小笠原諸島の西之島という島を知っているだろうか。2013年の噴火により拡大し、その後も活発な噴火活動が続いているため、誰も住むことができない無人島となっている。
そんな西之島に向けて6日朝、環境省の調査団が出発した。どういう目的で、どんな調査を行うのか。テレビ朝日社会部・環境省担当の川崎豊記者が伝える。
Q.調査の目的は?
前回は2019年9月に調査しているが、その後に活発な火山活動があった。何回も何回も噴火していたが、2020年8月ごろに沈静化したということで、新たに島の状態がどうなっているか調べるため、きょう(6日)三崎漁港(神奈川・三浦市)から船が出た。
Q.現地ではどのような調査をする?
今も1500m以内には近づけない。噴火活動自体は落ち着いてきているが、火山ガスなどが出ていて近づけず、前回の調査では上陸できたが今回はできない。そのため今回は、ドローンや海中ロボットを使って、およそ1週間にわたって陸上生物や海洋生物などの調査を行う。
Q.これまでの調査ではどのようなことがわかった?
私も聞いた時は驚いたが、実はゴキブリがたくさんいると。少なくとも数百匹はいると言われていて、海鳥などの死骸などを餌にしているのではないかと言われている。そのゴキブリはアフリカ原産のもので、噴火する前もいたらしいが、「まさかそんな大量のゴキブリがいるとは」と研究者の方も驚いていた。
もうひとつ、生息する場所は生物によって違うということもわかった。ゴキブリや海鳥はもともとあった古い島のところにいることが多かった一方で、噴火して溶岩が固まったところは草なども生えていない過酷な環境だが、そこにハサミムシがいたと。研究者は、「ハサミムシがこの島のパイオニアなんじゃないか」ということで注目していた。
Q.西之島の調査に力を入れる理由は?
何もない島で生態系ができあがっていくというのは滅多になく、人の手が入らないというのは今の地球上ではめずらしいこと。貴重な実験場というか、観察場となっている。噴火がかなり激しかったので、前回の調査で生きていた昆虫などが死滅した可能性もあり、そのあたりは気になるところだ。
Q.西之島の現状は?
2月に、他の調査の取材でたまたま西之島の近くを通った。記憶の中の形から大きく形が変わっていて、火口が大きく開いていた。火口周辺では水蒸気がたくさん上がっていた、溶岩も新しいものが海の近くまで広がっている状況が見えた。
また、いわゆる硫化水素のような、卵の腐ったような火山のガスのにおいが離れていても漂ってきた。噴火はしていなかったが、火山活動が活発な状態だということを感じた。数十人の研究者もみな感動してしまって、ずっと船の上で20、30分見ていた。
この調査から帰ってきた時に、10分程度のハイビジョンの映像を環境省が提供してくれることになっている。それが非常に楽しみだ。そういった場が日本の近くにあるのはワクワクする。
(ABEMA NEWSより)