといって攻撃側も沖縄にいるとは限らない。全都道府県、ひいては世界に広がる事件である可能性もあるので、今までどおり都道府県警の捜査では限界があるのではないかということで国が入る。

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Q.具体的にどんな事案に対応していく?

 個人間のレベルのものから国が関与するレベルのものまであるが、国が直轄で行うものとしては、重要なインフラ、国全体に影響が出てしまうようなものについて力を入れて捜査を行っていくとしている。それに加えて、スマホ決済やインターネットバンキングなど日本全体の中で使用している人が多く、全国で一斉に被害者が出るといったサイバー犯罪については取り組んでいきたいとしている。

Q.では一般人にはあまり関係はない?

 警察庁で作る部隊が捜査する対象として、個人が絡むものはあまり多くないかもしれないが、例えば個人のパソコンやスマホも、一日ネット環境につないでおくと数百~数千といったサイバー攻撃に実はさらされている。そのサイバー攻撃を受けると、パソコンなどを使われて他の国に攻撃をしかけるといったことに関与してしまう可能性がある。個人だからといって関係ないということではなく、いつ誰が関与するかわからない時代になっている。

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