22日夜に過労で入院した小池都知事について、東京都は静養を数日間延長して週明けの28日以降も公務を離れることを発表した。「医師の判断により、数日間延長することとした」としている。
“超仕事人間”“止まれない人”だという小池都知事について、テレビ朝日社会部・都庁担当の鈴木彩加記者が伝える(情報は25日19時時点)。
ほぼ毎日のように登庁し、記者団の取材にも対応していた小池都知事。忙しさは6月に入ってからさらに拍車がかかっていたといい、鈴木記者は「疲れが出ているのは見て明らかだった。小池都知事は元キャスターなので声の張りなどすごいが、声の大きさや呼吸の浅さは最近目立つようになっていたと思う。我々が知事の姿を見るのは大体カメラが回っている時が多いが、カメラが回っていない裏側で知事と直接やりとりした関係者に聞くと『この1週間特に体調が優れないように見えた。思うように力が入らなくて辛そうに見えた』と話していた」と説明する。
実際に小池都知事の6月のスケジュールを見てみると、3日(テレワーク)と5日、12日、20日以外は登庁。中旬以降は、緊急事態宣言からまん延防止等重点措置への移行による対策の協議、菅総理との会談、東京五輪の5者会議など重要な案件が立て込んでおり、その準備に追われていた。さらに、登庁時だけでなく自宅にいる時も頻繁に連絡を取っていたという。
その小池都知事を追う大変さは記者側も同じようで、「18日が山場だった。緊急事態宣言が解除されてどうなるのかという議論については、数日間で結論が出せるものではなく、前から都庁内で議論が行われていた。金曜日の夜に臨時会見が行われるとすると、大体月曜日とか火曜日くらいから本格的な政府との議論が始まって、我々も“あと何日経ったら週末に入るのかな”と指折り数えて1週間を進む。金曜の夜に臨時会見が終わってやっと土日だと思うと、その週末も知事は働いていて、どこからエネルギーが来るのか不思議だ」と本音を明かした。
小池都知事の印象は「超仕事人間」と鈴木記者。「私だけでなく、都庁内の職員たちもみんな口を揃えてそう言う。“止まらない人”“止まれない人”という感じだ。登庁している時もそうだが、家に帰っても職員と連絡をとって、そしてとにかくニュースをチェックしている。知事室にいらっしゃる時も、手が空くとザッピングしていろいろなニュースを確認して、新聞は当然ながらネットニュースもチェックしている。コロナは変異株が出てきたり隣の自治体で状況が変わる中で、最悪を想定しながら対策を進めている」。
そんな小池都知事も、五輪観客数の上限や緊急事態宣言の解除など大きな判断を迫られる中で周囲に弱音をもらしていたという。「どちらに振れるかで大きく世の中が変わる判断をしなければならなかった。体力的なものもそうだが、精神的な負担はものすごく大きかったと周りも話していて、『本当に胃が痛くなるわ』と(小池都知事が)もらしていたというのは聞いた」と明かした。
歴代の都知事の登庁回数は、石原慎太郎氏(1994年4月~2012年10月)が週に1、2回、猪瀬直樹氏(2012年12月~2013年12月)が週の半分、「毎日登庁する」と宣言し都知事になった舛添要一氏(2014年2月~2016年6月)が週5日だったという。鈴木記者はコロナ禍、さらに五輪前という状況で単純に比較はできないとしたものの、「業務量や負担は、歴代の知事とは比較にならないと思う」との見方を示す。
7月4日に都議会議員選挙の投開票、7月23日には東京オリンピックの開会式を迎えるが、入院を長引かせたくないという思いはあるのだろうか。「大事な局面がこれから続いていくので、ある幹部は『静養が長引いて公務を離れるということになれば、東京都を預かる知事としても政治家としても、資質が問われるというのは本人が一番感じているのでは』『もちろん、体調を第一にしてほしいという思いはあるが、本人としては何が何でも復帰して公務にあたるのではないか』と話していた」とした。