累計発行部数が400万部を突破した、山口悟氏の人気ライトノベル「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」(はめふら)。2020年4月から6月にかけてTVアニメ化、全12話が放送されたが、その最終話放送直後に制作が発表されていたTVアニメ第2期「はめふらX」の放送が、2021年7月2日からスタートする。
本記事では、主人公・カタリナ役を担当する声優・内田真礼に、第2期制作が決定した際の感想からアフレコ現場の雰囲気、カタリナへの想いや第2期にかける意気込みまで、さまざまな質問に回答していただいた。
前世で夢中になっていた乙女ゲーム「FORTUNE LOVER」の悪役令嬢に転生してしまい、TVアニメ第1期で必死に破滅フラグを回避したはずのカタリナに、再び襲いかかる危機。果たして内田は、新たなピンチに立ち向かうカタリナをどのように演じていくのか――。
「笑いの絶えない明るくて、とても素敵な現場です」
――まずは、第2期制作が決定したときの率直な感想をお聞かせください。
内田真礼(以下、内田):第1期でアニメの放送を多くの方々に観ていただき、盛り上がって終われて良かったなという実感があった中での第2期の発表だったので、とても嬉しかったですし、こんなに早く決まってすごいなっていうのが最初の気持ちでした。
第1期が始まる前から「はめふら」が盛り上がっていくなという予感は、スタッフさんの熱量からも感じていましたが、それでもスピード感に驚かされつつ、また「はめふら」に関われることにワクワクしたのを覚えています。
――そのスピード決定で、内田さんも再度カタリナを演じることになったわけですが、第2期ということで意識されたことはありますか?
内田:第1期で「破滅フラグ」を乗り越えたカタリナが、大人しくなりすぎないように気をつけました。あとは、第1期のときの爆発感というか面白い部分を、第2期でも新鮮に感じてもらえるように、お芝居の面でもちゃんと見せることができればと思っていましたね。カタリナなんだけどカタリナらしくない新しい一面を見せることで、よりカタリナらしさが際立つといいなと。
カタリナは受けの芝居が多くて、第2期はキャスト全員が集まってのアフレコができなかったこともあり、リアクションというか、掛け合いだからこそ生まれる面白さをどう表現するか、どうお芝居をしたらいいのかという点が難しかったです。
――アフレコは第1期と違って少人数制だったと。そうなるとやはり、全員そろって収録するのとは演じ方や意気込みも変わってくるのでしょうか?
内田:今回は第1期という土台があったので、スタジオ内にいる役者さんが少ない分、ディレクションブース内の反応が重要になってくるなと思っていました。私としては「こうしていこう」というよりはむしろ「ブース内の人たちを笑わせてやるぞ!」という気持ちでアフレコに臨みました。
音響監督さんたちの反応が好感触だったら「よしっ!」って心の中でガッツポーズをしていましたね。みなさん集中してお仕事している中で、漏れ聞こえてくる笑い声とかを頼りにして演じていました。
――笑い声ですか。ということは、現場の雰囲気はかなり良いのでは?
内田:そうですね。笑いの絶えない明るくて、とても素敵な現場です。
「カタリナが、どんな風に彼らの好意と向き合っていくのかに注目してほしいです」
――第1期で破滅フラグを回避できたカタリナは、平穏な日々を送れるはずがまたも波乱に巻き込まれるようですが、そんなカタリナに内田さんはどんな思いを抱いていらっしゃいますか?
内田:カタリナ自身が周りに心を開いてきたと思うので「もう一歩進んでみたら?」と感じました。
今のカタリナから見ると、ジオルドたちはみんな平等な「お友だち」なのですが、彼らの気持ちを受け入れてみてもいいんじゃないの、と思ってしまいますね。みんなの優しさででき上がった温かい空間の居心地のよさもわかりますけど、いつまでも学生ではいられませんからね(笑)。カタリナが、どんな風に彼らの好意と向き合っていくのかに注目してほしいです。
みんなとの関係も変わってきていて、第1期で「破滅フラグ」を乗り越えたからこその変化がカタリナに起こっている中で、これから誰が一歩リードするのか気になります。
――なるほど。ところで、内田さんはカタリナとは違って積極的なタイプのようですが、もし内田さんが乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったら、どういう風に立ち回りますか?
