お笑いコンビ・しずるの村上純が、ABEMAオリジナルのドラマ『酒癖50』第4話で俳優としての頭角を現している。お笑い芸人の俳優業進出も増えている昨今、しずる村上はニューカマーであり、意外や意外の大穴かもしれない。意識の高い勘違い男を絶妙なブレンドで演じており、その「こういうヤツいるいる!」感はSNSでも好評だ。
【動画】『酒癖50』第4話 お持ち帰り~お酒の力で女性を抱く~
演じたのは、社内の花形であるマーケティング部のスタークリエイター・色川。しかしその本性は自惚れにも程がある意識高い系勘違い男で、マーケティング部への異動を希望する美女たちを酒の力と肩書きを使っては口説き落とし続ける女性の敵である。
冒頭シーンから村上は惹きつける。『情熱大陸』をパロディ化したかのような劇中劇での村上の、ナチュラルなまでのうさん臭さとウザったさ。色川に密着するという設定のパロディ劇では、仕草や喋り方、セリフの抑揚の変化で色川という個性的人物を立体的に表現。村上はそのキャラクター性をしっかりと掴み、まるで色川が実在する人間かのように魅せる。異様な状況に説得力を与え、笑いに変換するコント師ならではの形態模写力の高さが発揮された名場面だ。黒縁の伊達メガネも色川の立ち振る舞いと相まってうさん臭さ倍増アイテムとして活きている。
色川が一方的に「恋愛工学」なるものに対してうんちくを垂れる場面は、もはや村上の独壇場。アルコールを利用した口説き落とし成功の秘訣を自慢劇に語るシーンは、「トークスピードコントロール」「ミラーリング」「イエスセット」というよくわからない手法を項目に分けて、レクチャーVTRのような映像で紹介する。そのVTRの中で、色川はいかに自分が恋愛マスターであるかをアピール。村上による、いやらしいまでのドヤ顔のキープ力にはついつい笑ってしまう。
その一方で、同僚から痛いところを突かれた際に放つ言い訳の早さと反応の良さは、色川のプライドの高さを表現しており、村上の人物造形構築の正確さを物語っている。もしかしたら村上は、俳優としてブレイクするかもしれない。