7月より放送される完全新作オリジナルTVアニメ「白い砂のアクアトープ」は、閉館が迫る沖縄県南城市のちいさな水族館「がまがま水族館」を舞台に、そこで働き閉館させまいと奮闘する海咲野くくると、東京でアイドルの仕事を失い沖縄を訪れた宮沢風花が出逢うガール・ミーツ・ガールのストーリー。
「SHIROBAKO」や「色づく世界の明日から」などを手がけてきたアニメスタジオ・P.A.WORKSによって描かれる、沖縄の風景や水族館の魚たちの繊細な描写にも注目が集まっている。
本記事ではくくるを演じた伊藤美来と風花を演じた逢田梨香子に、「沖縄」と「水族館」という切り口で話を伺い、本作の魅力に迫っていく。
「海ぶどうは冷蔵庫に入れるとしおれてしまう」沖縄料理好きの逢田さんのエピソード
――本作は沖縄県が舞台となっていますが、伊藤さんは実際に沖縄を訪れた経験はありますか?
伊藤:私は修学旅行などで行ったことはあるので、沖縄の雰囲気や人柄というものを何となくはわかっていて、その記憶を呼び起こしたりして収録に臨みました。あと、TV番組で沖縄のお爺ちゃんやお婆ちゃんが話しているところを見て、個人的にほっこりしたり(笑)。
第1話から沖縄の方言も出てきているので、イントネーションを調べたりしてみましたが、どれもちょっとずつ違っていて「どれが本当なんだろう!」って不安な気持ちでアフレコ現場に入ったんですが、沖縄出身の儀武ゆう子さんがキャスト兼方言指導で参加されていて、教えていただいたことでしっかり演じることができました。イメージしていたイントネーションとは全然違ったので、びっくりしましたね。
――第1話ではくくるが「まくとぅそーけ、なんくるないさ」と印象的な沖縄の方言を話していましたよね。
伊藤:儀武さんやスタッフの方の指導を受けて、沖縄の人がずっと信じている言葉を大事にしようとして様々なパターンを演じさせていただきました。
――逢田さんも同じように方言を勉強されましたか?
逢田:風花は岩手県出身なんですけれど、東京に住んでいてそこから沖縄へ飛び込んで行ったこともあり、私自身も沖縄についてあまり詳しく調べることなくアフレコに参加させていただきました。徐々に沖縄に馴染んでいくということをイメージしながら、演じていこうと。
私自身は一度しか沖縄には行ったことがないんですけれど、やはり景色が綺麗なイメージがあって、そこはアニメからも伝わってきましたね。水族館には何回か行ったことがありますが、沖縄の水族館についてインターネットで調べて、聞いたことがなかった魚の名前や生物の名前を、風花と同じように勉強しています。
――本作では沖縄の食べ物や夏の食べ物も魅力的に描かれていますが、お2人が好きな沖縄料理といえば何でしょうか?
伊藤:修学旅行で行ったときは、紫芋のスイーツを食べたんですが、すごく美味しかったです。あと、ベタですがゴーヤチャンプルーが美味しそうだなって思いますね。沖縄には名産というか美味しいものがたくさんあるので、お土産選びにも迷った思い出があります。
――確かにお土産屋も多いですからね。逢田さんはいかがでしょうか。
逢田:沖縄のものにハマったのは遅い方なんですけれど、物産展をデパートなどでやっていると絶対に見ちゃうくらい好きですね。そこで海ぶどうや黒糖やミミガーを買ったりして、家でゴーヤチャンプルーも作ったりしています。
――それはかなりのガチ勢ですね!
逢田:すっごく好きなんです! 海ぶどうもすごく好きなんですが、冷蔵庫に入れるとしおれてしまうのでダメなんだということを失敗して学んだりして。あと、沖縄では食卓に海ぶどうが出てくることはなくて、そんなに頻繁に食べるものじゃないと儀武さんがおっしゃっていて、びっくりしました。
「ちょっとずつ大人になっていっている」沖縄の水族館で紡がれる物語について
――本作は水族館が舞台ですが、裏側で働く方たちの大変さなども感じましたか?
伊藤:魚たちがそこで生活をしていく上で、バックヤードでは水温や水質の管理など、緻密な作業がなされているんだと思いました。餌やりにしても魚たちに合わせて足りないものを補っていて、本当に生き物を扱うお仕事って大変なんだということを演じていても感じましたね。知らなかったことをいっぱい学べました。
逢田:私もお客さんとしてしか水族館に足を運んだことはないですが、この作品を通じて、ただ好きなだけではつとまらない仕事なんだと思いましたね。もちろん、生き物たちが好きという気持ちが大前提として大切だとは思うんですが、たくさんの生き物たちと向き合って体調の変化を見定める視野の広さなども必要で、いろいろなところに気を配らないといけない責任の大きな仕事なんだと、はじめて目の当たりにしました。
――水族館でくくるや風花たちと一緒に働くキャラクターも個性的ですが、伊藤さんの中で印象的なキャラはいますか?
