もはや“同級生”のような感覚なのだという。小出恵介と小池徹平が、現在放送中のABEMAオリジナルの連続ドラマ『酒癖50』で、2005年放送の連続ドラマ『ごくせん(第2シーズン)』以来約16年ぶりの再共演を果たす。しかも『酒癖50』は主演の小出にとって約4年ぶりの連続ドラマ復帰作であり、俳優活動本格的リスタート作。小出が「このタイミングでの再会は奇跡」と言葉を噛みしめると、小池も「恵ちゃんが引き寄せた縁」としみじみと語る。俳優として約16年ぶりに顔を突き合わせた二人が、過去と現在を語り明かす。
『ごくせん(第2シーズン)』当時、小出は20歳で小池は19歳だった。小出は「学園ドラマ全盛期の、まさに真っ盛り時代。僕にとっては連続ドラマデビュー作で、ただただ何も知らない男でした。一方、徹平は僕よりも年下なのに大人。キャストの中でも一番落ち着いていた印象で、ただ一人冷静だった」と回想する。小池も「当時の恵ちゃんは、もこちゃん(速水もこみち)とずっとイチャイチャしていた印象があるかな。でも当時からお芝居は上手くて、連ドラ初出演とは思えないくらい自然なお芝居をしていました」と思い出す。
プライベートで親交を深める機会は少なかったものの「感覚的には共演者というよりも、同級生に近い。年齢は僕の方が下ですが、上下関係もまったくありません」と小池が互いの関係性を明かすと、小出も「それだけ『ごくせん』が濃いドラマだったということ。それこそ毎日のように雑誌の取材で肩を組んで頬を寄せ合って、カメラに向かってニカーッ!みたいな」と青春の日々に思い出し笑いだ。
そこから16年の時を経て『酒癖50』で再共演。謎の男・酒野聖(小出)が酒で失敗する人々に手を差し伸べるストーリーで、小池はかつて酒野に大きな影響を与えた唯一無二の親友・武山を演じる。
小池との再共演に小出は「ビックリしたというのが正直な気持ちですが、これ以上ないやりやすい相手であり、このタイミングでの再会は奇跡。自分の中にある感慨を勢いよく役柄に乗せることができた。そりが合わなくなる展開では、自然と気持ちも辛くなりました。徹平のキラキラしたつぶらな瞳で見られると恥ずかしいというか、16年前を思い出す。それも含めて撮影中は色々な感情が渦巻いて忙しかった」と盟友との顔合わせに感慨しかない。
一方の小池は今回の出演を「なにがなんでもやりたいとオファーを受けた」と快諾。「僕としても、NYで勉強し日本で再び羽ばたこうとしている恵ちゃんと仕事をしてみたいと思っていたし、それがこんなに早いタイミングで実現したことも嬉しかった。不思議な縁というか、今の恵ちゃんが引き寄せた縁。撮影の合間に二人で交わす会話も楽しかった。同窓会のような気分でした」と喜色満面。小出は「頭が上がらないというか、思い切り胸を借りました。自分の変化した姿を認めてもらわねばと、一段とギアも上がったし、背筋も伸びた」と刺激ばかりの対峙だったようだ。
ドラマ後半には、小出に対する小池からのエールともとれるようなエモーショナルなセリフがある。小出は「僕としてもそこが一番印象的な場面。いざ徹平を前にすると、台本で受けた印象の5倍くらいのテンションで撮影に臨むことができました。自分とのリンクも感じて、まるで徹平本人から直接言われているかのような錯覚に陥りました。徹平が放つ肯定感に全身が包まれたようで、身動きが取れなかった。ジワッとくるものがありました」と感極まったようだ。
小池は「あくまで役と役との対話であり、恵ちゃん演じる酒野への言葉です。でもそれを恵ちゃんが自分のことのように受け取ったということは、酒野と自分の共通点を探るまでに役作りをしてキャラクターを作り上げていたということ。だからこそ恵ちゃん自身の心に響いたのかもしれない」と分析し「あの時のライブ感は凄かった。撮影後に『最高!』と思ったほどです」と見どころに挙げる。
16年という長い空白のブランクはゼロ。実は二人には『ごくせん』以外にも意外な共通点があった。「たまたまですが、恵ちゃんとは行きつけの焼肉屋さんが一緒。そこの店長さんから恵ちゃんの近況を聞いていたりもしたので、それが16年という離れていた時間を感じなかった理由の一つなのかもしれません」と打ち明ける。
『酒癖50』撮影終了後、小出は小池に「コロナが明けたらゴハンに行こう!」と連絡を入れたという。もちろん集合場所は、二人の行きつけの焼肉屋さんだ。小出が「二人でその焼き肉屋のカウンターに並んでいる絵が思い浮かぶ」と笑うと、小池も「こんな話をしながらも、結局はオシャレなイタリアンで…とかだったら嫌だよね!」と大爆笑。小出と小池は16年の時を経て“同級生”から“親友”になった。
取材・文:石井隼人
写真:You Ishii