内田:まずは、周りに馴染もうとすると思います。その悪役令嬢がどういう人なのかを調べて、他人から嫌われてるなと感じるとは思うんですけど、そこから少しずつ対応を変えたりして「なんか最近変わった?」と言われるくらいに地道に頑張ろうと思います。でも、攻略キャラクターたちには些細な変化を気づかれなくて、地味な生活をしていくという(笑)。
――地味なんですか?(笑)
内田:実は貴族のような生活への憧れを持っていて、一時期部屋の家具をロココ調にしたいなと思ったことがあって。それで家具屋さんに行ったんですけど、あまりにお店が華やか過ぎて……。結局、ランチョンマットしか買って帰って来られませんでした(笑)。
――では、もし内田さんが「FORTUNE LOVER」の世界に転生してしまったとしたら、憧れの貴族生活を楽しめそうですね。
内田:うーん、どうでしょう。私は思い立ったらすぐ行動する性格なんですが、貴族の生活ってたくさんの制約があると思うんですよ。それに苦労しそうです。しかもこの世界の移動は馬車だし! 遅い!(笑)
「声優という仕事だからこそ、キャラクターをいかにブレさせずに演じきるかが大事」
――ファンからの熱い支持によって第2期制作が決定したわけですが、これまでに内田さんがファンから聞いた「はめふら」への感想や声援で印象的だったものはありますか?
内田:「カタリナ5がすごいね!」と言ってもらえることがとても多いんです。私自身は意識していなかった部分で「声優だしやれるでしょ!」という気持ちでした。絶対に「できません」とは言いたくなくて、それでやり続けていたら「キャラが増えたらお願いします!」とスタッフさんから言われるようになって(笑)。気づけばたくさん演じていました。
――1人5役の脳内会議ですからね。それはやはり、みんなすごいと思うんじゃないでしょうか。
内田:そうですね、ファンの方からも「声優さんのすごさがわかりました」って言ってもらえたり、それこそ同業の声優さんからも言ってもらえたりして「あ、これ普通じゃないんだ」って(笑)。改めて振り返ったときに、皆が「すごい」って言ってくれると嬉しいんだなということに気づきました。
声優という仕事だからこそ、キャラクターをいかにブレさせずに演じきるかが大事だと思っています。カタリナ5はとてもいい経験で、私としては自分にできることを精一杯やってきましたが、ふと気づいたときに「成長できたな!」という達成感を感じていました。
――なるほど、ありがとうございます。それでは最後に、第2期を心待ちにしていた「はめふら」ファンへのメッセージをお願いいたします。
内田:待ちに待った第2期がやっと始まるということで、私もドキドキしています。OPもEDもかっこよく、「はめふら」らしい仕上がりとなっていて、次々と登場する新キャラクターや、新しいお話の展開を期待してくれたら良いなと思います。
ジオルドたちだけじゃなく、カタリナ5のひとりひとりも頑張っています。もしかしたらカタリナ5だけじゃなくて私が演じるキャラも増えるかもしれません(笑)。ぜひ楽しみにしていてください。
TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』概要
◆メインスタッフ
原作:山口 悟(一迅社文庫アイリス/一迅社刊)
キャラクター原案:ひだかなみ
監督:井上圭介
シリーズ構成:清水 恵
キャラクターデザイン:大島美和
プロップデザイン:松永 辰
美術監督:込山明日香
色彩設計:重冨英里
3Dディレクター:栗林裕紀
撮影監督:衛藤英毅
編集:瀧川三智(REAL-T)
音響監督:亀山俊樹(bitgrooove)
音楽:田渕夏海/中村巴奈重/斎木達彦/櫻井美希/兼松 衆/中嶋純子/青木沙也果/佐久間 奏
音楽制作:日音
音楽協力:ミリカ・ミュージック/日音
アニメーション制作 SILVER LINK.
◆メインキャスト
カタリナ・クラエス:内田真礼
キース・クラエス:柿原徹也(幼少時代:雨宮 天)
アラン・スティアート:鈴木達央(幼少時代:田村睦心)
ニコル・アスカルト:松岡禎丞(幼少時代:M・A・O)
メアリ・ハント:岡咲美保
ソフィア・アスカルト:水瀬いのり
マリア・キャンベル:早見沙織
アン・シェリー:和氣あず未
ジェフリー・スティアート:子安武人
スザンナ・ランドール:上坂すみれ
イアン・スティアート:白井悠介
セリーナ・バーグ:小倉 唯
ルーファス・ブロード:鳥海浩輔
(C)2021 山口悟・一迅社/はめふらX製作委員会・MBS
テキスト/山村龍