伊藤:本当に個性的なキャラクターが多すぎて選びきれないですけれど、最初に目に付くのはウミやん(具殿轟介)かなって思います。風花もはじめて見たときに「不審者!」ってびっくりしていましたけど、私も最初に出てきたときはびっくりしました(笑)。でも、ウミやんはみんなのことを支えてくれますし、方言も使うのですごく沖縄の人って感じがしますね。
逢田:ぐでんって名前も沖縄っぽいですよね。
伊藤:沖縄の人代表って感じで、マスコットキャラみたいで癒されます!
――逢田さんが気になるキャラクターはいかがでしょうか?
逢田:私は(屋嘉間志)空也さんの見た目が好きですね(笑)。でも色がついたビジュアルを初めて見た時、髪の色がけっこう明るくてチャラそうに見えて。あと空也さん、女の子すごく嫌いなんですよね……。
――同じくメインキャラクターである、照屋月美と久高夏凛の印象はいかがですか?
伊藤:月美は……月美って言ったの初めてですね(笑)。「つきみ」だからうどんちゃんっていう愛称で、みんなのムードメーカーなんですけれど、夢を持っている一生懸命な女の子です。くくるが悩んでいると絶対にうどんちゃんのところに相談に行くので、友達にいたら話しやすい子だと思います。後押ししてくれる、素敵な友達というイメージですね。
夏凛は年齢的にはお姉ちゃんなんですけれど、お姉さんぶらなくて親しみやすいところもありつつ、ちゃんと見守るところは見守ってくれて。常にくくるを助けてくれていますし、風花のこともしっかりと見てくれているので、そんな自然に出てくるお姉さんな部分がイケメンだなって思います(笑)。
逢田:うどんちゃんは同い年なんですけれど、姉御肌というか困っている時に力を貸してくれる頼もしい存在だと思います。
夏凛はLynnさんがすごく魅力的に演じられていて、包み込むナチュラルな優しさや寄り添ってくれる力強さを、シナリオで読んでいたときよりも確かなものとして感じました。
――沖縄という舞台でくくると風花、2人のストーリーが描かれていきますが、最初と後半で印象が変わっていった点などはありますか?
伊藤:最初はくくるの明るい部分や元気いっぱいな部分を愛してもらえるように演じていたんですが、どんどんくくるが暴走してしまうところやパニックになって周りを巻き込んでいくシーンも出てきて。くくるの中でも大好きなもの(水族館)がなくなってしまうという不安や葛藤がいろいろと生まれていく中で、ちょっとずつ大人になっていっていると演じながらすごく感じられました。
意地っ張りな部分や子どもっぽい部分があるくくるらしさはそのままあっても、がまがま水族館の周りの人たちのおかげでちょっとずつ成長していると思います。
――アフレコがまだ残っているので、まだお2人は結末を知らないんですよね。
逢田:第1話のときに、最終話までのなんとなーくの道筋は聞いたんですが、そのときはまだ結末が決まっていなくて。どういう結末になるのかはまだ聞いていないんです。物語が進むにつれて、風花はどんどんたくましくなっていく様子が描かれていて、後半でくくるを励ますシーンは第1話の風花からするとすごく成長が見えるシーンで、自分も見ていて感動しました。風花もどんどん人として強くなっていくので、そういう成長の過程を見てほしいですね。
TVアニメ「白い砂のアクアトープ」概要
【CAST】
海咲野くくる:伊藤美来
宮沢風花:逢田梨香子
照屋月美:和氣あず未
久高夏凛:Lynn
仲村 櫂:土屋神葉
屋嘉間志空也:阿座上洋平
おじい:家中 宏
【STAFF】
原作:projectティンガーラ
監督:篠原俊哉
キャラクター原案:U35
シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン / 総作画監督:秋山有希
美術監督:鈴木くるみ
美術監修:東 潤一
美術設定:塩澤良憲
撮影監督:並木 智
色彩設計:中野尚美
3D監督:鈴木晴輝
編集:高橋 歩
特殊効果:村上正博
音楽:出羽良彰
音楽制作:ランティス
音響監督:山田 陽
プロデュース:infinite
アニメーション制作:P.A.WORKS
オープニングテーマ:ARCANA PROJECT
エンディングテーマ:Mia REGINA
※高橋 歩の「高」は、正式にははしごだかの字
【公式HP】https://aquatope-anime.com/
【Twitter】https://twitter.com/aquatope_anime
(C)projectティンガーラ
取材・写真・テキスト/miraitone.inc