“酒類提供”めぐる混乱「官邸が官邸として機能していない」 秋には総選挙も「菅さんの次がいない」 党内から嘆き
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 政府新型コロナ分科会の尾身会長は新型コロナ対策について、人々の行動制限だけに頼る時代は終わりつつあると述べ、検査などの科学分野に予算を投じる必要性を指摘した。

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 「人々がコロナ疲れ、緊急事態慣れ。お酒の飲食店の限界の声も聞こえている中で、人々の行動制限だけに頼る時代はもう終わりつつあると思う。ワクチン、検査、QRコード、CO2モニター、あるいは下水調査するとわかる可能性。そういうもの対して今まで以上に加速してもらって、国民もそこまで政府がやるんだということがあれば、もうちょっとだけ頑張ってみようという気が起こるのではないか」(尾身会長)

 また、政府が酒の提供停止に応じない飲食店と取り引きしないよう販売事業者に求める通知など、相次いで撤回した問題についても取り上げられた。尾身会長は感染防止対策について、「政府や自治体の要請に協力は得られにくくなっている」と述べ、「何を目的にどういう対策をするのかというメッセージが、対策とともに車の両輪であるべきだ」と指摘した。

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 大きな波紋を呼び続けている、西村大臣の酒類提供をめぐる発言。政府の一連の対応も足並みが揃っていないように見えるが、その背景には飲食業界や世論の反発を予想できていなかったことが考えられるという。テレビ朝日政治部・与党担当キャップの河田実央記者は「オリンピックを前に宣言発出という最後のカードを切る以上、官邸側にはなんとか感染拡大を防ぎたいという強い思い、ある意味で焦りがあった。感染対策のターゲットはずっと『飲食店』。要請に応じない店が出てきていることもわかっている中で、どうしても酒の提供停止に応じてほしいという強い思い、焦りから今回の対策が出されたのではないか。このことは7日の関係閣僚会議で菅総理も説明を聞いていたが、総理周辺は『細かいことまではわからなかった』と釈明している。ある意味、当然の通知として捉えていたのだと思う」と話す。

 こうした対応について、自民党の大臣経験議員からは「業界団体を支援するという気持ちがなさすぎる。業界の苦しい現状を全く理解していない」という声があがったという。またもう1つ、河田記者は西村大臣の説明が足りなかったという点を指摘。「『これは呼びかけなんです。どうか協力してください』というお願いにとどめておけば、ここまで事態は広がらなかったかもしれない。菅総理が最初、『西村さんはそういう発言をしてないと思う』と答えたのは、これで収束するだろうと考えていたからだと思う。ただ、反発が日に日に増してしまって、その後各大臣が批判せざるをえないような状況に変わった。この右往左往する状況に、自民党幹部からは『官邸の意思がどこにあるかがわからない』『官邸が官邸として機能していないんじゃないか』という声も聞こえていて、政府内の意思統一がうまくなされていない状況まで露呈した」。

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 とはいえ、秋に総選挙を控えていることから、「大事な支持基盤を失うかもしれない」と与党は敏感に反応した。西村大臣の発言直後から、業界団体の人たちが自民党幹部のもとに次々と批判の声を寄せ、幹部はそれを官邸に伝えていた。与党幹部の中からは「みんな上から目線だと思っている。このままだと支持率が下がっていくんじゃないか」と心配する声もが出たという。

 西村大臣の発言については関係各所が火消しに走ったが、西村大臣が責任をとって辞任する可能性はあるのか。「菅総理として今西村大臣に辞任を求めることは考えていない。西村大臣はこれまでも自治体との調整や国会での対応などを一手に引き受けているほか、コロナ対応はこれからも続くことなので、今から簡単に誰かに変えられるものでもない。さらに、『辞任』というのは政権にとって体力が奪われるかなり強いカード。よく政権末期になると『ドミノ辞任』という言葉が出てくるが、『この大臣が辞めるであればあの大臣も資質がない』ということを野党に追求されると、どんどん首を切っていかなくてはいけない事態にもなりかねないので、守れるものは守ると。今回はコロナ対応を一手に引き受けている西村大臣にこのままやってほしいというという考え方でいると思う」と河田記者。

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 一方、菅総理に対しても、会見での受け答えが的を射ていないことなどを疑問視する声もあがっている。若手や中堅の議員からも「菅さんの下では選挙は戦えない」という声は多く聞こえてくるそうで、「この前の都議選でも事実上大敗し、菅政権になって初めての国政選挙、4月の参議院補選などでも3敗した。『選挙に勝てる顔ではない』という烙印が押された格好で、菅総理では厳しいとみんなみている。ただ、それと同時にみんな言うのが『菅さんの次がいない』という嘆き。世論調査などを見ても、河野太郎さんや小泉進次郎さんといった支持を得やすい人たちは菅内閣の一員として支える立場なので、菅総理を降ろしてトップに立つという方向には行かない。総裁選で菅総理と戦った石破さんや岸田さんは、ある意味役職を外されて無役できているので、コロナ対応の経験がないという面でも党内の支持が広がっていないという面からも、次の総理として押し上げる声が少ない。そうすると、『結局菅さんのまま突っ込むしかない』という見方が今は大勢を占めている」。

ABEMA/『倍速ニュース』より)

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